夏の暑さに負けないほどの
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「……暑い。」
「そうだな……。」
今日は異常気象なのかと危惧するほど暑い。
「頼むからMr.ブライト休んでくれ」と言いたくなるほど。
外では蝉がミーンミーンと大合唱している。
夏の風物詩とはいえども、ちょっと殺意が湧く。
しかも、
「こんな日に限ってエアコンが故障ってどういうことなの……。」
部屋に備え付けてあるエアコンは、見事に壊れていた。
最悪のタイミングだ。
「まあ、あとでマホロアたちが修理に来てくれるそうだからそれまで待とう。」
「う~……早く来てくれないかなぁ……メタナイトはよく平気でいられるね……」
暑さでどうにかなりそうな私とは違い、メタナイトは平然と本を読んでいる。
「昔はエアコンなんてもの無かったからな。」
……歳を感じさせる発言だけどあえてスルーした。
窓開けて自然の風を浴びようにも、吹いてくるのは熱風ばかり。
どこか涼しいところに移動しようかとも思ったけど、動くのも億劫。
……いかに自分が文明の利器に頼っていたかが、否応にもわかる。
現代っ子にはエアコン無しは辛いよ……。
それを差し引いたにしても、近年の夏はかなり暑いと思う。
「あのね私、年々ポップスター温暖化が進んでると思うの。」
「たしかに……アイスバーグ辺りは溶けてしまいそうだ。」
メタナイトが青色の団扇でパタパタと扇いでくれた。
ありがたいんだけど、それより前に突っ込みたいことがあるんだ。
「……メタナイト」
「なんだ」
「それ暑くないの?」
私は銀色の仮面を指差した。
げんなりするほど暑いのに、メタナイトはいつもと同じように仮面を被っている。
見ているだけで暑苦しい。
……まぁ、正直な話メタナイトの素顔が見たいだけなんだよね。
暑さの中のオアシスだよ!
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、こちらを見るとどこか得意気な表情を浮かべた。
「実はこれは特別な仮面だから暑くはない。」
「……はぁ」
すみません、仰っている意味がわかりません。
「よく見なさい、いつもの仮面よりも薄手の素材を使っているんだ。」
クールビズだろう?と言われても、突っ込みどころがありすぎて逆に返す言葉が見つからない。
そういう問題なのか、とか素材が薄いからって何なのよ、とかそんなシーズンごとに仮面作ってるのかよ、とか。
全部引っくるめて「知るか」と仮面を奪ってやりたいけど、生憎そんな気力はなかった。
……ならば、自分から取らせるまでだ!!
素顔が見たいから取って、って自分から言うのはなんとなく癪だった。
……決して言うのが恥ずかしいわけじゃないよ?
「それ蒸れないの?」
「ああ、意外と通気性は良い」
「熱で熱くならないの?」
「いや……特に変化もなく普通だが」
「汗疹とかできない?」
「とりあえずは大丈夫だ。
……どうしてそんなことを気にするんだ?」
「……別にー」
意地でも仮面は外す気はないんですねわかります。
涼しげな顔で本を読み続けるから凄いと思う。
ちょっとくらい私の気持ちも察してよ……。
「あーっ、チリーをぎゅーってしたい!
なんか気持ち良さそう。」
あのひんやりした身体を抱き締めたら、どれだけ涼しいだろう?
そんなしょうもないことを考えながら、畳にゴロンと寝転がった。
新品に変えたばかりか藺草の香りがかぐわしく、夏を更に感じさせる。
「なんだ、私では不満か?」
「だって余計に暑くなっちゃうじゃん。
それに、仮面とってくれないような人には抱きつかないもん。」
ぷくっと頬を膨らます私を見、やれやれと溜め息をついた。
「見たいのならば素直にそう言えばいいのに。」
そう言いながら、ゆっくりと仮面を外した。
暑さのせいか少し上気してほんのり顔が赤い。
……幼げ(こんなこと言ったら輪切りにされそう)だけど、どこかそこに艶めいたものを感じ、食い入るように見つめてしまう。
「……そなたも物好きだな、私の素顔を見たがるなんて……」
いや、結構な人がメタナイトの素顔見たがってると思うんだけど……
「うん、私メタナイトの素顔好きだもん!
