MerryChristmas!
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「クリスマスパーティーをするぞい!」
クリスマスの朝、デデデ大王のそんな一言で、クリスマスパーティーの開催が決まった。
その日の午後5時、フームとブンはカービィの家に迎えにやってきた。
用意もそこそこに、カービィは半ば強引に連れ出される。
「早く早く!始まっちゃうわ!」
「いっぱい食べるぞー!」
デデデ城についてホールの扉を開けて中に入ると、思わず三人から感嘆の声が溢れた。
「うわ……すげーな……」
まず会場の大きさだ。
ここはデデデ城の中で一番大きなホール。
こんな部屋あったのね……とフームは呆然と呟いた。
それに付け加えて、ゴージャスな飾り。
天井には絢爛豪華なシャンデリアがあり、どこぞの舞踏会に紛れ込んだのだろう…と自分の居場所を確認したくなるほどだった。
ホール中央にはカラフルなモニュメントのようなものが飾られている。
なんといっても一番目を引くのはクリスマスツリーだろう。
驚くほどに大きなモミの木に、キラキラとした飾りがいくつもついている。
村人がみんな集まっていて、賑わっていた。
「メリークリスマース!!
今日は、大いに騒いで楽しむぞい!!」
壇上ではデデデが叫ぶ。
村人たちもおー!!と叫び、子どもたちは楽しそうに跳ねる。
「たまにはデデデもイイコトするわね。」
「よ~し、食うぞ!」
「おー!」
ブンとカービィは早速料理を食べ始める。
様々な種類の料理を味わい、食べているとマルクやメタナイトたちやアドレーヌとも会い、一緒に食事を楽しんでいた。
「カービィ!」
名前を呼んだ人物を見たカービィは、えらく驚いた顔をした。
「……リボン!」
「久しぶり~!」
笑顔で手を振るのは、カービィと少し似た容姿の少女、リボン。
彼女は普段違う星に住んでいるし、彼女たちにも仕事があるから、あまり頻繁に会うことはできないのだ。
「スピンさん、ドロッチェさん、連れてきてくれてありがとうございました。」
「フッ……ほとんどスピンが探してたけどな。」
「いえいえ、お役にたてて嬉しいッスよ。」
どうやら二人がリボンを連れてきたようだ。
カービィの居場所がわからなくて困っていたところを、ドロッチェが声をかけたらしい。
「でもすごいです!あんなに人がいっぱいいるのに、すぐにカービィを見つけられるなんて……。」
「あはは、それは、まぁ……」
「ところで、ずっと気になってたんだけど……アレ、まさかケーキじゃないですよね……?」
リボンが恐る恐る指さしたのは、ホール中央に鎮座されたとてつもなく大きい……カラフルな山だった。
「違う……と、思いたい……な。」
ドロッチェが微妙に引き攣った笑みを浮かべてそういったと同時に、カワサキの声が響いてきた。
「ねぇみんな、おれのつくったケーキも食べてくれよぉ!!
今年は気合いを入れてつくってきたんだよ~!!」
カワサキは輝く笑顔でホール中央に鎮座されたそれを指差した。
それを聞いて、みんなが肩を落とす。
「……やはり、ケーキだったのか……。」
「フッ……認めたくなかった……」
「食べる気がしないよ。」
「凄く……鮮やかです……。」
それは、下から紫・ショッキングピンク・オレンジ色をした重ねたスポンジに、青や緑や赤のクリームでベットリとデコレーションをした巨大なケーキ(らしきもの)だった。
「今年はアメリカのお菓子をイメージしてみたんだ~。」
「いくらなんでもこれはないだろこれは……。」
「アメリカ人が聞いたら怒るッスよ……」
実際、アメリカのお菓子は結構凄まじい。
(気になる人は「アメリカ ケーキ」でレッツ検索)
しかし、カワサキのそれはそれすらも可愛く見えてしまう。
「フッ……だれか、あれは食べ物じゃなくてオブジェだと言ってくれ……!!」
「あんなもんに芸術性は感じられないでゲス……。」
「あんなもの食べたがる馬鹿、いるわけがな「いただきまーす!」
「いたよ!普通にいたよ!」
ケーキをモグモグ食べていたのはカービィだった。
彼女にとっては色などどうでもいいのだろう。
「カービィはケーキだとわかっていたのか?」
「ボクも最初はケーキだと思わなかったよ。」
「ですよねー。
…って、ストロンさんも普通に食べてる……。」
リボンは普通に食べているストロンの姿を見つけ、呆然としていた。
「なんだか美味しそうに見えてきた。」
