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夢小説設定
この小説の夢小説設定本人曰く、至って普通の20代日本人。
国防長官ジョン・ケラーと面識があったため、大学院卒業後すぐ彼によって就職先を斡旋され… 現在人類と金属生命体の緩衝材として軍地基地に勤務中。
「私はジョンに騙されたの!!」…とのこと。
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基地本部へ向かおうと歩いている途中、翡翠は思わず足を止めた。
飛び込んできた光景が…あまりにも異様すぎる。
「…何してるの?」
その言葉に顔を上げた3人の視線が一斉に翡翠へと集まる。
人間から見たらあまりにも大きな彼らが3人、揃いも揃って格納庫の入り口でしゃがみこんでいる光景はさすがに見過ごせない。
『あっ、翡翠』と嬉しそうに振り返ったバンブルビーがよけた隙間からひょっこりと顔を出してみる。
そして思わず絶句。
「どうしたの…これ」
『どうしたって、別に何もしてねぇよ』
心外だと言わんばかりのディーノが両手を上げた。
「意地悪したんじゃないの?」
『だから、してねぇって』
ふぅ、と息を吐いて腕組みする翡翠がチラリと視線を落とすと、しゃがみ込んだ3人のちょうど中心にいる小さなそれは落ち着かない様子で辺りを見回していた。
サイドスワイプがそれにそっと指を差し出しているが…
『ってぇ…こいつの装備、なかなか鋭いな』
フーッという唸り声と共に思い切り攻撃されていた。
それにしても…サイドスワイプのその一言は何とかならないものか。
この子にあるのは“装備”ではなく、“爪”だと教えてあげないとなぁ…とぼんやりと考える。
「サイドスワイプ、思いっきり警戒されてるよ」
『なぁ、これ何だ?』
「猫っていうの。この星にいる生き物よ。まだ小さいから子供みたいだけど」
『ふぅ~ん…ねぇ翡翠、おれ達本当に何も意地悪してないんだ。なのに、何で警戒なんて…』
悲しそうにそういうバンブルビーには申し訳なくて「う~ん、何でだろうねぇ」なんて濁したけど、理由は明確だ。
誰だって、こんな大きな人たち…しかも3人に囲まれるように上から見下ろされたら威嚇したくもなるだろう。
うん、この中心にいるのが私だったとしても間違いなくこうなる…
「ビー、ちょっとごめんね」
そう言って、3人の中心へ分け入ると今も毛を逆立てている子猫の前にそっとしゃがんだ。
『お前、危ないぞ』
「大丈夫だよ、昔から猫には割と好かれるほうなんだよね」
子猫から少し距離を置いて、差し出した指先をチョイチョイと動かす翡翠。
そんな翡翠の指先と表情を交互に見ながら警戒を続ける子猫。
そして後ろから固唾を飲んで、そんな一触即発の状況を見守っている3人のオートボット。
はっきり言って、さらに異様な光景となっているが当の本人たちはそれどころではない。
「おいでおいで」と言ってみたり、指先の動かし方を変えてみたり…
そんな翡翠に根負けしたのか、子猫もゆっくりと寄ってきて指先の匂いを嗅いでいる。
そっとその頭を撫でてみたが、もう警戒はしていないようで…
そっと擦り寄って来たタイミングで、小さな前足の付け根に手を入れると、翡翠はゆっくりと抱き上げた。
「ほらね」
『すごい、翡翠!!』
『ふん…小動物には小動物がお似合いってことなんだろ』
「ディーノはまたすぐそういう言い方する」
ふん、と顔を背けるディーノに思わずため息。
そんな翡翠に一歩近付いて、サイドスワイプは体を屈めると腕の中に収まっている子猫を興味深そうに見ている。
『それにしても小さいな』
「う~ん…もう少し大きくなると思うけどね」
『随分詳しいんだな?』
「私、猫好きなの。実家でも飼ってたし」
『へぇ…』
腕の中の子猫の喉元をそっと撫でてやるとゴロゴロという音が聞こえてくる。
猫がリラックスしている証拠。
何だか翡翠まで嬉しくなると同時に疑問が残る。
「それにしても…何でこんなところに。ビーたちが連れて来たんじゃないよね?」
『まさか。そんなことしたら怒られちゃうよ』
「そうだよねぇ…」
何にしても、ここは軍事基地。
小さいとはいえ、子猫が入りこんでいるとなると問題だろう。
それ以前にもし間違って基地内部や空輸基地に入ってしまえば、子猫にとっても危険がいっぱいだ。
さて…どうしたものか。
『ねぇ翡翠』
「え?」
思考を遮るように声をかけられて、翡翠が顔を上げるとバンブルビーが再び目の前にしゃがんで子猫をじっと見ていた。
『おれも触ってみたいな!また嫌がられちゃうかな?』
