咬魚の誘惑と魅了の心酔
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「なぁジェイド、君の事が好きだと言ったらどうする?」
「そうですねぇ…ふふっ、こっぴどく振って差しあげます」
「………、…そう、安心したよ。………」
「………え?ちょっ、ちょっと待ってください、今のはどういう…」
「………別に、確認しただけ」
「何の確認ですか!」
「どうするのかなって思って。つまり、君が僕に好きだとか言うのはやっぱりからかってバカにしていたのだと確信した」
「なっ…何故そうなるんですか!?」
「好きな人に好きだと言われてこっぴどく振って差しあげるわけないだろ」
「当然でしょう!!」
「そういう事だ」
「何を冷静に…」
「深入りする前に知れてよかったよ。もしも本気だったら…とか考えた事もあるが、これで安心して君の戯れ言を聞き流せる」
「深入り…?待ってください…待って、あなたは………僕の事が好きなんですか?」
「………さぁ。嫌いではないよ」
ギュッ、
「っ、触るなよ。移るだろ」
「え、何がですか?」
「よりによって何で左手を…っ、握るな!離せ!」
「左…?…ああ、あなたの体の左側に痕があるのは知っています。あれは移るものではないでしょう」
「…移るから寄るなとたくさん言われた」
「アズールは一度でもそう言いましたか?」
「言ってない。アズちゃんだけは…触れても大丈夫だった」
「僕も大丈夫です」
「分かんないだろ!離せって!」
「…そうですね。僕は絶対に大丈夫ですが他の人には触らせない方がいい。…触らせないで」
「はあ!?」
「抱き締めてもいいですか?いえ、抱き締めます」
「え?ちょっ…!」
ぎゅうう、
「何考えてんだお前…」
「あなたの事を考えています」
「離せよ」
「嫌だ」
「駄々っ子か?マジ意味分かんねぇんだけど…」
「あなたが言ったんです。…僕の事が好きだと」
「いや言ってないけど」
「そういう意味だったはずだ」
「………」
「ほら…否定しないのは肯定でしょう」
「…君の答え次第では嫌いにもなれる。既にこっぴどく振られたので、君の戯れ言は聞き流して嫌いになるよ」
「振ってないです。僕の性格をよくご存知では?」
「自分の"こっぴどく"はこんなもんじゃないって言いたいの?」
「そう思いませんか?」
「………だとしても、もういい」
「何がいいんですか。……僕は、あなたが好きです」
「離せ」
「昔から、嘘で言った事は一度もありません」
「うるさい」
「こっぴどく振られていたのは僕の方だ。それでも僕は…!」
「離せって!」
ドンッ!
「っ!そんな…本気で突き飛ばさなくて…も…、え?」
「………」
「何故…そんな顔を………。まるで僕の事を…本気で好きみたいだ…」
「ああ!?顔が何だってんだよ!!」
「赤いです。…ゆでダコさんのように」
「っ…お前が抱き締めるからだろ!耳元で、好きだなんて言うから…!」
「だから?」
「だから……っ、」
「照れているんですか?恥ずかしいんですか?嬉しいんですか?」
「うっ、うるせぇしうぜー!」
「どれですか?ねぇ、本当の気持ちを教えてください」
「うぜぇっつーの!」
「ヴァレッタ、ヴァレッタ待って」
「だっ、抱き締めるな…!」
「後ろからなので抱き締める内に入りません」
「謎の君基準やめて。あすなろ抱きって呼び方があってだな、抱きって言ってるからには……ちょっと待て、セクハラやめろ。…胸に手を当てるなってば…!」
「…ふふっ」
「お前マジやべー奴だな!?」
「以前抱き合った時に言われた事をようやく言い返せます」
「あ?」
「『君、心臓の音やばいな』」
「っ…!」
「今…どういう気持ちですか?」
「マジでムカつく…!!」
「あははっ」
「言っとくがお前だって今、前よりやばいからな!?このまま死ぬんじゃねーの!?」
