gula~暴食~
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彼女は自分自身の右手に齧り付いた。
まずは人指し指、中指、薬指の三本。
それはゴキリと骨が折れる不気味な音を立て、彼女の口内へ消えていった。
そして小指、親指も。
先端をなくした手首からは、不自然なほどに紅い鮮血が流れた。
その血も一滴たりともこぼさぬように、全て舐めとる。
どろりと口内に広がる濃厚な鉄錆の味は、赤い舌を更に紅く染め上げた。
「めたほどじゃないけど……あまぁい……。」
カービィの愛する彼は、酷く甘かった。
腕や脚は言わずもがな、胸をスーッと割り開き、骨を砕き、微かに脈動する心臓を見た瞬間――またそれを取り出し、舌で触れた瞬間、彼女はこの世の全ての幸福を見た気がしたのであった。
そんなことを回想しながら、ぶちり、と肩ごともぎ取り、それにかぶりついた。
メタナイトに飲ませた薬が彼女にも作用しているのか、あまり血が出ていない。
おかげで血がこぼれない、都合がいいね、と笑った。
痛みなどとうの昔に感じなくなっていた。
甘い食事を繰り返す内に、彼女の中の何かが毒されてしまっていた。
彼女にとって人を食べることは、まるで砂糖にくるんだ毒を食べているようだった。
甘い甘い砂糖の中に隠された毒に犯されてしまった頭が痺れ、興奮のあまり身体が震える。
うっとりと幸せそうな笑みを浮かべながら、自分の身体にかぶりついた。
後先のことなどどうでもいい。
彼女にとっては、美味しいものを食べていられればよかったのだ。
最早、自分の生ですらどうでもよかった。
……死ねば、何も食べられなくなるというのに。
そんな簡単なことにすら気づかないほどに、彼女は食に囚われてしまっていた。
そのまま座り込んで左脚をもぎ、大きく口を開けてかぶりつき、恍惚とした表情を浮かべる。
続いて右脚も同様に……。
彼女はバランスを保てなくなり、地面に背中から倒れ込んだ。
それでも構わない、彼女は口を動かし続ける。
むせかえるような鉄錆の香りが鼻腔を、肺を蝕んでいく。
自らの歯が弾力に富んだ柔らかい皮膚に突き刺さるたびに、またそれを破り熱い肉に到達するたびに、心が踊った。
剥き出しになった骨をしゃぶり、髄まで啜る。
骨さえも砕き、飲み下していった。
血が、肉が食道を滑り落ちていくたびに、見開かれた青い瞳から歓喜の涙がこぼれ落ちた。
「ああ……たべるって、すばらしいね」
廃墟と化した村で、彼女は一人笑う。
そして
彼女は全てを食べつくし
あとには何も無くなった。
まずは人指し指、中指、薬指の三本。
それはゴキリと骨が折れる不気味な音を立て、彼女の口内へ消えていった。
そして小指、親指も。
先端をなくした手首からは、不自然なほどに紅い鮮血が流れた。
その血も一滴たりともこぼさぬように、全て舐めとる。
どろりと口内に広がる濃厚な鉄錆の味は、赤い舌を更に紅く染め上げた。
「めたほどじゃないけど……あまぁい……。」
カービィの愛する彼は、酷く甘かった。
腕や脚は言わずもがな、胸をスーッと割り開き、骨を砕き、微かに脈動する心臓を見た瞬間――またそれを取り出し、舌で触れた瞬間、彼女はこの世の全ての幸福を見た気がしたのであった。
そんなことを回想しながら、ぶちり、と肩ごともぎ取り、それにかぶりついた。
メタナイトに飲ませた薬が彼女にも作用しているのか、あまり血が出ていない。
おかげで血がこぼれない、都合がいいね、と笑った。
痛みなどとうの昔に感じなくなっていた。
甘い食事を繰り返す内に、彼女の中の何かが毒されてしまっていた。
彼女にとって人を食べることは、まるで砂糖にくるんだ毒を食べているようだった。
甘い甘い砂糖の中に隠された毒に犯されてしまった頭が痺れ、興奮のあまり身体が震える。
うっとりと幸せそうな笑みを浮かべながら、自分の身体にかぶりついた。
後先のことなどどうでもいい。
彼女にとっては、美味しいものを食べていられればよかったのだ。
最早、自分の生ですらどうでもよかった。
……死ねば、何も食べられなくなるというのに。
そんな簡単なことにすら気づかないほどに、彼女は食に囚われてしまっていた。
そのまま座り込んで左脚をもぎ、大きく口を開けてかぶりつき、恍惚とした表情を浮かべる。
続いて右脚も同様に……。
彼女はバランスを保てなくなり、地面に背中から倒れ込んだ。
それでも構わない、彼女は口を動かし続ける。
むせかえるような鉄錆の香りが鼻腔を、肺を蝕んでいく。
自らの歯が弾力に富んだ柔らかい皮膚に突き刺さるたびに、またそれを破り熱い肉に到達するたびに、心が踊った。
剥き出しになった骨をしゃぶり、髄まで啜る。
骨さえも砕き、飲み下していった。
血が、肉が食道を滑り落ちていくたびに、見開かれた青い瞳から歓喜の涙がこぼれ落ちた。
「ああ……たべるって、すばらしいね」
廃墟と化した村で、彼女は一人笑う。
そして
彼女は全てを食べつくし
あとには何も無くなった。