｢ユウくん1本取られたなあ｣

｢…なんやあいつ、千歳が好きなんか｣


小春は気づいている。



滝瀬が何も考えないでああ言ったのであって、深い意味はないことを




そしてそれを、ユウジが気づいていないことも



｢ユウくん、悲しいん？｣

｢…なんや最近、あいつの人間関係知るたびに、置いてかれてるような気がするんや｣

｢まあ、さっきのに深い意味はないと思うで？｣

｢せやろか…｣


何故か落ち込んでいるユウジに小春は呆れるばかりであった


ユウくんと滝瀬さんは、友達でも恋人でもない



不思議な関係であると小春は思った













｢熟年夫婦やなんて思ってへんで｣

｢…私も思ってないよ｣

教室に入ったあと、荷物を届けてくれた一氏くん

そんなにあの言動が気になったのかと、ますます一氏くんのことが分からなくなる


｢お前ほんま…なんやねん！｣

｢何にそんな怒ってるのかわかんないけどごめんね。あと、荷物ありがとう｣


本当は先生が来るまで寝ようと思ってたけど、一氏くんは席に戻ろうとしない


｢お前にとって、千歳はなんなんや｣

｢友達だよ｣

｢…なら、お、おお、お…れ……なんでもあらへん！｣


急に壊れたロボットになったかと思えば、小春！と叫びながら席に戻って行った


本当に変な人


別に変なのは今に始まったことではないから、特に気にもせず机に突っ伏した