Optimus
夢小説設定
この小説の夢小説設定本人曰く、至って普通の20代日本人。
国防長官ジョン・ケラーと面識があったため、大学院卒業後すぐ彼によって就職先を斡旋され… 現在人類と金属生命体の緩衝材として軍地基地に勤務中。
「私はジョンに騙されたの!!」…とのこと。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「オプティマス~」
カチャッと扉を開けて部屋に入る翡翠。
オートボット用の大きな扉の横に人間サイズの小さな扉がちょこんとついていて、翡翠はいつもそこから出入りしているのだが…
どうも慣れない。
まだ不思議の国のア○スにでもなった気分だ。
『あぁ、翡翠』
見ると、オプティマスはその大きな指の先で小さな書類を持っている。あまりのアンバランスさに初めて見たときはかなり笑った。
だが、こうしてブルーのカメラアイにチラッと映すだけで、書類の内容がそのままブレイン内に記録されるというのだから、羨ましくなってしまう。
対する人間は、もちろんそうはいかない。
「お疲れのところ悪いんだけど、追加の報告書が来てるわよ」
『そうか。大丈夫だ、疲れてはいない』
「それはよかった」
『…翡翠のほうこそ、大丈夫か?』
「ん…あんまり」
側まで歩いていく翡翠の目の前にオプティマスが掌を差し出す。
彼と仕事をする際は、すぐそばに設置された台に上がることが多い。その方が、オプティマスとの距離が近くなって話し合いもしやすいし、何よりオプティマスも足元に気を配る必要がなく、楽なのだそうだ。
梯子はついているのだが、オプティマスはいつもこうやって翡翠を台の上へと運ぶ。
小さな体が掌から転げ落ちてしまわないように、慎重に。
「よいしょ、っと」
ドサッと書類を足元へ下ろす。
…書類が高く積み上がり過ぎていて、前方の視界すら危うかった。レノックスさんめ…
「オプティマス、ケーブル繋ぐね?」
『うむ』
オプティマスの腕から1本ケーブルを引き出すと、それを翡翠が自分のノートパソコンへと繋ぐ。
オートボット側の報告データをオプティマスがパソコンへと送り込み…翡翠が人間サイズの用紙に印刷する、という訳だ。
言うなれば、共同作業となっている。
『いつもすまない。オートボット同士の報告であれば、データのままで十分なのだが』
「まぁね~。でも、書面に残したがるのが人間っていう生き物なのよ」
カタカタとパソコンを叩きながらそう答える翡翠にオプティマスは『ふむ』とだけ答えていた。
ディセプティコンの残党を討伐するたびに、報告書は欠かせない。
最近、出動が増えているせいか報告書を書く機会も増えた…ふと、最近はオプティマスの秘書にでもなった気分だ、と翡翠が前に言っていたのを思い出す。
何だかんだと多忙を極める彼女には申し訳ないな、と思いつつもオプティマスはちょっぴり嬉しかったりもする訳で。
『うむ、私の方はデータは送り終えたようだ』
「早っ!!ちょ、ちょっと待って…」
『いや、ゆっくりで構わない』
オプティマスは思う。
こうして2人きりで過ごす機会は決して多くはない。
他のオートボットたちも何故か彼女に惹かれ、翡翠はいつも人間だけでなく、金属生命体の面々にも囲まれている。
まぁ、自分も例外ではないのだろうが。
翡翠と2人で過ごす時間はとても貴重で、暖かいものだった。
『翡翠…私は君に感謝している』
「ふふっ、そう言ってもらえるとあたしも頑張ってる甲斐がありますよ」
『いや、そうではない』
「ん?」
『君の存在に感謝しているのだ。君がいてくれるから、私はこんなにも穏やかだ』
「…っ…そ、それは、どうも…」
一瞬驚いた表情を見せたあと、翡翠はフイッと視線をパソコンへと戻してしまった。
…何か、悪いことを言っただろうか。
そう思っていると翡翠は困ったように笑った。
「アメリカ人の熱~い台詞にも戸惑っているってのに、貴方たちもですか」
『???』
「私たち日本人はね、そういう台詞は吐かない傾向があるの。だから、言われると戸惑っちゃうのよね」
『そうなのか。では、どうやって思いを伝える?』
「どうやって…ん~、やっぱり言葉でなんだけど、もっと間接的に伝えることが多いかなぁ」
オプティマスは思った。
近いうちに、インターネットで“日本の文化”とやらを学んでおこう、と。
そして、ふとパソコンに向かい続けている翡翠の頬がほんのり赤くなっていることに気付いたオプティマスは、具合でも悪いのだろうか…と、気になりそっとスキャンした。
体温と心拍数がわずかに上がってはいるものの、特に異常はなかった。
だが…
「オプティマス」
問題はそこではなかった。
『何だ?』
「今、私のことスキャンしたでしょ」
『うむ』
「やっぱり!ちらっと青いのが光ったから、もしかしたらって思った!」
翡翠がわずかに頬を膨らませている。
人間が怒ったとき、稀に見せる表情だということは知っていたが…
『何を怒っているのだ?』
何故、翡翠の機嫌を損ねてしまったのか…オプティマスにはわからない。
「…そのスキャンって、どこまで見えてるの?」
上目使いで、少し睨んでいるような表情の彼女。
初めて見るその表情にも、魅力を感じてしまうのだが…そんなことを言っている場合ではない。
翡翠は怒っている。
『スキャンレベルを変えることで、認識できるレベルも変わってくるが』
「でも、つまり…スキャンレベルってのを高度にすれば、色々わかっちゃうのよね?」
『そうだが』
「…それって、何だかエッチじゃないですか?」
『……………』
「……………」
一瞬の沈黙。
『わ、私は別に、やましい思いでした訳ではないぞ』
「それはわかってる。真面目な貴方がそんなことするはずないもの。でも…正直言っちゃうと、あまり気分の良いものじゃない、かな」
『…わかった。では、これからは善処しよう』
「うん、ありがと」
にっこりと微笑む翡翠。
スキャンという重要な機能の一つを使わないようにするのは、容易なことではないが…
それで彼女に嫌な思いをさせないで済むかと思えば、安いものだ。
「あぁ~、それにしても今回は報告書多くて、書面にするの結構大変だねぇ」
パソコンの打ち過ぎで、手が痛くなってきた…と手首をクルクル回している翡翠。
その言葉にオプティマスは翡翠のことを心配した。
純粋に…心配したつもりだった。
『大丈夫か?少し休んだほうが良いだろう』
「でも、レノックスさんも急いでるみたいだったから」
『だが、酷使しすぎると手首を痛める』
ピッ
オプティマスのカメラアイが光を増したその一瞬を翡翠は見逃さなかった。
「って、言ったそばからスキャンするなぁぁっ!!」
『…はっ!すまん、つい!!』
その後。
報告書を取りに来たレノックスによって目撃されたのは、翡翠から“女性に対するスキャン禁止令の発令”をされた上、“プライバシーのなんたるか”を切々とレクチャーされている正座姿のオプティマスだった…とか。
「…何やってるんだ、あの2人?」
ええ、全くもって、その通りです…