「団長!お気を確かに!!」
「フッ……オレも食べてみるかな。」
二人が普通に食べているのを見て興味が湧いたのか、ドロッチェは紫色に青のホイップクリームという何とも食欲をそそられない色彩の欠片を口に入れた。
そして倒れた。
「ド、ドロッチェーーーーーー!!!」
「大丈夫!?」
カービィとアドレーヌが慌ててドロッチェに駆け寄ると、ドロッチェは真っ青な顔でうなされていた。
「死んだんじゃないの~?」
「テメェ歯ァ喰いしばれ!!」
カワサキの呑気な声にキレたスピンが掴み掛ろうとするのを、マルクが羽交い絞めにして必死に抑え付けた。
「落ち着くのサ、スピン!!」
「離してください!オイラはこいつを一発殺らないと気が済まないッス!!」
「マホロアァァ!笑ってないで手伝うのサ!!」
「ボクは知らないヨォ。」
カワサキはその隙に何処かへと走り去ってしまった。
怒りの収まらないスピンはとりあえずマルクにクナイを突き刺すと、悲痛な悲鳴がホールに響き渡り、同時にマホロアの爆笑も響き渡った。
一方、ドロッチェはまだうなされている。
「誰かこの中にお医者様はいらっしゃいませんか!?」
「ドク!ドクを呼んで!!」
「呼んだアルか?」
騒ぎを聞きつけたのか、ドクがひょっこり姿を現した。
カービィが事情を説明すると、ドクは何処からか怪しい液体を取り出してドロッチェに飲ませた。
「多分これで大丈夫アル。
少し休めば回復するから安心するヨロシ。」
***
しばらく経って……
「まだ顔色悪いよ?大丈夫?」
「……死ぬかと思った。
死んだ母さんが見えたよ……。」
「やっとスピンも落ち着いたのサ……。」
「ホレ、お前もついでに薬やるから飲むヨロシ。」
「ありがとうなのサ……。」
どこか疲れ切った表情のマルクにスピンは必死に謝り、それをマホロアは笑って見ていた。
「さーて、お次はプレゼント交換だぞーい!!」
若干お酒が入ったのか、妙にテンションの高いデデデの声が会場に響き渡った。
他にも、何人かの大人は酔っているようでテンションが異常に高い人もチラホラと出始めていた。
「とりあえず、みんな丸くて回って回して渡して喜ぶぞい!」
「は~い、壁沿いに丸くなるでゲス。
それで、音楽に合わせて持ってきたプレゼントを回すでゲス。」
何を言っているのかわからないデデデからマイクを奪い取り、エスカルゴンがわかりやすい解説をすると、みんな指示に従い体制を整えた。
「ミュージックスタートでゲス!」
音楽(ちなみにグリーングリーンズ)が流れ始め、プレゼントも回り始める。
「なんだかわくわくするわね。」
「何もらえるのか楽しみ!!」
「はい、ストップー!!
さぁ、何がもらえたか開けてみるでゲス!!」
みんなが一斉にプレゼントを開け始めた、
様々なところから歓声や悲鳴や怒声が聞こえてくる。
「い、いったいみんな何が起きているの……?」
カービィが緑色にラッピングされた開けてみると、中に入っていたのはお菓子と雪ダルマのマスコットだった。
「可愛い、女の子からかな?」
「あ、それボクだヨォ。
カービィにいったんダネェ。」
「マホロアだったんだ。
意外と可愛いチョイスなのサ……。」
「ありがとうマホロア!!」
「ドウいたしましテ」
「オイラのは……部屋でできるプラネタリウム?」
「あ、それ私よ。」
スピンのプレゼントは、フームからのものだったようだ。
物が高いのは、流石は大臣の娘というところか。
「私のは……」
「カツサンドであります!」
開けている途中のメタナイトにネタバレをしたのは、小柄な隻眼の青年ワドルドゥ隊長だった。
「開ける前に言わないでいただきたかった。」
メタナイトはちょっと残念そうな顔をして箱を開け、では早速…と呟いて一口食べると、驚いたような表情を浮かべた。
「……美味いな。」
「わにゃ!ありがとうございます!」
「いーな、私も食べたいな。」
「リボンちゃんは何が入ってたの?」
「……ドクさんのクスリセットです。」
リボンの持っていた箱の中を見てみると、各種サプリメントに加えて『ワカガエール』『ツカレトレール』『育毛剤』『性転換剤』『悪魔召喚剤』など、様々なバリエーションの薬が入っていた。
だいたい怪しい。
「……すごく胡散臭いんだけど。」
「幸か不幸か、多分全部効果あるッス。」
ドクのことをよくわかっているスピンが言うのだから間違いないのだろう。
何かを探しているような様子のドクがリボンたちに近づいてきた。
「我輩のもらった人見つけたアル!
