第1章:ありふれた日々の裏側で…
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『予期せぬ再会』
~夕暮れの恋歌<6>~
元を辿れば自分の撒いた種なのだが。
少しだけ…オプティマスは後悔していた。
「…はぁ…」
小さく吐き出される息。
タイヤの前輪部分にわずかに暖かさを感じるものだから、自ずと意識をそちらへと持って行かれる。
今、ビークルモードで沈黙を続けているオプティマスの車体の横には小さな人間の女性が凭れかかっていて…身動きが取れなくなっているのだ。
…う~む、どうしたものか…
打開策を考えては見るものの、残念ながらどうすることも出来ずに今に至る。
彼女を見掛けた場所は、横断歩道で、時間的にもほんの一瞬だった。
見覚えのある…それと同時に、もう2度と目にすることは叶わないのだろう、といつしかスパークの奥底にしまいこんでいたその姿に、思わず近くの広場へと車体を止めたのだが…遅れてその場に彼女が現れたのは、本当に偶然としか言いようがない。
だがはっきり言って、このような展開になるとは想定外だったのだ。
何故、彼女は私の側から離れようとしないのか…
考えては見たが、到底答えなんて出ない。
その時だった。
自分の体の端で小さく身を屈めるようにする彼女の姿が視界に入る。
金属生命体である自分にはさして感じないが、有機生命体である人間には肌寒い時間帯のはず…そのことに気が付いて、オプティマスは思わず声をかけていた。
『このままでは風邪を引いてしまう。帰った方がいい』
「…え?」
驚いたような表情をして、辺りを見回す彼女。
立ち上がって自分の正面に回ってきた彼女の小さな体をそっとスキャンして、まだ風邪の兆候が出ていないことに人知れず安堵していた。
何やらブツブツ言いながら、いまだキョロキョロしている彼女を見ながら、オプティマスはオードボット用の通信専用チャンネルを開くと同じく近場に待機させていたバンブルビーに通信を繋ぐ。
用件を伝えると、彼からはすぐに『“了解”』との返事が来た。
これで、ひとまず先に基地へと帰っていてくれるだろう。
『送っていこう。乗りなさい』
「っ…」
再び声をかけると同時に扉を開いて、中へと促してみた。
ひとしきり驚いてはいたものの、どうやら乗る気はあるようなのだが…なにぶん足が届かないらしい。
そういえば、この星に来てから人間を自分に乗せたことはなかった…採寸を間違えていたのだろうか。
人間の女性の小ささに少し驚きながら、出していたステップを一つ足してやるとまた驚いた顔をしていたが、今度はちゃんと乗れたようで、彼女の小さな体がオプティマスの中に納まった。
声をかけると迷わずシートベルトを装着してくれたことに、少しホッとした。
走行中、緊張しているのか彼女は言葉少なげだった。
サムが良く連れて来るミカエラという女性はもっと良くしゃべる人間だったと記憶しているが。
いつも周りにいる若い仲間たちがそうしているように、自分から色々と話題を振ることが出来れば良かったのかもしれないが、残念ながらオプティマスも特別話術に長けている訳ではないから…自然と車内は沈黙する。
ふと気がつけば…揺れないように、しっかりと背筋を伸ばしてどこか緊張した面持ちの彼女に少しの負担もかからないように、細心の注意を払いながら運転していることにオプティマス自身、少し驚いていた。
(加筆・修正)
