その後も何球かラリーが続いた。


今こっちにくるボールを打ち返せば10球目。



才気煥発外れましたねー千里さん！


そう言おうと口を開いた瞬間、千里さんの顔が変わる。


千里さんはさっきまでのフォームから形を変えて、ラケットを高くあげた。




｢これが11球目たい！｣


スパン！という気持ちいい音が鳴ったと思ったら、私の顔スレスレの所を千里さんの打ったボールが通った。



｢いや…｣


才気煥発絶対守るじゃんこの人。


ていうか普通、スマッシュって相手と離れたところに打つんじゃないの？

顔スレスレに打つのはトラウマ植え付けようとしてるよね？


あのまま楽しくラリーしてても良かったよね？



言いたいことはたくさんあったけど、一言しか出てこなかった。


｢危ないわ！｣


｢いやーすまんばい真琴！怪我せんかったとー？｣


ニコニコでネットの奥から言う千里さん。


｢いや、してないですけど…怖いからスマッシュやめてください！｣

｢わかったわかった。もう1回やろうや。｣

嫌な予感しかしない。