Bumblebee
夢小説設定
この小説の夢小説設定本人曰く、至って普通の20代日本人。
国防長官ジョン・ケラーと面識があったため、大学院卒業後すぐ彼によって就職先を斡旋され… 現在人類と金属生命体の緩衝材として軍地基地に勤務中。
「私はジョンに騙されたの!!」…とのこと。
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「ん~~~~っ」
必死になって手を伸ばす。
…届かない。
おまけに思いっきりつま先立ちにもなってみる。
…やっぱり、届かない。
こうなったら、とピョンピョン飛び跳ねてもみるけれど。
…どうやったって、届かない。
「…はぁ…」
小さくため息をついて、翡翠は高い棚の上に綺麗におさめられているファイルを恨めしそうに見上げた。
普段はこれと言って、不便している訳でもないけれど…
こういう時に背が高いっていいなぁ、なんて思ってしまう。
「横着しないで、踏み台取ってくるか…」
くるっと踵を返して資料室を出ようとしたその時。
「わっ!」
お腹辺りにポスッと何かがぶつかった。
びっくりしている翡翠に、その何かの正体はにっこりと微笑んで。
『翡翠っ、やっと見付けた~』
「ビー」
『何してたの??いつもの部屋にいないから、どこ行っちゃったのかと思って探してたんだ』
「あぁ、ごめんね」
何か用事があったのかな。
そう思って聞いてみるけど、バンブルビーから返ってきた返事は『ただ会いたかっただけ』とのこと。
…このとてつもない可愛さはどうしよう。
本当に、彼はこのむさ苦しい男ばっかりの軍事基地の中での癒しだ。
『…お仕事の邪魔だった?』
しかも…ビー、その上目遣いは反則っ!!
「ううん、大丈夫だよ。ファイルを取って帰ろうと思っただけだから、すぐに戻るね」
『ファイル?でも、何処行くの?』
すれ違いざまに軽く頭を撫でて…資料室を出て行こうとする翡翠にバンブルビーは首を傾げた。
「取りたいファイルの保管場所に手が届かないの」
『あ、そっか』
「だから、踏み台か何か探してくるね」
オプティマスくらい、背が高ければ苦労しないのにね~…なんて言いながら笑う翡翠だが、扉に手をかけた瞬間、後ろからくい、と服を引っ張られる。
振り向くと当然そこにいたのはバンブルビーで…
「どうしたの?」
『ファイルが取れればいいんでしょ?おれ、良い考えがあるんだ!』
「え?」
『ちょっと待ってて』
「え、あっ、ちょっと!」
言い残してあっという間に出て行ってしまうバンブルビー。
どこぞの司令官みたいな台詞を言っていたけど…う~ん。
とりあえず、急いでいる訳でもないから、待ってみるか…
なんて思いつつ、手近にあった資料に目を通しながら時間を潰す。
時間にして、10分ほどだった…と思う。
『お待たせっ!』
「あ、おか、え…り…」
バンブルビーが戻ってきた。
いや、おそらくバンブルビーだと思われる人物が戻ってきた。
翡翠の足元にはあまりの衝撃に手から滑り落ちてしまった資料が無残に落ちている。
「…へ…?」
ポカン、と口を開けたままでいる翡翠にその人はにっこりと微笑みかけた。
『取りたかった資料って、どれ??』
「えっ…あ、あぁ、一番の上の緑の背表紙のヤツ」
『あ、これだね』
力の入らない指で何とか目的のものを指し示す。
何とびっくり。
その人は少し背伸びをしただけでヒョイ、とそれを取ってくれて翡翠に渡してくれた。
「あ、ありがとう」
『どういたしまして』
え~っと…
私は夢でも見ているのでしょうか??
それとも、自覚していないだけで疲れ過ぎていたのだろうか??