これ入れ忘れていたアルから今渡すアル。」
リボンに渡したのは、小さい子供が薬を嫌がらないように作られたゼリー『お○すり飲めたね』だった。
ニコニコとしてそれを突きだすドクを、リボンが笑顔(ただし目は笑っていない)で見る。
「ドクさん、殴っていいですか?」
「だが断る。」
「あたしのは……」
アドレーヌは水色のクリスタルのペンダントを持っていた。
電気の光を反射していてとてもきれい。
「あ、それ私のクリスタルですよ。」
「ホント?やったぁ!!」
他にもぬいぐるみやお菓子などの普通のプレゼントから、なんだかよくわからないものまで、たくさんのプレゼントがあったようだ。
このパーティーを 言いたいならば……
言葉にするのなら 「超カオス」
「そういえば団長のは?」
「ああ、そういえば開けてなかったな。
開けてみよう。」
ドロッチェが小振りな袋を開けてみた。
どうやら入っていたのは何かのチケットのようだ。
「えーとなになに?
豪華フルコースチケット?
フッ、いいじゃないか。
料理人はコックカワサ……」
そこまで言って、また倒れた。
「ドロッチェーーーーーー!!!!」
「完全にトラウマになってるッスーーー!!!!」
「ネェマルク、そんなにマズイノォ……?」
「慣れれば美味しいらしいのサ……。」
「まぁ、彼はまだ来てから日も浅いし……。」
再び真っ青な顔で倒れてしまったドロッチェをどうしようかと考えあぐねていると、ストロンが近寄って何かをドロッチェの口に流し込んだ。
すると、ドロッチェはむくりと起き上がり、フラフラと立ち上がり……
「おらおら!まだまだ夜は長いんだぜ?
もっと熱くなれよぉぉぉぉ!!!」
…と叫んだ。
まわりにいた誰もが( ゚д゚)ポカーン
「誰!?」
「もしかして……酔ってない?」
彼の顔は真っ赤になっていた。
異様なテンションの高さからも、酔っているような様子が見られた。
「ストロンお前何飲ませ」
「(*゚∀゚)アハア八アッ八ッノヽ~☆」
「もう駄目だこの大人たちーーー!!!」
いつの間にかストロンも酔っぱらっていた。
普段寡黙且つポーカーフェイスの彼が……爆笑していた。
「……誰?」
その場にいた誰もがポカーンとしてしまう。
「あはっ、あははっ、ドロッチェおまえマジパネェ!!
キャラ崩壊にも程があるだろ!!」
「オマエもだ!!」
指さして笑い、深刻なキャラ崩壊を起こしたストロンにドロッチェはバックドロップをお見舞いした。
後頭部をしたたかに打ち付けたストロンはもちろん、ドロッチェも気絶してしまった。
「アホアル。
こいつら正真正銘のアホアル。」
「な、何でッスか!?二人は結構お酒強いはずッスよ!?」
ドクはやれやれ……と頭を振り、スピンは微妙に涙目なりながら叫ぶ。
テーブルの上に置き去りにされた酒瓶をメタナイトが手に取りラベルを見てると、ああ、と合点のあったような声をあげた。
「成程、これはスピリタスか。」
「すぴりたす?」
「ウォッカの一種で、世界で一番強いお酒だと言われている。
「それって結構ヤバいんじゃ……?」
「うん、味はいいな。」
「メタナイト飲んだ!?」
「しかし、何故こんなところに……?」
そのとき。突如として空間が歪み、四つの人影が現れた。
「ハッハッハ!!
それは我らの仕業だ!!」
「お前らは!!
……ダークマターにゼロにダークマインドに酸s「ゼロツーです。」
「何しに来たの?
