Optimus
夢小説設定
この小説の夢小説設定本人曰く、至って普通の20代日本人。
国防長官ジョン・ケラーと面識があったため、大学院卒業後すぐ彼によって就職先を斡旋され… 現在人類と金属生命体の緩衝材として軍地基地に勤務中。
「私はジョンに騙されたの!!」…とのこと。
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「あ~…何ヶ月ぶりだろう…」
ぼ~っと座り、テレビを見ている翡翠。
テレビから流れてくるのは日本語の番組ばかり。
緑茶だってこれでもかってくらい美味しい。
何より、愛しい愛しいコタツに、当然のお供…籠に入ってコタツの上に置かれているミカン。
あぁ、日本って素晴らしい!!
「もう、大袈裟ねぇ」
「でもやっぱ日本文化に囲まれてるとそのありがたさが実感出来るよ」
「ふふ、まぁそれはわからないでもないけど」
笑いながら登場したのは翡翠の母。
向かいで新聞を広げているのは翡翠の父。
そう、本当に久しぶりに…今は長期休暇をもらい、日本の実家へと帰省中なのである。
「まだゆっくりしてて大丈夫なの?お友達と約束してるんでしょ?」
「ん~…」
ふと時計を見るが、まだ小一時間は大丈夫だろう。
そう答えて再びコタツでぬくぬくし始めたその時。玄関のインターホンが来客を知らせてくる。
「翡翠~、出てちょうだい」
「はぁい」
いつの間にかまたキッチンに戻っていたようで遠くから聞こえる母親の声。
仕方なくコタツから出て玄関に向かった翡翠だが。
ガチャッ
「はい。どちら、さ、ま…」
……。
……………。
…パタン
立っていた人物を見た瞬間、再び静かにドアを閉めた。
そのまま思わず何度か瞬きする。
…あれ?
なんか今、すごいものが見えなかった?
見間違い?私、疲れてる??
いや、見間違いだとしてもとりあえず鍵くらいかけて、何も見なかったことにしたほうが良いだろうか。
色んなことをグルグルと考えていた、その時。
『おぉ、翡翠!会いたかったぞ』
「ッ…」
よく見知った声が聞こえて、思わずビクッと肩が震えた。
見間違いなんかじゃない!!
「オ、オプティマスッ!!?」
『うむ』
「うむ、じゃない!何でいるんですっ!?」
ガチャッともう一度ドアを開けると、そこに立っているのは確かにオプティマス司令官で。
満面の笑顔でそこにいらっしゃいました。
うぅ…眩しい…眩しすぎる…
『翡翠に会いに来たのだ。大丈夫だ、任務が入ればすぐに戻れるよう手配はしてある』
「は、はい??」
まさか、と思ってオプティマスの背後を見れば静かに鎮座している黄色いカマロ。
絶句しつつ、思わず玄関を飛び出しカマロへと駆け寄る翡翠。
「バッ、バンブルビー…!?」
『“お久しぶりですっ!”…“私も会いたかったわ”』
声をかけるとカーステレオからラジオが流れる。
ビークルモードでいる時の彼はこうして発声機能が壊れていた時と同じコミュニケーションの取り方をする。
彼なりに周囲にばれないよう、気を使っての行動らしい。
だが、今問題なのはそこじゃない。
「何でッ…」
『“海を超える旅”…“彼は君に会いに来たんだ”』
「何で、ビーまで付き合わされてるのよぉ…」
『“仕方がない。どうすることも出来ないんだ”』
「……………」
ようは、司令官であるオプティマスに声をかけられ、断れなかった…ということなのだろう。
はぁ、と小さくため息をつく翡翠。
その時、カマロの後部座席から何やら呻くような声が聞こえた…気がした。
スモークガラスになっているため外からは見えなくて、扉を開け、後部座席を覗き込んだ瞬間、本日二度目の絶句。
座席の上に人が乗って…いや、転がっている。
………誰っ??
見覚えのない顔だった。
両手・両足をしっかりと縛られ、ご丁寧に口まで布で覆われて…
さっきの呻き声はこれか、と納得しつつも声を出せずにいる翡翠。
それを悟ったのだろうバンブルビーが再びラジオを鳴らす。
『“輝く星空、素敵!”…“俺は、いつだって一番になれはしないんだっ!!”』
…星空?一番にはなれない??