「ん~…今ならリラックスしてるみたいだから、大丈夫じゃないかな?抱っこしてみる?」
『うん!』
差し出された掌に子猫をそっと乗せる。
怯えてしまわないように、翡翠もしばらくそのまま子猫の頭を撫で続けていたが…どうやらもう大丈夫なようで。
バンブルビーの掌の上でさらに小さく丸まった。
『っ…ふわふわしてる』
「ふふっ」
本当に嬉しそうにしているバンブルビーに何だか嬉しくなった。
慎重に反対側の指でその小さな背中をそっと撫でている。子猫ももちろん可愛いのだが、そんなバンブルビーもたまらなく可愛いと思えてしまう。
「サイドスワイプも触ってみたら?」
『まぁ、そうだな』
差し出されたバンブルビーの手からそっと子猫をサイドスワイプの手へと移す。
本当にリラックスしているようで…今後はのんびり顔洗い動作までしている子猫をじ~っと見ているサイドスワイプ。
小さな声で『可愛いもんだな』と呟いたのが聞こえて、思わず二ヤリ。
猫好きとしては、猫を可愛いと言われてこれ程嬉しいことはない。
「ディーノ」
『あ?』
「ほら、ディーノもどうぞ」
少し下がったところに立っているディーノを手招きする翡翠。
だが当のディーノは興味なさそうに片手を上げただけ。
「触ってみればいいのに」
『俺はいい。別に興味ねぇよ』
「可愛いのに…」と残念そうに呟く翡翠を横目で見ていたディーノだったが…その一言に思わず小さく笑った。
そしてゆっくりと翡翠に近付く。
そのことに気付いた彼女はディーノが猫に触る気になったのか、と喜びの表情を見せていた。
さらにサイドスワイプから子猫を受け取りディーノの方へ差し出しているが…そういうつもりは毛頭ない。
伸ばされたディーノの手は子猫を素通り、何故か翡翠の頭をそっと撫でている。
「…え?」
キョトン、としている彼女にまた二ヤリとしてしまうディーノ。
あまりにも思った通りの反応をするものだから、逆に面白くなってくる。
『俺はこっちの方がいい』
「…はい?」
『だいたいな、小せぇお前を撫でるのにようやく慣れてきたところなんだぞ。もっと小せぇのなんかご免だな、力加減が難しいんだよ』
『それは確かに言えてるな』
「っきゃ…!!?」
今度はふわっと体が浮き上がる感覚に小さく悲鳴を上げる翡翠。
気が付けば、サイドスワイプに軽々と抱き上げられている。
幸い、翡翠の腕の中に収まっている子猫もこの高さを怖がってはいないようだが…
『俺も、抱き上げるなら猫より翡翠のほうが腕にしっくり馴染むな』
「2人揃って何なの?もう…」
思わずため息をついた時、腕の中の子猫が小さく鳴いた。
『2人とも!そういうの抜け駆けって言うんだからな』
「ちょっと、ビーッ…」
『おれだって、翡翠が一番可愛いって思ってるよ』
勢いよく近付いてきたバンブルビーによってサイドスワイプから奪還される翡翠。
そしてそっと地面に降ろされた。
『おれ、翡翠が大好きだからね?』
「え?」
『おい、抜け駆けだとか言ってたのはどこのどいつだよ?』
そう言ったディーノに後頭部を軽くコツンと小突かれてバンブルビーは『へへっ』と小さく笑う。
今、初めて思ったことではないのだが…
何故か金属生命体から好意的に思われることが多いらしい自分に対して、翡翠は改めて首を傾げていた。
「それより、この子どうしようか…」
『う~ん…』
『何にしても、このまま置いて行くわけにはいかないだろうな』
『それ以前に、基地の中でラチェットにでも捕まったら良い実験台にされるな』
「……………」
思わず4人で目を合わす。
今思えば、完璧なアイコンタクトだった…。
その後、オプティマスとレノックスは各々頭を抱えることとなった。
何故か子猫を抱き締めた翡翠。
そして、その翡翠を抱き上げた状態のバンブルビー。
「お願いです、この子飼ってもいいですか!?」
『お願い!』
さらに、後ろに控えているサイドスワイプとディーノも2人からの返答をじっと待っている辺り…
翡翠、バンブルビーと同じ意見なのだろうことが窺える。
一体、何がどうなって今のこの状況が出来上がったのか。
色々聞きたいことはあるが、今言うべきことはただ一つ。
『「基地の外に返してきなさいっ…!」』
当然、すぐに4人が納得する訳もなく…
“返してきなさい”“嫌だ、お願い”の押し問答が繰り広げられることとなる。
翡翠とバンブルビーはただ純粋に猫が可愛くて。
サイドスワイプとディーノは猫が加われば翡翠が何割増しで可愛くなる!という目論みで。
4人の意見は一致しているものの、後者2人の目論みについては…翡翠も知らないまま。
ディセプティコン襲撃のないオートボットは…こんな感じに今日も平和です。