｢渡邉先生は全部知ってたみたいです。去年母が亡くなってから、あの先生に事情聞かされて、今日までずっと見守っててくれてたらしくて……先輩達のことも、聞きました｣



あまりにも憔悴した私を見て、何か力になれればと考えていて、テニス部に入れようとしてくれてたようだ。


｢俺らそない詳しく話されてへんかったから…そういうことやったんか｣


全てが繋がったように白石さんが言う。私をテニス部に入れてほしいと言われて、楽しそうだから了承したらしい。




誰も何も言うことがないのか、黙ってしまった




あの先生は、今月で大阪を離れると言っていた。


…先生の姉である私の母と、同じ病気を患ってしまったらしい



｢あの…すみませんでした。勝手に巻き込んでたらしくて｣

｢いや、それはオサムちゃんやから…巻き込まれたとか思てへんし｣


気を使うように白石さんが言う。

そこで一氏さんが手を叩いて言った


｢お前ら暗すぎるわ！！ほら、円満解決なんやからもっと笑えや！！｣

その言葉に、白石さんも笑顔になる


｢わかっとるわ…真琴、まさかとは思うけど、辞めるなんて思ってへんよな？｣

白石さんが笑いながら言う

ほかのみんなも、私の返事を待っている

｢え、普通にやめようと思ってました｣

｢はぁ！？お前アホちゃうか！？｣

｢いや忍足さんのほうがアホですから。それとこれでは話が別です｣

｢別ちゃうやろ、なんで辞めんねん｣

財前くんにまで言われる

それを皮切りに、みんながまくしたてる。
いやほんと、そういう所よ？



｢やめて欲しくないんだったら、素直にそう言ってください｣


そう言うと、アホ4人はみんな黙ってしまう





｢はい！ワイはやめて欲しくない！｣

｢遠山くん…！｣

｢せやなあ。わしもそう思うで｣

｢石田さん！｣

｢私も…ユウくんもやめて欲しくないで！｣
｢いや俺は｣

｢小春さん！…千歳さんまで！｣


千歳さんも寝転びながら頷く。横で一氏さんが何か言ってるけど気にしない



｢…私、この4人のためにマネージャーやります！…他は知らん｣


べーっと舌を出して何も言わなかった4人を煽る


よし、まず手始めに4人分のドリンクを作ろう

｢じゃあ、ドリンク作ってきます｣

4つ分の空の容器をもって部室を出る
後ろから何か聞こえたけど、無視して走り出した。



今日からまた、マネージャー頑張ります！