そのキーワードが頭の中で一番不幸な形で一致をしてしまう。
その瞬間、みるみる翡翠の顔から血の気が引いた。
「ま、まさか…スタースクリームッ!!?」
間違いであってほしい。
そう願った翡翠の思いは、必死になって頷いて見せるその人物によってものの見事に打ち砕かれた。
『任務が入ればすぐに戻れるよう手配はしてある』とはそういうことだったのか。
それ以前にバンブルビーでは海は越えられない…おそらくF22に乗り込み上陸したのだろう。
…あの野郎、戦闘機で日本の領空を飛びやがった。
いや、その前に…ディセプティコン(元)の一応ナンバー2を拉致しやがった。
色んな意味で顔面真っ青。
「な、なんてことをッ…」
盛大に文句を言ってやろうと玄関のほうへバッと視線を向ける翡翠だが…
「って、いないしっ!!」
目的の人物の姿はすでになく…慌てて家へと戻る。
そして、さっきまで自分がいたリビングへと駆け込んだ。
「ちょっと、オプティ…」
だがそこで、翡翠は目に飛び込んできた光景に目眩を催し、思わず倒れそうになった。
いや、いっそこのまま倒れてしまったほうが幾分楽だろう…きっと。
「そうかそうか、翡翠がいつも世話になってるなぁ」
『こちらこそ、いつも彼女の働きぶりに助けられてばかりです』
「そうなの?まぁ~、異国で大丈夫なのかと心配していたけど、ちゃんと仕事してるのね」
『ははは、心配には及びませんよ』
和気あいあいと会話している自分の父母…そして司令官。
オプティマスなどおそらくまたインターネットで勉強済みなのだろう。
流暢な日本語をしっかりと使いこなしている。
「ちょっとっ!!」
「あら翡翠。あなたも座りなさい、司令官さんがせっかく来て下さったのに」
「いやいや、なかなかの好青年じゃないか。君のような人が翡翠と一緒に働いてくれているなんてとても安心だよ」
笑い合う3人に思わず苛立ちが募る。
かねてから、呑気な父母だとは思っていたが…
「お父さんっ!そんな呑気なこと言ってる場合じゃ」
『翡翠。ちょっと待ってくれ、大事な話があるのだ』
「え…」
突然真剣な表情でそう言ったオプティマスに…何故だろう。
ものすごく、嫌な予感がするのですが。
スッと立ち上がったオプティマスを不安げに見上げる。
その表情から彼は一体何を理解したのか…小さく『うむ』と頷くと、今までいたコタツから離れ、翡翠の父親・母親の前に静かに座りなおす。
そして…
「ちょっと…オプティマス??」
唖然とする翡翠の前で両親に向かって頭を下げた。
いや、頭を下げるなんてレベルじゃない…これは、もはや土下座に近い。
一体どこでそんなことを知った、オプティマス!!
ネットかっ!!やっぱりインターネットかっ!!!?
『彼女とは清く、正しくお付き合いをさせていただいています』
「ちょっ…」
誰が付き合っているか、誰がっ!!
そんな突っ込みも今唖然としている翡翠には出来ないまま…
ただパクパクと口を開いたり、閉じたりすることしか出来ない。
『今後のことを、お互い前向きに考えたいと思っております』
「オ、オプティ…」
『どうか、お嬢さんを僕にください!』
ぎゃああああぁぁぁぁっ!!!!
何言ってるの…何言っちゃってるの、この人っ!!!
パニックを起こしている翡翠に対して、オプティマスは頭を下げ続けている。
「ちょっとぉぉぉ!!!何考えてんですかっ!!!」
『いや翡翠、大事なことなのだ』
「一旦黙って!その頭の中がどんな思考回路になってるのか見てみたいですよ!!」
思わずオプティマスの両肩を掴み、ガクガクと揺すってしまう。
なんかもう泣きそうだ。
…色んな意味で。
だが、その時…母親の声にハッと我に返る。
「あら~、翡翠の上司さんかと思ったら、恋人だったの?」
「お母さん、違っ」
『何よりも、彼女のことを愛おしく思っています』
「っ…だから、ちょっと黙っててくださいって!!」
きっぱりと言い放つオプティマスをキッと睨む。
「でもいいの?貴方みたいな素敵な人、翡翠にはもったいないわ」
「お、お母さん…?」
『そんなことは…私にはもう翡翠しか目に入りませんので』
「まぁ、そんな一途に思ってもらえるなんて…翡翠もやるわね」
え…なに?
意外とお母さん、オプティマスのこと気に行っちゃってたりします??
「でもなぁ…翡翠に結婚はまだ早くないか?大学院を卒業したばかりだし、仕事もまだ不慣れだろう?」
「何言ってるのあなた。すぐにって話じゃあないでしょ?ねぇ?」
『ええ。それを踏まえてお付き合いさせていただきたく』
「そうか…まぁ、そういうことなら…」
「お、お父さんっ!」
お父さんも何気に許容範囲内ですか??
え…いいの?
こんな、自然には絶対存在しないような綺麗な青髪に…袖にファイヤーパターンをあしらったジャケットを羽織ってるような…言ってしまえばめちゃくちゃ個性的な見た目の男なんだけど、いいの!?
『あ、これ遅くなりました。つまらないものですが』
そう言って、オプティマスがスッと菓子折りを出した。
前に持ってた菓子折りは私が処分したのに、また新しいモノを用意していたオプティマスの用意周到さに軽く頭痛もしてくる。
勝てない。
私、この人の暴走にはどうやっても勝てない。
もういっそどうにでもなれ…とも思えてくる。
「ふふっ、翡翠がイケメンの旦那様をゲットしたのよって親戚に報告しなくちゃ」
「母さん。だからそれはまだ早いだろ」
「あなた、娘はいつか嫁ぐのよ。この寂しさを乗り越えるのも父親の試練でしょ」
「……そうか」
何やらルンルン気分の母親。
そして何故か寂しいモードに突入している父親。
何処から持ってきたのか、すでにアルバムを持ち出し、翡翠の幼き頃の思い出に浸っている。
脱力したまま、いそいそと母親によってオプティマスの隣へと座らされる翡翠。
ふと顔を上げるとオプティマスの笑顔が目に入る。
『素晴らしいお父様とお母様だな』
「…はぁ、そうですか…」
茫然と一点を見つめる翡翠は思った。
とりあえず、フーバーダムに戻ったらラチェットに相談しよう。
オプティマスがインターネットに接続出来ないように回路を調整できないかって。
暴走する彼にとって、インターネットからの情報は百害あって一利なし!!だ。
そう心に決めつつ、目の前に出された茶菓子に力なく手を付けるのだった。