もらった資料を胸に抱き締めたまま、その場を動こうとしない翡翠に、今度はその人が首を傾げた。
『どしたの?』
「え?い、いや…」
『早く翡翠のお部屋に戻ろう。おれ、また翡翠の故郷の話を聞かせて欲しいんだ!』
お仕事終わるまで待ってるから、と笑ったその人にキュッと手を握られて、思わず赤面してしまう。
うわっ、今絶対ボンッて顔赤くなった!!
「ま、待って!」
『ん?』
こうなったら、もう意を決して聞いてみるしかない。
「バ、バンブルビー…だよ、ね?」
『そうだよ?』
で・す・よ・ね!
そうだよ、何を言ってるんだ、私!!
眩しいくらいに綺麗な金髪も…
蒼く澄んだ瞳も…彼に他ならない。
ただ、違うとしたら…
「何で、そんなに背が伸びてるの?」
そうなんです。
今、翡翠の目の前にいるのはオプティマスには及ばないものの、スラリとした長身な男性。
バンブルビーの特徴を残しつつ、でも大人な雰囲気を醸し出している…そんな人物がいきなり現れたら、驚くなというほうが無理というものだ。
翡翠がそう言うとバンブルビーは『あぁ、そっか』と一言。
『ごめんね、レノックスたちには一度見せたんだけど、翡翠にはまだだったっけ』
「え?」
『ラチェットが開発した薬の効果なんだ』
「…へ?」
あっけらかんと、ものすごいことを口にしてくれる。
「ちょっ、ビー!!ダ、ダメでしょ、そんな怪しいモノほいほい口にしちゃあ!!!」
『えっ、ちょっと翡翠、落ち着いてよ~』
まぁまぁ、とバンブルビーに肩を押さえられる。
…おかしな気分。
特徴も性格もバンブルビーのままなのに…一気に大人になってしまったかのような彼を見上げながら話をしなきゃならないなんて。
『最初にヒューマンモードを導入したときにさ、おれの年齢で考えたらまだまだ小さい体でちょうど良いくらいだったんだけど、ラチェットがそれじゃあ任務の時に困ることも出てくるようだからって』
「ふ、ふ~ん…」
『いざという時に困らないようにって…おれのために開発してくれたんだ』
嬉しそうに微笑むバンブルビー。
きっと、これで任務の時にまた皆の役に立てるかもしれない、というのが嬉しいのだろう。
本当に、純粋だから。
でも私は…そんな素直には受け止められない!
バンブルビーの活躍を喜ぶよりも先に、すでに何でもありの軍医・ラチェットの末恐ろしさを改めて垣間見た気分だ。
『大丈夫だよ。ちゃんと元に戻るから、ね?』
「う、うん」
あたしの顔を覗き込むようにしながら、そう言われてまた顔が赤くなった気がする。
…は、反則だっ!
可愛い、可愛い、と思っていた彼が大人になれば…こんなに格好良くなってしまうなんて…
『戻ろう、翡翠?』
「うん…」
普段とは違った大きな手。
翡翠の手などすっぽりと包まれてしまう…
そんな彼に手を引かれ、しかも持っていた資料まで持ってもらい、部屋に戻る。
そういえば…と思って聞いてみたけど、薬の効果は開発中でまだはっきりとしていないらしいことがわかった。
前回、レノックスたちにお披露目した時は1時間くらいの効果だったらしいけど、今回のにはさらに改良が加えられているらしい…
翡翠は悟った。
こんな簡単な理由でラチェットが薬を渡すなんて変だとは思ったけれど…
ヤツめ、絶対にビーで改良された薬の効果を今!!まさに今実験中なのよっ!!!
「いい?今後はラチェットにおかしな薬や飲み物を渡されたら、まずは私かオプティマスに相談してね?」
『う、うん』
大きな体でテーブルについて、翡翠の話を聞いているバンブルビー。
体は大きくなっても、やっぱり性格はそのまま…可愛いビーだ。
不釣り合いだとは思いながら、その頭を優しく撫でてみる。
眩しい金色の髪は普段のバンブルビーと同じように、とてもとても柔らかかった。