第参章
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オグンを先頭に、私たちは目的地に向かって走り続けていた。
「オグン!」
その声に、オグンは一瞬足を止め、立ち止まったままこちらに駆け寄ってくる隊員たちを見つめていた。
「消防所の方で聞こえた爆発音、何があったんだ?」
隊員は肩をすくめ、困惑の表情を浮かべた。
「俺たちも分からねェ。ただ……」
「ただ?」オグンが問い詰めるように鋭く言った。
「……爆発が起きる少し前、火鱗たちの様子が、少し変だったんだ」
「どんな風に変だったんだ?」今度は、アーサーが言葉を重ねる。
「誰だ、お前?」隊員がアーサーに疑問の視線を向けた。次いで、私に視線を移す。その目には、一瞬の驚きが浮かんだ。
「こいつは俺の友達だ。隣にいるのはーー」オグンが説明しようとしたが、私はその言葉を遮った。
「第7小隊と第8小隊の小隊長を務める絵馬 十二です。すみませんが、自己紹介は後にして、話を続けてください」淡々とした声で、私は隊員に話を急かした。
隊員たちは驚きと共に敬礼をした。
「ハッ!失礼しました」隊員は改めて頭を下げた。「火鱗隊員たち3名は、突然ブツブツと独り言を呟きながら現場を離れ、アーグ大隊長がいる部屋に向かいました」
「火鱗たちが⁉︎」オグンは、その言葉に驚きを隠せなかった。彼の目が鋭く光り、言葉を続ける。
「あいつら、どうして……いや、それより……大隊長の部屋には、恐らくパーン中隊長とシンラ、アサコ中隊長もいるはずだ」
「よりによって、アイツもいるのか……」オグンの口から漏れた名前に、思わずボソッと呟いた。
「アイツ?」アーサーが不思議そうに私を見つめる。
「ごめん、こっちの話」私は即座に謝り、視線を戻す。「君、報告ありがとう。オグン君!」
「はい、十二小隊長!」オグンがしっかりと答える。
「第4特殊消防所で、全方位建物に囲まれた敷地があるかな?」
「俺も同じことを考えてました」オグンは一瞬思案し、「さっきの爆発音が敵襲だったとしたら、建物内での被害を最小限に抑えるために、敵を広い場所に誘い込むと思います」と続ける。
その言葉に私は頷き、彼の理解力に感心しながら言った。
「理解が速くて助かる。私たちをその場所に案内してほしい。君たち隊員は、何かあればその場所に来て」
「了解しました」隊員は少しおどおどしながらも、真剣な表情で答えた。
再び、私たちはオグンの道案内で駆け出した。
消防所へ近づくにつれ、耳をつんざくような戦闘音が次第に大きくなり、私の心臓が無意識に早鐘を打ち始める。前を走るオグンが、私の肩越しに振り返り、静かな声で言った。
「十二小隊長、やはり、俺たちが推測したことは間違ってなかったようですね」
「そうだね……」
私は短く答えたが、心の中で何かが引っかかる。その場所に近づくほど、心の中で何かが膨らんでいくような気がする。それはまるで、何かを知っているようで、同時に何も分かっていないような、奇妙な感覚だ。感情を一言で表すなら、懐かしい、という言葉が浮かぶ。しかし、それが何に対しての懐かしさなのかは、どうしても分からなかった。
「見えたぞ!」アーサーの声が、空気を裂いて響いた。彼の指さす先に、ようやくその場の状況が見えてきた。
そこには、シンラとアーグ大隊長が向かい合い、激しく戦闘を繰り広げていた。
「何故、シンラとアーグ大隊長が?」オグンの声にも驚きが色濃く滲んでいる。
その言葉に、私の目は自然とシンラに引き寄せられた。シンラの姿をはっきりと目にした瞬間、再び胸の奥にあの懐かしい感情が押し寄せてきた。
「状況を分析するのは後で。今は、二人の間に割って入るよ!踊れ!火犬十匹だ‼︎」
思わず声を上げる。ポーチから槍を取り出し、その柄を握りしめる手が少し震えた。空中で絵を描くように槍を振り上げると、赤く燃える火犬がその姿を現した。
オグンも一緒に戦いに備えていた。彼は、自身の能力で炎の槍二つを生成し、手元に収めていた。彼の目も、どこか冷徹で、戦闘に対する準備が整っているように見えた。
シンラが突然、アーグ大隊長に向かって駆け出し、アーグ大隊長の腹に蹴りをぶつけた。その攻撃を受けながらもアーグ大隊長は、シンラを顔を弾き飛ばすように殴った。アーグ大隊長に顔面を殴られ、シンラが吹っ飛ぶ。
「今だ‼︎」
私の掛け声と共に、火犬が猛然と走り出す。その動きは速く、まるで炎そのものが生きているかのように、激しく地面を蹴って駆け抜ける。炎の尾を引きながら、その姿はまるで戦場に現れた獣のようだ。
同時に、オグンは手に持っていた炎の槍を一気に投げた。その槍は空中で鋭い軌跡を描き、空中で鋭い軌跡を描き、まるで矢のように一直線に飛んでいく。
火犬はその勢いでアーグ大隊長に近づき、オグンの炎の槍がシンラの目の前に迫った。シンラはそれに気づき、瞬時に反応した。足を蹴って地面を蹴り、バク転をするように宙を舞う。その華麗な動きで、炎の槍をすれ違いながら交わした。
炎の槍と目の前に並ぶ火犬たちを見たアーグ大隊長は、驚きの色を隠せずに言った。
「この犬……そして、この炎の槍は……」
その言葉を聞き逃さなかった私は、冷静に答えた。
「アーグ大隊長、急な割り込み失礼します!」
オグンは鋭く息を吐きながら、言葉を続けた。
「シンラの野郎、第4にきてやりたい放題だな……」
その横でアーサーが不満そうに言う。
「ちょっと目を離した隙に何やってる……」
その時、少し離れた場所に立っていたパーン中隊長がこちらに振り向いた。彼の顔には、少しの驚きと共に期待の色が見えた。
「いいところにきた!オグン‼︎それと……十二とアーサー⁉︎」
パーン中隊長の声が、戦闘の緊張感を少し和らげるかのように響いた。