｢ちょっと…落ち着けや。…相手は？｣

｢田中太郎ってやつっすわ。ほら、文化祭の時真琴が言ってたやつおったでしょ｣

｢あー、そんな人おったなぁ。でも、ええんやない？幸せなことやろ｣

小春は笑顔で言う。


｢小春！簡単に言ったらあかんで！あいつがそんなんにうつつを抜かしよって、部活サボるようなるかもしれへんやろ！｣

｢もーユウくん、真琴ちゃんがそんなやつやないの知っとるやろ？大丈夫やて！｣


しかし忍足謙也も難色を示す

｢せやけど、なんやろ…取られたみたいで、なんか嫌やな…父親ってこんな気分なんやろか｣


お前はなんで父親の立場やねん


小春は呆れるようにそう思った


しかし、特に危ないのはこの人である


｢え、真琴に彼氏が出来るんか…？その彼氏が束縛すごくて…テニス部やめろ言うて、真琴がやめて…｣

｢蔵りん！？せやったな！蔵りん女の子苦手ななかで、真琴ちゃんは数少ない話せる女の子やったもんな！やっと女の子の友達出来たって嬉しがってたんやったな！｣


｢…真琴なら、断ると思うんすけど…｣



そう、4人は心の中で思っていた





あいつは、なんだかんだ断るはずだと









｢じゃあ、部活始めよか｣

みんなが準備し終えたのを見計らって、白石は声をかけた。

本人にあのことを聞こうと思っていたが、なかなか自分から言い出すことはできなかった。


しかも彼女はマネージャー業をこなすために、水道へスポーツドリンクを作りに行ってしまった




焦りだけが募る白石に、千歳が追い打ちをかける。

｢…あ、そういえば白石｣

｢ん、なんや千歳｣

｢真琴、彼氏できた言ってたばい｣


なんでお前が言うねん。4人全員そう思った。

4人の幻想は、あっという間に壊れた
そしてまさか千歳から聞くとは思っていなかった。


｢これは……部活終わりに聞かなあかんな｣