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『…おいおい、マジかよ!』
オートボットの基地内に響き渡った、タイヤを軋ませる音と、焦りを含んだ叫び声。
銀色のシボレー・コルベット、サイドスワイプが滑るようにトランスフォームし着地する。彼の視線の先では、1人の女性軍人が積み上げられたコンテナの山に向かって、盛大にバランスを崩していた。
「わわっ…!?」
彼女はオートボットと共闘する精鋭部隊NESTの一員だ。軍人としての志は高く、その洞察力や機動力、作戦を遂行する能力も申し分ない。…のだが、如何せん、日常生活における足元が致命的におぼつかない。
そんな◯◯◯の身体が地面に叩きつけられる直前、銀色の腕がその腰を強引に、かつ的確に掻っ攫った。
『…セーフ。ったく、勘弁してくれよ…スパークが止まるかと思ったぜ』
サイドスワイプは◯◯◯を抱き上げたまま、その安全を確信するとようやく不敵な笑みを浮かべつつも、眉を寄せるようにしてため息をついた。
「サイドスワイプッ…!ありがとう、私、またやっちゃった…」
腕の中で◯◯◯は顔を赤らめている。そんな彼女を見下ろし、サイドスワイプは呆れたように首を振った。彼にとって、戦場で弾丸を避けるのは容易なことだ。重力を無視したような動きで敵を翻弄し、スタイリッシュに勝利を収める。それがサイドスワイプの得意とするところであり、誇りでもある。
だが、◯◯◯が「何もない平らな場所で、何故か突然転ぶ」のを防ぐのは、どんなディセプティコンの奇襲を阻止するよりも難易度が高い。
『“また”どころじゃないだろ。今日だけで何度目だ?昨日だってデスクの角に頭をぶつけそうになってたし、一昨日なんて洗車用のホースに絡まってただろ』
「うっ…それは、その、みんなの役に立とうと、急いじゃって…」
申し訳なさそうに視線を落とす◯◯◯。その華奢な身体が、サイドスワイプの大きな掌の中に収まっている。
サイドスワイプは◯◯◯を抱えたまま、人目のつかないメンテナンス用の高台へと飛び乗った。下手に下ろせば、また何かに躓くんじゃないかと警戒したからだ。
『いいか?◯◯◯がドジを踏むたびに、俺の反応速度の記録が更新されてるんだ。…ついにアイアンハイドから、記録の更新なら戦場でやれ、なんて言われちまったよ』
「そ…そうなの…?」
『最高にクールなはずの俺が、だぞ?こんなに余裕なくして走り回ってる姿、ディーノやジョルトに見られたら、何て言われるかわかったもんじゃない』
「…ごめんなさい。やっぱり、私、サイドスワイプの隣にいるのは相応しくない、よね…もっと、こう、隙のない素敵な女性の方が…」
突然弱気になった◯◯◯の声に、サイドスワイプの回路が一瞬熱くなったように感じた。
抱きしめる力を少しだけ強め、耳元で低く囁く。
『…バカ言うな。誰がそんなこと言った?』
サイドスワイプは◯◯◯をゆっくりと下ろしたが、その手は腰から離そうとしなかった。それどころか、逃がさないようにとぐい、と自分の方へ引き寄せる。
『危なっかしくて見てられないから、俺がずっと側にいてやるって言ってんだ。◯◯◯が転ぶ前に、俺が支える。◯◯◯が何かを壊す前に、俺が片付ける』
「サイドスワイプ…」
『…ただし、毎日毎日俺をハラハラさせる責任は、ちゃんと取ってもらうぜ?』
サイドスワイプは◯◯◯の瞳をじっと見つめながら、小さく排気した。
『大体な、◯◯◯は自分の危なっかしさを分かってなさすぎるんだ。今のその、申し訳なさそうに俺を見上げる表情とか…他の男の前で見せてみろ。俺がそいつをスクラップにする手間が増えるだろ』
「…そんな物騒な」
困った表情を見せる◯◯◯にわざとらしく意地悪く笑いながら、彼女の柔らかな頬を指先でそっとなぞる。
『軍人としての◯◯◯は尊敬してるぜ。でも、俺の恋人としての◯◯◯は、もっと自分を大事にしなきゃダメだ。この細い腕にかすり傷1つ作るだけで、俺の気分は最悪になる…分かったら、これからは俺の視界の外で勝手に転ぶな』
「…もう、過保護すぎよ」
◯◯◯が思わず吹き出すと、サイドスワイプも満足そうに口角を上げた。
『今更気付いたのか?◯◯◯を支えていいのは俺だけ。◯◯◯を振り回していいのも俺だけだ。…ったく、俺をこんなに必死にさせやがって』
サイドスワイプは◯◯◯の手を取り、その甲にそっと唇を寄せた。それは誓いであり、彼なりの不器用な愛の証明でもあった。
『分かったら、返事は?』
「…はい、これからもよろしくお願いします、サイドスワイプ」
少し照れ臭そうに…でも、そんな感情を振り払うかのように礼儀正しく敬礼しようとして、またしても足元のバランスを崩しそうになる◯◯◯。
サイドスワイプは『言った側からかよ!』と快活に笑いながら、今度は完全に◯◯◯を抱き抱えると、彼女の額に甘い誓いを刻み込むかのように唇を落とした。
『最高にクールな俺が、◯◯◯専属の護衛なんだ。これ以上に贅沢はないと思うぜ、お嬢さん?』
銀色の若き戦士は、愛しい存在をその腕にしっかりと感じながら、今日一番のスタイリッシュな笑みを見せていた。