見せてくれてありがとう!」
少し彼の頬の赤みが濃くなったきがするのは、暑さのせいじゃないだろう。
「アリスは特別だからな。」
そういうとメタナイトは、私を抱き寄せた。
「……ちょっと、暑いよ。」
「仮面を取ったんだから、抱きついても構わないだろう?」
耳元で囁かれて、ぞくりと身体が震えた。
暑い、けどそれ以上に顔と身体が熱い。
「アリス、顔が真っ赤だが大丈夫か?」
どうして赤いのかなんてわかってるくせに、私の顔を覗きこんでニヤニヤしてるメタナイト。
暑いはずなのに、彼の体温が心地よかった。
「どうせだから裸になった方がお互い涼し「お断りします。」
笑顔で答える私。
こんな真っ昼間から冗談じゃないわ、暑いし。
汗かいてるし。
「だいたい、こんな時にして熱中症にでもなっ……」
言い終わらないうちに、引き寄せられて唇を塞がれた。
「ぅあ……ちょっ……」
「キスぐらいはいいだろう?」
熱い舌を差し入れられ、口内を甘く溶かされる。
「アリス……」
やばい、このままじゃメタナイトのペースに呑まれる。
わかってはいたけど、この甘美な誘惑に抗うことはできなかった。
それは彼も理解しているようで、焦らすようにゆっくりと歯列をなぞっている。
「おーいアリス、メタナイトー、エアコン直してやるの…サ」
ドアを開けたポーズのままでマルクが固まった。
その後ろから覗き込んだマホロアはすぐに状況を把握したようで、からかうような目をしてこちらを見ている。
私はというと、いきなりの事態に咄嗟に身体が動かず、5秒間ほど思考が停止してしまった。
我に返ってメタナイトを慌てて突き飛ばすもすでに時遅し、決定的場面を見られてしまい、否定のしようがなかった。
メタナイトはというと、なんでもなさそうにさっき外した仮面を再びはめ直した。
「熱中症には気を付けるのサ、うん。」
「おアツいネェ、いろンナ意味デ。」
「違うから!!」
ドアを閉めようとしたマルクの腕を掴んで引き留めた。
我ながらよく俊敏に動けたなと感心したけど、そんなこと言ってる場合じゃない。
しかも全く違くない。
「そんな元気があるならエアコンを要らないのサ。」
「ソウダヨォ。」
「いやいやいやいやエアコン直してくれないと暑くて暑くて!
ねっ、メタナイト!」
必死に二人を引き留め同意を求めると、メタナイトもうんうんと頷いた。
「そうだな、直してもらわないとアリスがバテるのが速くな「メタナイトは黙ってて!」
ああもう駄目だこの人どうにかしないと。
そんなに面白かったのか、マホロアはクックックッと笑うと「そうだネェ、今夜は暑くナルらしイからネェ!」と言ってエアコンを直し始めてくれた。
***
しばらくして
「完璧ニ直ったヨォ!」
作業を終えたマホロアは満面の笑みを浮かべた。
熱い部屋で作業していたからか、かなり汗をかいているけどやたら達成感に満ちている。
「ありがとう!」
「代金ハ特別に10000デデンでイイからネェ!」
「高くない!?友達プライス!」
抗議するとクククッ、冗談ダヨォ?笑うマホロア。
笑ってるけど、結構目がマジだった気がするのは気のせいかな……?
「基本修理費は1500デデン、フィルターはサービスしとくのサ。」
「助かる。」
マホロアがいるとマルクはまともに見える。
でもちゃんと請求するあたり強かだよね。
お金を払うと、二人は「ちゃんと水分取るのサー」「寝冷えしないようにネェ!」となんとも含むところのあるアドバイスをして帰っていった。
「さて、早速つけますか!」
リモコンを手に取り、一番大きな電源ボタンを押す。
ピッと軽快な電子音が鳴ってエアコンが動き出したことに少なからず感動を覚えた。
そりゃそうだ、今日一日これが鳴らなかったがために暑い思いをしてきたのだから。
ゴー、と音を立てて風を吹き出すエアコンの前に仁王立ちになり、一身に冷気を浴びる。
「あー、やっぱ涼しいねーって寒っ!」
設定温度がかなり低めになっていたらしく、部屋は急に冷えてしまった。
もちろん身体も急に冷え、思わず自分自身を抱き締めた。
「馬鹿者、いきなり温度を下げ過ぎだ。」
メタナイトはリモコンに手を伸ばして温度を下げると、私を引き寄せた。
躊躇わずに抱きつくと、冷えた身体に彼の体温が染み込んでいって心地良い。
「まったく……さっきまで暑い暑い言ってたのに。」
呆れたように笑う。
でも本気では呆れていないだろう。
それがわかっているからこそ、私は調子に乗って更に抱きついた。
「やっぱりエアコンっていいねー。
夏でもメタナイトに抱きつけるもん。」
「そうだな。」
エアコンもあるし、今年の夏も、なんとか乗り切れるかな?
