短編夢小説置き場
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【私だけのお狐様】
「なんの奇跡が起こったんだろうねぇ。」
「え、何が?」
呟く私の顔を振り返る、翡翠色の美しい瞳。というか、全てが美しい。
「いやね、なんでこんな超絶イケメンが、私と付き合ってんのかなぁって。」
「ナマエ、まだそれ言う?」
呆れたように笑い、彼――秀一は、私の頭を撫でる。
彼との出会いは衝撃的だった。先に言っておくが、断じてラブコメ的な“衝撃”ではない。文字通りの“衝撃”だ。
私は生まれつき霊感があり、この世のものではないモノたちを視界に入れながら生きてきた。不愉快極まりない人生だ。
ちょうどその日も幽霊なのかなんなのか分からないモノを視てしまい、ひどく顔をしかめていた覚えがある。ただでさえ気分は悪いのに、何の冗談か正面から何か異形のモノがぶつかってきた。思わずしりもちをついてしまう。
冗談じゃない。
あわててソイツを突き飛ばすと、私の正面に誰か立っているではないか。
ご名答。それが、いま私の隣でコーヒーを飲んでいるこの男だ。
『大丈夫ですか?』
手に持っていた茨の鞭がふわっと消え、あたりにバラの花びらが散る。あまりにも美しくて差し出された手を取ったが、いや待てよ、と地面に伸びているソイツをちらりと見る。
『これ、あなたが?』
『ええ、まぁ……。あなたも視えるんですね。』
『あ、はい。昔から……。』
とまぁこんなわけで、なんとも歯切れの悪い出会いとなったわけだ。
ぶつかってきたのがソイツじゃなければもっとロマンチックだっただろうに、とも思うが、私が視えない人間だったら秀一とは出会えていない。そう考えたら昔から嫌いだったこの目が、少しいいモノに思えてきた。
「どうしたの?にこにこして。」
顔に出ていたらしい。秀一に尋ねられた。
「いやちょっと、出会った時のことを思い出してて。」
「ああ。」
秀一はコーヒーカップを置き、私の肩を抱き寄せる。
「あのときのナマエ、すごく嫌そうな顔してたね。」
「そう?」
「うん。オレが吹き飛ばした妖怪がぶつかってきて、すごく顔しかめてた。」
こんな風に、と、秀一はしかめっ面をする。
やめてよ、と笑っていたら、彼の美しい顔が迫ってきた。
ちゅ、と音をさせ、キスを一つ私に落とす。
「オレ、ナマエのあの顔大好き。」
満足そうに言われ、納得いかないが何も言えなくなる。
「……しかめっ面が好きって、何よ。」
言えて、せいぜいこれぐらいだった。苦し紛れに唇を尖らせて見せるが、たぶん私の今の顔は赤い。
「……もちろん、ナマエの全部が好きだよ。分かるだろ?」
ここと、ここ。それからここも――と言いながら、唇は頬や首筋、そしてさらに下へと降りていく。
「ん……。」
ぴりっとした軽い痛みが胸元に走る。彼のバラの花びらのような、赤い花がそこには咲いているのだろう。
何度も言うが、私には霊感がある。そのおかげで今までこの世のものでないモノを何度も視てきた。
いま私の目に映るのは、美しい銀色の毛並みの狐の耳と、妖しく笑う愛しい恋人。
この目で生まれてよかったと、彼の重みを感じながらゆっくりとソファに沈んでいった。
「なんの奇跡が起こったんだろうねぇ。」
「え、何が?」
呟く私の顔を振り返る、翡翠色の美しい瞳。というか、全てが美しい。
「いやね、なんでこんな超絶イケメンが、私と付き合ってんのかなぁって。」
「ナマエ、まだそれ言う?」
呆れたように笑い、彼――秀一は、私の頭を撫でる。
彼との出会いは衝撃的だった。先に言っておくが、断じてラブコメ的な“衝撃”ではない。文字通りの“衝撃”だ。
私は生まれつき霊感があり、この世のものではないモノたちを視界に入れながら生きてきた。不愉快極まりない人生だ。
ちょうどその日も幽霊なのかなんなのか分からないモノを視てしまい、ひどく顔をしかめていた覚えがある。ただでさえ気分は悪いのに、何の冗談か正面から何か異形のモノがぶつかってきた。思わずしりもちをついてしまう。
冗談じゃない。
あわててソイツを突き飛ばすと、私の正面に誰か立っているではないか。
ご名答。それが、いま私の隣でコーヒーを飲んでいるこの男だ。
『大丈夫ですか?』
手に持っていた茨の鞭がふわっと消え、あたりにバラの花びらが散る。あまりにも美しくて差し出された手を取ったが、いや待てよ、と地面に伸びているソイツをちらりと見る。
『これ、あなたが?』
『ええ、まぁ……。あなたも視えるんですね。』
『あ、はい。昔から……。』
とまぁこんなわけで、なんとも歯切れの悪い出会いとなったわけだ。
ぶつかってきたのがソイツじゃなければもっとロマンチックだっただろうに、とも思うが、私が視えない人間だったら秀一とは出会えていない。そう考えたら昔から嫌いだったこの目が、少しいいモノに思えてきた。
「どうしたの?にこにこして。」
顔に出ていたらしい。秀一に尋ねられた。
「いやちょっと、出会った時のことを思い出してて。」
「ああ。」
秀一はコーヒーカップを置き、私の肩を抱き寄せる。
「あのときのナマエ、すごく嫌そうな顔してたね。」
「そう?」
「うん。オレが吹き飛ばした妖怪がぶつかってきて、すごく顔しかめてた。」
こんな風に、と、秀一はしかめっ面をする。
やめてよ、と笑っていたら、彼の美しい顔が迫ってきた。
ちゅ、と音をさせ、キスを一つ私に落とす。
「オレ、ナマエのあの顔大好き。」
満足そうに言われ、納得いかないが何も言えなくなる。
「……しかめっ面が好きって、何よ。」
言えて、せいぜいこれぐらいだった。苦し紛れに唇を尖らせて見せるが、たぶん私の今の顔は赤い。
「……もちろん、ナマエの全部が好きだよ。分かるだろ?」
ここと、ここ。それからここも――と言いながら、唇は頬や首筋、そしてさらに下へと降りていく。
「ん……。」
ぴりっとした軽い痛みが胸元に走る。彼のバラの花びらのような、赤い花がそこには咲いているのだろう。
何度も言うが、私には霊感がある。そのおかげで今までこの世のものでないモノを何度も視てきた。
いま私の目に映るのは、美しい銀色の毛並みの狐の耳と、妖しく笑う愛しい恋人。
この目で生まれてよかったと、彼の重みを感じながらゆっくりとソファに沈んでいった。
1/2ページ