「自覚しています。このまま死ぬのも悪くないですね」
「悪いわ!」
「一緒に死んでくれますよね?」
「くれませんが!?」
「またまた…ふふふ、」
「この人マジヤバなんですけどっ!!」
「ヴァレッタ、…ヴァレッタ…」
「何だよ…1回呼べば分かるって…」
「好きです…」
「っ…、」
「あなたは?…ちゃんと言って…。…お願いします」
「………」
「ヴァレッタ」
「うわっ!ちょっと…嫌だ!正面から抱き合うのは…、…照れるだろ…」
「言ってくれるまで離しません」
「………、」
「本気です。ちゃんと僕の事が好きだと言ってくれるまではこのままです」
「………」
「聞いていますか、ヴァレッタ」
「聞こえてる。気が済んだら言うよ…」
「え?気が済んだら…とは…?それでは…今は抱き締められていたい、という意味だと誤解されても仕方ありませんよ」
「………誤解じゃないし」
「……………」
「…?なに…寝たの?」
「…本当に嬉しい時は、何て言葉を発したらいいのか分かりませんね…。一瞬、呼吸の仕方も忘れてしまいました」
「やばいな」
「やばいです。…あなたは、言葉と仕草だけで…僕を殺せる」
「ええ?何それ怖いんだが…勝手に死ぬ事は許さないぞ。僕が殺意を持って対峙した時以外死ぬな。こうなった以上それは有り得ないが」
「こうなった、って何ですか?」
「え?いや…だから、」
「だから?」
「………っ、ああもう!好きなんだよ!君の事が!この僕が、愛する人を殺すなんて事は有り得ない!絶対に!」
「………」
「殺せと言っても生かして繋ぎ止める。僕と同じ日、同じ時間に一緒に死ぬようにな!引いたか?僕がおかしい事は分かってたはずだ!今更逃げようとしてももう遅いぜ。絶対に逃がさないし死なせない。僕に愛されてしまったのは血迷って僕を好きだなんて言い続けたせいだ。愚かな自分を恨み後悔するんだな!!」
「…………」
「うっ…苦しい、腕の力抜けよ…」
「…………」
「さらに強めるな!体が折れる!」
「プロポーズですよね…」
「プロ……え?」
「死ぬまでそばにいて、同じ瞬間に共に死のうという…重めの」
「まぁ……そうかな」
「断る理由がない…夢にまで見ていた事です」
「いや、よく考えろ…僕はお前の幸せを願ってはいない。僕を好きだと言う内は自由にさせるが、嫌いになったら…他の誰かに惚れたらその時は…生きたまま地獄を味わう事になる。僕の手の中で、死ぬまでな」
「ふふふっ!恐ろしいです!」
「笑い事じゃないが…」
「考えたところであなたは僕を逃がさないんでしょう?」
「逃げて生き延びる努力はしろよ。どんな手を使ってでも追いかけて結局は僕の物にするが」
「それも…いいですね」
「え?」
「今度はあなたが追う番だ…」
「…ん?追いかけっこの話じゃないぞ」
「追いかけっこの話ですよ。…あなたも少しは考えては?僕もあなたの幸せは願っていませんので。あなたには僕の傍で僕だけを見て僕の声だけを聞いて僕の事だけを考えていてもらいたい。僕が幸せである為に」
「自分勝手だな」
「お互いさまでしょう」
「違いねぇ」
「卒業したら一緒に暮らしましょう」
「ん…」
「いずれは山奥で自給自足の生活がしたいです」
「ああ、悪くないね」
「楽しみです。あなたと生きていける事が。嬉しいです。あなたの全てを手に入れられる事が…。
あなたは……僕の物だ」
「勘違いするな。お前が僕の物なんだ」
「どちらも同じ事ですよ…ふふっ」
「…まぁ、それもそうだな。
…これからよろしく。深海の魔女に愛された哀れな人魚くん」
「これから"も"よろしくお願いします。咬魚の誘惑に負けた愚かな魔女さん」
《咬魚の誘惑と魅了の心酔》
海底の参謀と深海の魔女が交わした契り。
End.
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