summer love
「さて、エアコンもついたことだし……な」
「……ばか」
NEXT
→あとがき
「そうだな……。」
今日は異常気象なのかと危惧するほど暑い。
「頼むからMr.ブライト休んでくれ」と言いたくなるほど。
外では蝉がミーンミーンと大合唱している。
夏の風物詩とはいえども、ちょっと殺意が湧く。
しかも、
「こんな日に限ってエアコンが故障ってどういうことなの……。」
部屋に備え付けてあるエアコンは、見事に壊れていた。
最悪のタイミングだ。
「まあ、あとでマホロアたちが修理に来てくれるそうだからそれまで待とう。」
「う~……早く来てくれないかなぁ……メタナイトはよく平気でいられるね……」
暑さでどうにかなりそうな私とは違い、メタナイトは平然と本を読んでいる。
「昔はエアコンなんてもの無かったからな。」
……歳を感じさせる発言だけどあえてスルーした。
窓開けて自然の風を浴びようにも、吹いてくるのは熱風ばかり。
どこか涼しいところに移動しようかとも思ったけど、動くのも億劫。
……いかに自分が文明の利器に頼っていたかが、否応にもわかる。
現代っ子にはエアコン無しは辛いよ……。
それを差し引いたにしても、近年の夏はかなり暑いと思う。
「あのね私、年々ポップスター温暖化が進んでると思うの。」
「たしかに……アイスバーグ辺りは溶けてしまいそうだ。」
メタナイトが青色の団扇でパタパタと扇いでくれた。
ありがたいんだけど、それより前に突っ込みたいことがあるんだ。
「……メタナイト」
「なんだ」
「それ暑くないの?」
私は銀色の仮面を指差した。
げんなりするほど暑いのに、メタナイトはいつもと同じように仮面を被っている。
見ているだけで暑苦しい。
……まぁ、正直な話メタナイトの素顔が見たいだけなんだよね。
暑さの中のオアシスだよ!
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、こちらを見るとどこか得意気な表情を浮かべた。
「実はこれは特別な仮面だから暑くはない。」
「……はぁ」
すみません、仰っている意味がわかりません。
「よく見なさい、いつもの仮面よりも薄手の素材を使っているんだ。」
クールビズだろう?と言われても、突っ込みどころがありすぎて逆に返す言葉が見つからない。
そういう問題なのか、とか素材が薄いからって何なのよ、とかそんなシーズンごとに仮面作ってるのかよ、とか。
全部引っくるめて「知るか」と仮面を奪ってやりたいけど、生憎そんな気力はなかった。
……ならば、自分から取らせるまでだ!!
素顔が見たいから取って、って自分から言うのはなんとなく癪だった。
……決して言うのが恥ずかしいわけじゃないよ?
「それ蒸れないの?」
「ああ、意外と通気性は良い」
「熱で熱くならないの?」
「いや……特に変化もなく普通だが」
「汗疹とかできない?」
「とりあえずは大丈夫だ。
……どうしてそんなことを気にするんだ?」
「……別にー」
意地でも仮面は外す気はないんですねわかります。
涼しげな顔で本を読み続けるから凄いと思う。
ちょっとくらい私の気持ちも察してよ……。
「あーっ、チリーをぎゅーってしたい!
なんか気持ち良さそう。」
あのひんやりした身体を抱き締めたら、どれだけ涼しいだろう?
そんなしょうもないことを考えながら、畳にゴロンと寝転がった。
新品に変えたばかりか藺草の香りがかぐわしく、夏を更に感じさせる。
「なんだ、私では不満か?」
「だって余計に暑くなっちゃうじゃん。
それに、仮面とってくれないような人には抱きつかないもん。」
ぷくっと頬を膨らます私を見、やれやれと溜め息をついた。
「見たいのならば素直にそう言えばいいのに。」
そう言いながら、ゆっくりと仮面を外した。
暑さのせいか少し上気してほんのり顔が赤い。
……幼げ(こんなこと言ったら輪切りにされそう)だけど、どこかそこに艶めいたものを感じ、食い入るように見つめてしまう。
「……そなたも物好きだな、私の素顔を見たがるなんて……」
いや、結構な人がメタナイトの素顔見たがってると思うんだけど……
「うん、私メタナイトの素顔好きだもん!
