みんなが私のそばに来てくれる。


｢真琴ちゃん、上がってたで！真琴ちゃんのおかげでセットとれたんや！｣

｢ほんまナイスパスやったわ！｣


北原さんか、バレー部の子が、チームのみんなが褒めてくれる。


嬉しくて、興奮して、眠気なんて吹っ飛んでた



それに、試合を見ていたクラスのみんなが今までにない盛り上がりを見せてくれている。



何だか恥ずかしくて、応援してくれているみんなの方は見れなかった。


下を向いたまま、コートチェンジのため反対側のコートに行く。


このまま、落ち着いてやればいける。


深呼吸をして、試合が始まった。



さっきはレシーブ出来たけど、それでも私がこのチームの弱点であるのは変わらない。


相手は私を積極的に狙ってきた。


一度成功したのが励みになったのか、私はあまり怖くなくなっていた。


落ち着きながら球をレシーブする。






それが慢心となったのか、思わぬ事態を起こしてしまった。



第2セットも、私たちがあと1点とれば勝ちというところまで来た。


体育祭のルールによれば、もし次に点をもらえれば、私達はストレート勝ちということになる


緊張の一瞬だった。


私達のサーブが入り、相手のトスが上がる。


さっきと同じ状況。きっと私にくる。


そう思って構えようとすると、地面に落ちていた汗で足を滑らせてしまった。


それに気づいた相手が、安心しきったような顔で私に向かって打ってくる。


少しコントロールが甘いのがわかったけど、避けることはできなかった。



鈍い音が自分の身体から聞え、視界が一瞬真っ暗になった。



相手が打ったボールは私の頬に当たって上がっていった。


その痛みにうずくまって耐える。


そんな中でも、審判の終了の合図の笛は聞こえた。


誰かがスパイクを決めてくれたのか、1点もぎ取れたようだと、冷静に考えてほっとする。



すぐに北原さんたちが私に駆け寄って来る足音が後ろから聞こえた。