｢真琴、ほんまええやつやなお前！｣

｢ひ、一氏くん…？｣


目の前にユニフォームを着た一氏くん


｢破れたとこも綺麗になって…真琴のおかげやな！｣

｢真琴…？｣



私の名前を呼んでいる…いつもは苗字なのに…


｢ええ匂いやし…真琴の匂いするわ｣

｢気持ち悪…ちょっと嗅がないでよ！｣


その光景は強烈すぎて見てられない

襟を掴んで匂いを嗅いでる一氏くんを止めさせようと近づくと、一氏くんに腕を掴まれた

そのまま背中にも一氏くんの腕が回ってくる

｢うわっ…｣


一氏くんの顔が近い

｢ほんま、ええ嫁さんなるわ｣

｢うえー…色々きついから離して？｣

｢俺…ずっと真琴のことが…｣





あ、これ夢だ





｢滝瀬！もう帰るで！｣

｢…あ…うん｣


一氏くんの声で起きる

これ程夢で良かったと思ったことはないかもしれない


｢うなされてたで｣

｢悪夢だったよ、ほんと｣


なんなんだあの夢は
かなりむちゃくちゃだった


そしていつも通りの一氏くんを見ると、なんだか罪悪感がつのる



｢これ、部室に置いてってええか｣

一氏くんは手芸部に置いてってた靴下、タオルを持っている

｢うん｣


1つ返事で、とりあえず伸びをして帰る準備をする。


外を見ると、昨日より夕陽が見えなかった