荒らしに来たなら容赦しないよ!!」
突如現れた暗黒物質たちに、警戒の色を露わにするカービィ。
それを見て、ダークマターはククク……と笑い、カービィをジッと見つめた。
「貴様ら、こんな楽しそうにしやがって……
……我らも混ぜろ!!」
「混ざりたいんかい!!」
「今夜は無礼講だ!!」
「仕切るな!!」
カービィとダークマターがスカポコ(といっても子供の喧嘩程度だが)している間、他の人たちとダークマター族は親睦を深めていた。
リ「人数が増えてきたから、カッコに名前を付けたみたいですね。」
零「わかりやすくなったな。」
酸「私の略称おかしくない?せめて02とかにしない?」
メ「そんなことはどうでもいいが、ダークマターは一体どうしてしまったんだ?」
酸「聞いたマインド!?どうでもいいって言い切った!!」
心「……スピリタスの味見をすると言って飲んだらこのザマ。」
零「もうやだこんな家族。」
酸「みんな……スルーか……。」
ゼロツーが嘆いていると、シャドーカービィとダークメタナイトがやってきた。
影「あーっ!!マインドだー!!」
駄「こんなところで何をしている?」
心「たまにはお前たちの顔でも見てこうかと思ってね。
あ、これお土産。」
ダークマインドが箱をシャドーに渡すと、シャドーはいそいそと箱を開け、歓喜の声をあげた。
影「ブッシュ・ド・ノエルだー!!
すごく美味しそう……マインドありがとう!!」
心「いえいえ。」
カ「いーな!!ボクも食べたい!!」
影「じゃあ、明日一緒に食べよ?
ダークもメタも一緒に!」
カ「やったぁ!!」
二人の会話をダークマインドは満足気に聞いていた。
酸「よかったね、うまくやってて。」
心「なんのこと?」
零「またまた、心配だったくせに。」
心「……うるさい。」
ダークマインドはダークメタナイトとシャドーカービィの産みの親だ。
心配なのも頷ける。
零「まぁ、アイツらはもう少しかかりそうだがな。」
彼らの視線の先にいたのは、ダークとメタナイトだった。
メ「貴様まだいたのか!?とっとと帰れ!!」
駄「ちょ、待て!!痛い痛い!!鏡に押し込むなっ!!」
メ「今すぐ帰らないとスライスするぞ!!」
駄「やれるもんならやってみればいい。」
メ「ほぉ……?」
メタナイトが腰から宝剣ギャラクシアを抜くと、ダークも剣を抜き、二人とも身構えた。
ただならぬ雰囲気に、その場の誰もが息をのんで(数名は楽しそうに)見守る。
「くぉらー!!おまえたちはなにをしているZOY!?」
マイクがハウリングを起こすほどの大音量で叫んだ空気を読まない人は、デデデ大王だった。
あまりの大声に、気絶していたドロッチェとストロンも慌てて飛び起きるほどだ。
D「わしが企画した神聖なるパーティーで暴動とは、わしへの冒涜ぞい!反逆罪ぞい!」
あんなケーキを中央に置いておきながら何が神聖なのか、と誰もが心の中でツッコんだ瞬間だった。
エスカルゴンが宥めようとしてるが、デデデは酔っているのも手伝ってかヒートアップするばかりで、連帯責任で全員反逆罪ぞい!などと叫んでいる。
メ「陛下、しかしながら……。」
D「言い訳は聞かないぞい!!
こうなったら全員
歌うぞい!」
皆「はぁぁぁぁぁ!!?」
意味わからねぇ!!と誰もがツッコんだ瞬間だった。
D「歌うったら歌うんだぞい!」
ア「まあ、楽しそうなんだからいいんじゃない?」
マ「あ、カービィとシャドーは控えめにするのサ。」
マルクの発言を聞いてえー!?っと二人は不満の声をあげたが、二人とも自覚症状はあるのかしぶしぶながらも頷いた。
エスカルゴンがCDプレーヤーのスイッチを押すと、曲が流れ始めた。
子どもたちがあー!っと声をあげる。
それは子どもたちにも歌える、有名で簡単な曲だった。
最初は戸惑ってたが、歌っているうちに
いつのまにかみんな笑顔で
性別とか、年齢とか
チューリン族とか、ダークマター族とか
魔法使いとか、戦士とか、コックとか
敵とか、味方とか
そういうのもみんな忘れて、笑っていた。
カ「願わくは、来年もこうして祝えますように……。」
カービィの小さな祈りは、みんなの笑い声の中に溶けていった。
ギャグ編 END
クリスマスの朝、デデデ大王のそんな一言で、クリスマスパーティーの開催が決まった。
その日の午後5時、フームとブンはカービィの家に迎えにやってきた。
用意もそこそこに、カービィは半ば強引に連れ出される。
「早く早く!始まっちゃうわ!」
「いっぱい食べるぞー!」
デデデ城についてホールの扉を開けて中に入ると、思わず三人から感嘆の声が溢れた。
「うわ……すげーな……」
まず会場の大きさだ。
ここはデデデ城の中で一番大きなホール。
こんな部屋あったのね……とフームは呆然と呟いた。
それに付け加えて、ゴージャスな飾り。
天井には絢爛豪華なシャンデリアがあり、どこぞの舞踏会に紛れ込んだのだろう…と自分の居場所を確認したくなるほどだった。
ホール中央にはカラフルなモニュメントのようなものが飾られている。
なんといっても一番目を引くのはクリスマスツリーだろう。
驚くほどに大きなモミの木に、キラキラとした飾りがいくつもついている。
村人がみんな集まっていて、賑わっていた。
「メリークリスマース!!
