第弐章
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私たちは火縄中隊長が見つけた階段を降り、突き進んでいく。その途中、細々とした通路が徐々に広くなっていることに気づいた。どうやら、この辺りが地下の終点らしい。張り詰めた空気の中、心臓が高鳴るのを感じた。
その瞬間、奥からシンラの声が響いた。
「ショウ!!」
「今、シンラの声が聞こえた!この奥にいる!」
「そのようですね、火縄中隊長!」
火縄中隊長はすぐに反応し、私に頷いた。次の瞬間、桜備大隊長が私たちに指示を出す。
「シンラの近くには、伝導者がいるハズだ!火縄中隊長と絵馬、アーサーはこのまま突き進んでシンラと合流!茉希とタマキ、ヴァルカンはその後に続け!俺は、反対から回って伝導者の隙をつく。シスターは少し離れた場所でリサさんと一緒にいて下さい!」
皆、緊迫した雰囲気の中で頷き、指示に従った。私の中で緊張が張り詰めていく。シンラが無事であることを願う気持ちが、黒い影のように私を包んでいた。
火縄中隊長が先頭に立ち、私たちは力強く前へ進む。数歩進むごとに、シンラの声が近づいてくるのが感じられる。その時、私たちの進む道の先の柱に隠れているリヒトを発見した。彼が見つめる先に、ハウメアとシンラの姿が浮かんでくる。
ハウメアは、シンラの胸に突き刺さった剣の柄に片足を乗せ、ひどく残忍な笑顔でそれを押し込んでいる。
無情にも体重をかけ、痛々しくグリグリと押し込むその様子が目に飛び込んできた。
「ぐぁああ……」シンラの苦しむ声が地下に響き渡る。
このままではいけない。すぐに止めなければ。意を決して、火縄中隊長とアーサーに目を向ける。彼らもまた、私の覚悟を感じ取ったのだろう。三人の心が通じ合い、いま、行動に移さなければならないという使命感が芽生えた。
火縄中隊長が拳銃を手に持ったのを合図に、私たちは動き出す。私はすぐに地面に絵を描く。集中することで、手は自然と動き、必要な力を引き出す。アーサーがその隙間を瞬時に駆け抜け、気配を消してハウメアに向かって突進していく姿が目に入る。
彼の背中を見送りながら、火縄中隊長が拳銃の引き金を引いた。その瞬間、バチンという音が響き渡る。弾はハウメアに当たることなく、どこかへ弾かれた。
「なんじゃらほい?」ハウメアがこちらに振り向く。私の姿を見つけてニタァと笑った。
「火縄中隊長!」
柱に隠れていたリヒトが、火縄中隊長の姿に驚いた表情をする。アーサーは躊躇うことなく突進し、エクスカリバーでハウメアの首を狙った。バンという鈍い音が鳴り響く。ハウメアは柱に吹き飛ばされた。その光景を目にした瞬間、私は叫んだ。
「踊れ!火猿‼︎」
私が地面に描いた絵から、火猿が現れた。火猿は躊躇うことなく、その巨大な身体を動かし、ハウメアに向かって突進していく。炎が火猿の全身を包み、まるで生きているかのような迫力を持っていた。その拳がハウメアの顔面を狙ったーーーー。
バチ。火猿の拳はハウメアに当たることはなく、弾かれ、消滅してしまった。その光景を目の当たりにしたアーサーは、シンラの前に立ちながら呟いた。
「画家の能力でもか……。ハネる気でいったのに、はじかれた……」
「アーサー……中隊長……絵馬さん……」
シンラの声がか細く響く。無理に身体を動かそうとして、胸に突き刺さった剣から血がボタタと地面に滴り落ちるその姿が、私の胸を締め付けた。痛々しい。
アーサーはその姿を見て、怒りを滾らせた様子で再びハウメアに目を向け、大声で叫んだ。
「お前を退治するのは、俺だぞ、悪魔。こんなところで死ぬな!画家、悪魔に治療を!」
「画家だって?ダサァ〜。なんか、邪魔者出てきちゃったよ、んも〜〜……」
ハウメアは私のあだ名に対してケラケラ笑いながら、手をゆっくりと上げる。彼女の嘲笑は私の心に悪魔のように響く。
その瞬間、シンラがアーサーに途切れ途切れに警告する。
「アーサー……奴は、おかしな技を使うぞ……ゴホ……」
「黙っていろ、喋るな、うるせェんだよ」とアーサーが冷静に応えた。
その時だ。ピシと音が聞こえたと同時に、一瞬にしてアーサーの動きが止まった。目の前のその様子を見て、ハウメアはアーサーに命令する。
「さぁ、邪魔だよ。どけ、どいて」
しかし、「ん?」とアーサーはびっくりした表情で戸惑っているだけだった。ハウメアは彼が命令に従わないことに驚きを隠せない。
「あれ?効かない?」
「くだらねェ、びっくり技かよ。かかってこい」
アーサーはエクスカリバーをハウメアに向け、その姿にハウメアは気づいた。
「プラズマ……私の電気信号が妨害されたのか……。ああああ、クソ、めんどくせェ相手だなァアア」
彼女の言葉から、苛立ちが伝わってくる。伝導者の一人が叫ぶ。
「ハウメア、もう時間が!そろそろよ!!」
「ああ!!わかっている!!こいつらを潰すくらい一瞬だぜ!!絵馬、こっちに出てこいよ!!少しはこっちのこと思い出してきたんだろ!?」
ハウメアは槍伸縮型を地面に突き刺す私の姿を見つめ、私に向かってゆっくり手を上げた。パチという音が耳元響き、視界が消えた。ぼーっと掠れるような誰かの声がノイズのように頭の中に響く。だが、うまく聞き取れない。ふわふわと酔ったような浮遊感になった暗闇の中、ハウメアの叫びが耳に入ってきたのと同時に、視界が元に戻った。
「次から次へと……今度はなんだァあ!!?」
茉希の武器がハウメアに突進し、弾き出されるのが目に入った。
「絵馬!前に出ようとするな、返事をしろッ!!」
「ハ、ハイ!!」
火縄中隊長に肩を叩かれ、我に返る。いつの間にか火縄中隊長より前に出ていたようだ。彼は私の様子を確認し、素早く拳銃を持ち直し、再びハウメアに向けて拳銃を発砲した。