来たる体育祭


いや、待ってはいなかった。


この2日間が過ぎれば夏休みに入ってしまう。




｢なんで更にくま酷なってんねん｣

来て1番に一氏くんに言われた。

キスされたことを思い出す。


あんたのせいじゃい。
なんて言えない。むしろ、目を見て話せない。


｢寝れなくて…｣

｢あ、つーか、昨日先帰ったやろ！｣

｢う、ごめん…早く起きちゃって｣


覇気のない私を変だと思ったのか、それとも私が眠そうだと思ったのか

一氏くんは何も言わず、変な目で見てから小春さんの所に行ってしまった。



どうやらこれから開会式があるらしい。放送で、体育館に来るように言っている。


閉じかけた目を必死に開けて、歩いていく。


｢真琴ちゃん！頑張ろな！｣

｢あ、北原さん…おはよう｣


後から来た北原さんと目を合わせる。

私のげっそりした顔を見た北原さんはぎょっとして私の背中に手を回した。


｢大丈夫なん！？うちら、第1試合やで？｣

｢うん…頑張るね…｣


どうやら開会式後すぐに試合があるらしい。

今すぐ寝ろと言われれば寝れるこの状況で、まともに試合に出れるとは思えない。

しかし、そんなこと言えるわけがない。



半分嘘の大丈夫で、うまく乗り切ろうと決心した。