今日は、大いに騒いで楽しむぞい!!」
壇上ではデデデが叫ぶ。
村人たちもおー!!と叫び、子どもたちは楽しそうに跳ねる。
「たまにはデデデもイイコトするわね。」
「よ~し、食うぞ!」
「おー!」
ブンとカービィは早速料理を食べ始める。
様々な種類の料理を味わい、食べているとマルクやメタナイトたちやアドレーヌとも会い、一緒に食事を楽しんでいた。
「カービィ!」
名前を呼んだ人物を見たカービィは、えらく驚いた顔をした。
「……リボン!」
「久しぶり~!」
笑顔で手を振るのは、カービィと少し似た容姿の少女、リボン。
彼女は普段違う星に住んでいるし、彼女たちにも仕事があるから、あまり頻繁に会うことはできないのだ。
「スピンさん、ドロッチェさん、連れてきてくれてありがとうございました。」
「フッ……ほとんどスピンが探してたけどな。」
「いえいえ、お役にたてて嬉しいッスよ。」
どうやら二人がリボンを連れてきたようだ。
カービィの居場所がわからなくて困っていたところを、ドロッチェが声をかけたらしい。
「でもすごいです!あんなに人がいっぱいいるのに、すぐにカービィを見つけられるなんて……。」
「あはは、それは、まぁ……」
「ところで、ずっと気になってたんだけど……アレ、まさかケーキじゃないですよね……?」
リボンが恐る恐る指さしたのは、ホール中央に鎮座されたとてつもなく大きい……カラフルな山だった。
「違う……と、思いたい……な。」
ドロッチェが微妙に引き攣った笑みを浮かべてそういったと同時に、カワサキの声が響いてきた。
「ねぇみんな、おれのつくったケーキも食べてくれよぉ!!
今年は気合いを入れてつくってきたんだよ~!!」
カワサキは輝く笑顔でホール中央に鎮座されたそれを指差した。
それを聞いて、みんなが肩を落とす。
「……やはり、ケーキだったのか……。」
「フッ……認めたくなかった……」
「食べる気がしないよ。」
「凄く……鮮やかです……。」
それは、下から紫・ショッキングピンク・オレンジ色をした重ねたスポンジに、青や緑や赤のクリームでベットリとデコレーションをした巨大なケーキ(らしきもの)だった。
「今年はアメリカのお菓子をイメージしてみたんだ~。」
「いくらなんでもこれはないだろこれは……。」
「アメリカ人が聞いたら怒るッスよ……」
実際、アメリカのお菓子は結構凄まじい。
(気になる人は「アメリカ ケーキ」でレッツ検索)
しかし、カワサキのそれはそれすらも可愛く見えてしまう。
「フッ……だれか、あれは食べ物じゃなくてオブジェだと言ってくれ……!!」
「あんなもんに芸術性は感じられないでゲス……。」
「あんなもの食べたがる馬鹿、いるわけがな「いただきまーす!」
「いたよ!普通にいたよ!」
ケーキをモグモグ食べていたのはカービィだった。
彼女にとっては色などどうでもいいのだろう。
「カービィはケーキだとわかっていたのか?」
「ボクも最初はケーキだと思わなかったよ。」
「ですよねー。
…って、ストロンさんも普通に食べてる……。」
リボンは普通に食べているストロンの姿を見つけ、呆然としていた。
「なんだか美味しそうに見えてきた。」
「団長!お気を確かに!!」
「フッ……オレも食べてみるかな。」
二人が普通に食べているのを見て興味が湧いたのか、ドロッチェは紫色に青のホイップクリームという何とも食欲をそそられない色彩の欠片を口に入れた。
そして倒れた。
「ド、ドロッチェーーーーーー!!!」
「大丈夫!?」
カービィとアドレーヌが慌ててドロッチェに駆け寄ると、ドロッチェは真っ青な顔でうなされていた。
「死んだんじゃないの~?」
「テメェ歯ァ喰いしばれ!!」
カワサキの呑気な声にキレたスピンが掴み掛ろうとするのを、マルクが羽交い絞めにして必死に抑え付けた。
「落ち着くのサ、スピン!!」
