現実は上手くいかなかった。


｢またおらんし…滝瀬！授業までに連れて来や！｣



昼休みに先生に言われる。


その先生は英語担当で美化委員の先生だった。


授業前に教室見に来て言うなんて、相当怒ってるなこの人。

｢…わかりました｣

なんで、今までは委員会の時しか言われなかったのに…

と言いつつ先生には逆らえないので渋々行く。

周りからも同情の声が聞こえた。


｢真琴、大変やね｣

｢大変だよ。ごめん、探してくる。｣

この前千里にあんなこと言ったのに、結局素直に探しに行くなんて

意志が弱いなぁ私。


お弁当をしまって教室を出る。

最近では千里を探す経路が決まってきた。


屋上前の階段とか、テニス部の部室とか

しかし、いつもはいるはずの所にはいなかった


部室を後にして辺りを見渡す。


確かに今日は外に出たくないような暑さだ。こんな暑さじゃ外でサボることはないだろう。

…というか、昼休みだからサボるとかではない気がする。
それだけ先生は千里を信用していないのだろうか


それは、少し悲しいな


千里は、サボるだけでいい人なんだけどな

サボるから信用されてないんだけどさ


そう思いながら学校のひとつの窓を見ると、誰かがこっちを見ている。


よく目を凝らして見てみると、千里だった。

｢あっ｣

探している私を見てニヤニヤしている。

絶対そうだ、ほら、手振ってるし！

｢あのやろー…｣

あの教室どこ！？
2階だから、教室ではない！

私は校内に向かって走った。