見せてくれてありがとう!」
少し彼の頬の赤みが濃くなったきがするのは、暑さのせいじゃないだろう。
「アリスは特別だからな。」
そういうとメタナイトは、私を抱き寄せた。
「……ちょっと、暑いよ。」
「仮面を取ったんだから、抱きついても構わないだろう?」
耳元で囁かれて、ぞくりと身体が震えた。
暑い、けどそれ以上に顔と身体が熱い。
「アリス、顔が真っ赤だが大丈夫か?」
どうして赤いのかなんてわかってるくせに、私の顔を覗きこんでニヤニヤしてるメタナイト。
暑いはずなのに、彼の体温が心地よかった。
「どうせだから裸になった方がお互い涼し「お断りします。」
笑顔で答える私。
こんな真っ昼間から冗談じゃないわ、暑いし。
汗かいてるし。
「だいたい、こんな時にして熱中症にでもなっ……」
言い終わらないうちに、引き寄せられて唇を塞がれた。
「ぅあ……ちょっ……」
「キスぐらいはいいだろう?」
熱い舌を差し入れられ、口内を甘く溶かされる。
「アリス……」
やばい、このままじゃメタナイトのペースに呑まれる。
わかってはいたけど、この甘美な誘惑に抗うことはできなかった。
それは彼も理解しているようで、焦らすようにゆっくりと歯列をなぞっている。
「おーいアリス、メタナイトー、エアコン直してやるの…サ」
ドアを開けたポーズのままでマルクが固まった。
その後ろから覗き込んだマホロアはすぐに状況を把握したようで、からかうような目をしてこちらを見ている。
私はというと、いきなりの事態に咄嗟に身体が動かず、5秒間ほど思考が停止してしまった。
我に返ってメタナイトを慌てて突き飛ばすもすでに時遅し、決定的場面を見られてしまい、否定のしようがなかった。
メタナイトはというと、なんでもなさそうにさっき外した仮面を再びはめ直した。
「熱中症には気を付けるのサ、うん。」
「おアツいネェ、いろンナ意味デ。」
「違うから!!」
ドアを閉めようとしたマルクの腕を掴んで引き留めた。
我ながらよく俊敏に動けたなと感心したけど、そんなこと言ってる場合じゃない。
しかも全く違くない。
「そんな元気があるならエアコンを要らないのサ。」
「ソウダヨォ。」
「いやいやいやいやエアコン直してくれないと暑くて暑くて!
ねっ、メタナイト!」
必死に二人を引き留め同意を求めると、メタナイトもうんうんと頷いた。
「そうだな、直してもらわないとアリスがバテるのが速くな「メタナイトは黙ってて!」
ああもう駄目だこの人どうにかしないと。
そんなに面白かったのか、マホロアはクックックッと笑うと「そうだネェ、今夜は暑くナルらしイからネェ!」と言ってエアコンを直し始めてくれた。
***
しばらくして
「完璧ニ直ったヨォ!」
作業を終えたマホロアは満面の笑みを浮かべた。
熱い部屋で作業していたからか、かなり汗をかいているけどやたら達成感に満ちている。
「ありがとう!」
「代金ハ特別に10000デデンでイイからネェ!」
「高くない!?友達プライス!」
抗議するとクククッ、冗談ダヨォ?笑うマホロア。
笑ってるけど、結構目がマジだった気がするのは気のせいかな……?
「基本修理費は1500デデン、フィルターはサービスしとくのサ。」
「助かる。」
マホロアがいるとマルクはまともに見える。
でもちゃんと請求するあたり強かだよね。
お金を払うと、二人は「ちゃんと水分取るのサー」「寝冷えしないようにネェ!」となんとも含むところのあるアドバイスをして帰っていった。
「さて、早速つけますか!」
リモコンを手に取り、一番大きな電源ボタンを押す。
ピッと軽快な電子音が鳴ってエアコンが動き出したことに少なからず感動を覚えた。
そりゃそうだ、今日一日これが鳴らなかったがために暑い思いをしてきたのだから。
ゴー、と音を立てて風を吹き出すエアコンの前に仁王立ちになり、一身に冷気を浴びる。
「あー、やっぱ涼しいねーって寒っ!」
設定温度がかなり低めになっていたらしく、部屋は急に冷えてしまった。
もちろん身体も急に冷え、思わず自分自身を抱き締めた。
「馬鹿者、いきなり温度を下げ過ぎだ。」
メタナイトはリモコンに手を伸ばして温度を下げると、私を引き寄せた。
躊躇わずに抱きつくと、冷えた身体に彼の体温が染み込んでいって心地良い。
「まったく……さっきまで暑い暑い言ってたのに。」
呆れたように笑う。
でも本気では呆れていないだろう。
それがわかっているからこそ、私は調子に乗って更に抱きついた。
「やっぱりエアコンっていいねー。
夏でもメタナイトに抱きつけるもん。」
「そうだな。」
エアコンもあるし、今年の夏も、なんとか乗り切れるかな?
summer love
「さて、エアコンもついたことだし……な」
「……ばか」
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→あとがき
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