「離してください!オイラはこいつを一発殺らないと気が済まないッス!!」
「マホロアァァ!笑ってないで手伝うのサ!!」
「ボクは知らないヨォ。」
カワサキはその隙に何処かへと走り去ってしまった。
怒りの収まらないスピンはとりあえずマルクにクナイを突き刺すと、悲痛な悲鳴がホールに響き渡り、同時にマホロアの爆笑も響き渡った。
一方、ドロッチェはまだうなされている。
「誰かこの中にお医者様はいらっしゃいませんか!?」
「ドク!ドクを呼んで!!」
「呼んだアルか?」
騒ぎを聞きつけたのか、ドクがひょっこり姿を現した。
カービィが事情を説明すると、ドクは何処からか怪しい液体を取り出してドロッチェに飲ませた。
「多分これで大丈夫アル。
少し休めば回復するから安心するヨロシ。」
***
しばらく経って……
「まだ顔色悪いよ?大丈夫?」
「……死ぬかと思った。
死んだ母さんが見えたよ……。」
「やっとスピンも落ち着いたのサ……。」
「ホレ、お前もついでに薬やるから飲むヨロシ。」
「ありがとうなのサ……。」
どこか疲れ切った表情のマルクにスピンは必死に謝り、それをマホロアは笑って見ていた。
「さーて、お次はプレゼント交換だぞーい!!」
若干お酒が入ったのか、妙にテンションの高いデデデの声が会場に響き渡った。
他にも、何人かの大人は酔っているようでテンションが異常に高い人もチラホラと出始めていた。
「とりあえず、みんな丸くて回って回して渡して喜ぶぞい!」
「は~い、壁沿いに丸くなるでゲス。
それで、音楽に合わせて持ってきたプレゼントを回すでゲス。」
何を言っているのかわからないデデデからマイクを奪い取り、エスカルゴンがわかりやすい解説をすると、みんな指示に従い体制を整えた。
「ミュージックスタートでゲス!」
音楽(ちなみにグリーングリーンズ)が流れ始め、プレゼントも回り始める。
「なんだかわくわくするわね。」
「何もらえるのか楽しみ!!」
「はい、ストップー!!
さぁ、何がもらえたか開けてみるでゲス!!」
みんなが一斉にプレゼントを開け始めた、
様々なところから歓声や悲鳴や怒声が聞こえてくる。
「い、いったいみんな何が起きているの……?」
カービィが緑色にラッピングされた開けてみると、中に入っていたのはお菓子と雪ダルマのマスコットだった。
「可愛い、女の子からかな?」
「あ、それボクだヨォ。
カービィにいったんダネェ。」
「マホロアだったんだ。
意外と可愛いチョイスなのサ……。」
「ありがとうマホロア!!」
「ドウいたしましテ」
「オイラのは……部屋でできるプラネタリウム?」
「あ、それ私よ。」
スピンのプレゼントは、フームからのものだったようだ。
物が高いのは、流石は大臣の娘というところか。
「私のは……」
「カツサンドであります!」
開けている途中のメタナイトにネタバレをしたのは、小柄な隻眼の青年ワドルドゥ隊長だった。
「開ける前に言わないでいただきたかった。」
メタナイトはちょっと残念そうな顔をして箱を開け、では早速…と呟いて一口食べると、驚いたような表情を浮かべた。
「……美味いな。」
「わにゃ!ありがとうございます!」
「いーな、私も食べたいな。」
「リボンちゃんは何が入ってたの?」
「……ドクさんのクスリセットです。」
リボンの持っていた箱の中を見てみると、各種サプリメントに加えて『ワカガエール』『ツカレトレール』『育毛剤』『性転換剤』『悪魔召喚剤』など、様々なバリエーションの薬が入っていた。
だいたい怪しい。
「……すごく胡散臭いんだけど。」
「幸か不幸か、多分全部効果あるッス。」
ドクのことをよくわかっているスピンが言うのだから間違いないのだろう。
何かを探しているような様子のドクがリボンたちに近づいてきた。
「我輩のもらった人見つけたアル!
