第壱章
夢小説名前設定
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「お父ぅ……お母ぁ……」
私は、涙を流しながら火ダルマの怪物に成り果てた父と母に槍の先端を向ける。
両親はこの世界における突如発生する人体発火現象によって、自我が失われ、命尽きるまで暴れまわり、周囲を延焼させ被害を及ぼす焔ビトに成り果てていた。
「ウゥゥ……アァ……」と声にもならない悲痛な声で少女に一歩、また一歩と近づいてくる。
「鎮魂しないと……浅草に……お父ぅとお母ぁが……」
私は両親であった焔ビトに槍を向けたまま、その場から一歩も動けずにいる。
「私がこの手でやらなければ……でも……でも、私が……」
槍を持つ手が小刻みに震える。早くしないと。私がこの手で二人を。私が……わたしが……
「絵馬、もういい……俺が……代わりにやる」
声の主の手によって、槍の先端が両親ではなく地面に向けられた。槍の先端に視線を向けていた私は、手を辿って視線を向けると法被を着て私と焔ビトの間に立つ男。
私は、男の登場により安堵と悲しみ、恐怖が混同した気持ちになり、その男にポツリと
「承知……」
と小さく呟いた。