第2章:遥か、宇宙の彼方より
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『彼女最強説』
〜夕暮れの恋歌<49>〜
何やら翡翠に警戒MAXのスキッズ&マッドフラップ…何なら怖がられているようにすら感じる。
相手は小柄といえどもトランスフォーマー。
人間で、ましてや武器も持てない丸腰の翡翠に対して、何故そんな反応しているのか、彼女にはわからなかった。
横にいるバンブルビーに視線を向けたところで、返ってくる反応は肩を竦めながら両手を上げる…という至極曖昧なもので、解決には至らない。
「う~ん…」としばらく考えていた翡翠の頭に、ある1つの可能性が浮かび上がった。この2人との唯一の接点は、初対面で突然キャッチボールのように放り投げられたことだ。もちろん、怪我などはしていないのだが…
「もしかして…オプティマスに怒られた?」
『……………』
『……………』
無言のまま2人顔を見合わせているツインズ。
もしそうだとしたら自分のせいだ、申し訳なさすぎる…そう思って困った表情を浮かべている翡翠。
『“大丈夫”』とツインズの代わりに声をかけてきたのはバンブルビーだった。
「え?」
『“逆だって、逆〜!!”“怒られてないよ”』
「そ、そうなの?それならよかった」
ホッと胸を撫で下ろす翡翠。
ツインズが訝しげに首を傾げるのを見て、もう一度声をかけようとした彼女の体が突然の浮遊感に襲われる。
小さく悲鳴を上げるが、聞こえてきた声にすぐに笑顔が零れた。
『ホント…ツインズにとってお嬢ちゃんは女神様だな。今回だってオプティマスに叱られなかったから、逆に驚いてんだよな』
「…ジャズ!」
フワリと抱きあげられ、ジャズの肩に乗せられた翡翠の間近に彼の横顔。
バイザー越しに見えるカメラアイがわずかに細められた気がした。
『よぉ』
「パトロールに行ってたんじゃないの?」
『大急ぎで戻ってきた。お嬢ちゃんに会う時間を無駄には出来ないだろ?』
「ふふっ、またすぐそういうこと言うんだから。でも、ジャズは本当に忙しいんだね」
今回も任務から戻った翌日には、すぐにまたパトロールに出たと聞いた。
副官としての実力も信頼も兼ね備えているジャズだからこそ…とも思うのだが、そんな時間を割いて数日間もの間、翡翠の側に付いていてくれたんだ…と思うと改めてありがたい気持ちでいっぱいになる。
「この前は、本当にありがとう」
『いいって。礼ならもう何度も聞いたぞ』
「うん、そうなんだけど…何度伝えても伝え切れないくらい、ありがたいなぁって」
『あぁ、じゃあ報酬としてキスの1つでもしてくれてもいいぞ?』
「そっ、それはちょっと…」
からかうようなジャズの言葉にみるみる頬を紅く染める翡翠。
あぁ、そういえば日本人はこういうスキンシップには慣れていないんだったな…と、ふと思い出しながらジャズが小さく笑った。
『“彼女をいじめるな。許さないぞ”』
『馬鹿、苛めてねぇだろ』
オプティマスは言うまでもないが、このバンブルビーも翡翠には相当過保護だな、とジャズは思う。
確実に過保護なお付きが増えている。
その現実にジャズは『やれやれ』と両手を上げながら、翡翠を下ろした。まぁ、時間の合間を見てこうして彼女に会いにきている時点で、自分も人のことは言えないだろうけどな…などと考えながら。
『……………』
『……………』
そんな一連の流れを黙って見守っていたのはツインズ。
オプティマスに自分たちをきつく叱らないよう、翡翠が口添えていたらしいことは聞いていた。
それは聞いていたのだが、本当に自軍の司令官はそんな彼女の言葉を汲み、注意だけに留めたので驚いた。
それだけでなく、副官のジャズも目の前の通り、確実に翡翠には甘い。
バンブルビーや他の仲間たちはもちろん、言ってしまえば自分たちと同じくつい先日初対面を果たしたばかりのサイドスワイプやアーシーたちまでが、彼女に興味を持ち、友好的に接しているのは一目瞭然。
当初は、ただの人間だと思っていた。
しかし…
『あの人間、すげぇんだな』
『あぁ、この星には“人は見かけによらない”って言葉もあるらしいしな』
『何だよ、それ?』
『はぁ?よく知らねぇけど、見た目で判断すんなってことだろ?』
今は、当初の考えとは大きく覆っている。
『『きっと、ああ見えてものすげぇ強ぇんだな!!』』
2人の視線の先には今も照れたように顔を手で扇いでいる翡翠の姿。
いつの間にか、ツインズの中に“翡翠最強説”が根付いてしまっていることを…彼女は、まだ知らない。
(加筆・修正)