これ入れ忘れていたアルから今渡すアル。」
リボンに渡したのは、小さい子供が薬を嫌がらないように作られたゼリー『お○すり飲めたね』だった。
ニコニコとしてそれを突きだすドクを、リボンが笑顔(ただし目は笑っていない)で見る。
「ドクさん、殴っていいですか?」
「だが断る。」
「あたしのは……」
アドレーヌは水色のクリスタルのペンダントを持っていた。
電気の光を反射していてとてもきれい。
「あ、それ私のクリスタルですよ。」
「ホント?やったぁ!!」
他にもぬいぐるみやお菓子などの普通のプレゼントから、なんだかよくわからないものまで、たくさんのプレゼントがあったようだ。
このパーティーを 言いたいならば……
言葉にするのなら 「超カオス」
「そういえば団長のは?」
「ああ、そういえば開けてなかったな。
開けてみよう。」
ドロッチェが小振りな袋を開けてみた。
どうやら入っていたのは何かのチケットのようだ。
「えーとなになに?
豪華フルコースチケット?
フッ、いいじゃないか。
料理人はコックカワサ……」
そこまで言って、また倒れた。
「ドロッチェーーーーーー!!!!」
「完全にトラウマになってるッスーーー!!!!」
「ネェマルク、そんなにマズイノォ……?」
「慣れれば美味しいらしいのサ……。」
「まぁ、彼はまだ来てから日も浅いし……。」
再び真っ青な顔で倒れてしまったドロッチェをどうしようかと考えあぐねていると、ストロンが近寄って何かをドロッチェの口に流し込んだ。
すると、ドロッチェはむくりと起き上がり、フラフラと立ち上がり……
「おらおら!まだまだ夜は長いんだぜ?
もっと熱くなれよぉぉぉぉ!!!」
…と叫んだ。
まわりにいた誰もが( ゚д゚)ポカーン
「誰!?」
「もしかして……酔ってない?」
彼の顔は真っ赤になっていた。
異様なテンションの高さからも、酔っているような様子が見られた。
「ストロンお前何飲ませ」
「(*゚∀゚)アハア八アッ八ッノヽ~☆」
「もう駄目だこの大人たちーーー!!!」
いつの間にかストロンも酔っぱらっていた。
普段寡黙且つポーカーフェイスの彼が……爆笑していた。
「……誰?」
その場にいた誰もがポカーンとしてしまう。
「あはっ、あははっ、ドロッチェおまえマジパネェ!!
キャラ崩壊にも程があるだろ!!」
「オマエもだ!!」
指さして笑い、深刻なキャラ崩壊を起こしたストロンにドロッチェはバックドロップをお見舞いした。
後頭部をしたたかに打ち付けたストロンはもちろん、ドロッチェも気絶してしまった。
「アホアル。
こいつら正真正銘のアホアル。」
「な、何でッスか!?二人は結構お酒強いはずッスよ!?」
ドクはやれやれ……と頭を振り、スピンは微妙に涙目なりながら叫ぶ。
テーブルの上に置き去りにされた酒瓶をメタナイトが手に取りラベルを見てると、ああ、と合点のあったような声をあげた。
「成程、これはスピリタスか。」
「すぴりたす?」
「ウォッカの一種で、世界で一番強いお酒だと言われている。
「それって結構ヤバいんじゃ……?」
「うん、味はいいな。」
「メタナイト飲んだ!?」
「しかし、何故こんなところに……?」
そのとき。突如として空間が歪み、四つの人影が現れた。
「ハッハッハ!!
それは我らの仕業だ!!」
「お前らは!!
……ダークマターにゼロにダークマインドに酸s「ゼロツーです。」
「何しに来たの?
荒らしに来たなら容赦しないよ!!」
突如現れた暗黒物質たちに、警戒の色を露わにするカービィ。
それを見て、ダークマターはククク……と笑い、カービィをジッと見つめた。
「貴様ら、こんな楽しそうにしやがって……
……我らも混ぜろ!!」
「混ざりたいんかい!!」
「今夜は無礼講だ!!」
「仕切るな!!」
カービィとダークマターがスカポコ(といっても子供の喧嘩程度だが)している間、他の人たちとダークマター族は親睦を深めていた。
リ「人数が増えてきたから、カッコに名前を付けたみたいですね。」
零「わかりやすくなったな。」
酸「私の略称おかしくない?せめて02とかにしない?」
メ「そんなことはどうでもいいが、ダークマターは一体どうしてしまったんだ?」
酸「聞いたマインド!?どうでもいいって言い切った!!」
心「……スピリタスの味見をすると言って飲んだらこのザマ。」
零「もうやだこんな家族。」
酸「みんな……スルーか……。」
ゼロツーが嘆いていると、シャドーカービィとダークメタナイトがやってきた。
影「あーっ!!マインドだー!!」
駄「こんなところで何をしている?」
心「たまにはお前たちの顔でも見てこうかと思ってね。
あ、これお土産。」
ダークマインドが箱をシャドーに渡すと、シャドーはいそいそと箱を開け、歓喜の声をあげた。
影「ブッシュ・ド・ノエルだー!!
すごく美味しそう……マインドありがとう!!」
心「いえいえ。」
カ「いーな!!ボクも食べたい!!」
影「じゃあ、明日一緒に食べよ?
ダークもメタも一緒に!」
カ「やったぁ!!」
二人の会話をダークマインドは満足気に聞いていた。
酸「よかったね、うまくやってて。」
心「なんのこと?」
零「またまた、心配だったくせに。」
心「……うるさい。」
ダークマインドはダークメタナイトとシャドーカービィの産みの親だ。
心配なのも頷ける。
零「まぁ、アイツらはもう少しかかりそうだがな。」
彼らの視線の先にいたのは、ダークとメタナイトだった。
メ「貴様まだいたのか!?とっとと帰れ!!」
駄「ちょ、待て!!痛い痛い!!鏡に押し込むなっ!!」
メ「今すぐ帰らないとスライスするぞ!!」
駄「やれるもんならやってみればいい。」
メ「ほぉ……?」
メタナイトが腰から宝剣ギャラクシアを抜くと、ダークも剣を抜き、二人とも身構えた。
ただならぬ雰囲気に、その場の誰もが息をのんで(数名は楽しそうに)見守る。
「くぉらー!!おまえたちはなにをしているZOY!?」
マイクがハウリングを起こすほどの大音量で叫んだ空気を読まない人は、デデデ大王だった。
あまりの大声に、気絶していたドロッチェとストロンも慌てて飛び起きるほどだ。
D「わしが企画した神聖なるパーティーで暴動とは、わしへの冒涜ぞい!反逆罪ぞい!」
あんなケーキを中央に置いておきながら何が神聖なのか、と誰もが心の中でツッコんだ瞬間だった。
エスカルゴンが宥めようとしてるが、デデデは酔っているのも手伝ってかヒートアップするばかりで、連帯責任で全員反逆罪ぞい!などと叫んでいる。
メ「陛下、しかしながら……。」
D「言い訳は聞かないぞい!!
こうなったら全員
歌うぞい!」
皆「はぁぁぁぁぁ!!?」
意味わからねぇ!!と誰もがツッコんだ瞬間だった。
D「歌うったら歌うんだぞい!」
ア「まあ、楽しそうなんだからいいんじゃない?」
マ「あ、カービィとシャドーは控えめにするのサ。」
マルクの発言を聞いてえー!?っと二人は不満の声をあげたが、二人とも自覚症状はあるのかしぶしぶながらも頷いた。
エスカルゴンがCDプレーヤーのスイッチを押すと、曲が流れ始めた。
子どもたちがあー!っと声をあげる。
それは子どもたちにも歌える、有名で簡単な曲だった。
走れそりよ 風のように
雪の中を軽く
早く笑い声を雪にまけば
明るいひかりの 花になるよ
ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る
鈴のリズムに ひかりの輪が舞う
ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る
森に林に 響きながら!
雪の中を軽く
早く笑い声を雪にまけば
明るいひかりの 花になるよ
ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る
鈴のリズムに ひかりの輪が舞う
ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る
森に林に 響きながら!
最初は戸惑ってたが、歌っているうちに
いつのまにかみんな笑顔で
性別とか、年齢とか
チューリン族とか、ダークマター族とか
魔法使いとか、戦士とか、コックとか
敵とか、味方とか
そういうのもみんな忘れて、笑っていた。
カ「願わくは、来年もこうして祝えますように……。」
カービィの小さな祈りは、みんなの笑い声の中に溶けていった。
ギャグ編 END