第1章:ありふれた日々の裏側で…
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『よく似た境遇』
~夕暮れの恋歌<26>~
「わっ」
扉を開けた途端、大きすぎる足が視界に飛び込んできて、思わず後ずさる翡翠。
そんな彼女の反応に申し訳なさそうに頭を掻きながらしゃがみこみ、ラジオを鳴らす。
『“驚いた?”“申し訳ない!!”』
「バンブルビー!ううん、私の方こそごめんね」
『“早く”“会いたかったのさ”』
「ふふっ、そんな風に言ってくれるなんて嬉しいな。いつ帰ってきたの?」
『“今朝の話よ”』
会いたかった、と言ってもらえるのはすごく嬉しいが、ラジオのツギハギとは言え何せストレートな言葉のオンパレード。
思わず頬が熱くなりそうで、照れ臭そうに翡翠が微笑んだその時、格納庫の奥からオプティマスがゆっくりと歩いてくる。
その存在に気付いたバンブルビーもゆっくりと立ち上がり、翡翠は2人の姿を精一杯見上げた。
『バンブルビー、戻ったのか』
『“任務完了であります”』
『よく戻った。ところで、ラチェットのメンテナンスはもう受けたのか?出かける際、戻ったらすぐに受けると約束していたのだろう?』
オプティマスの言葉にバンブルビーから返事は紡がれず…その代わり、きゅうう、という駆動音のような音が聞こえてきた。
翡翠には何て言ったのかはわからなかったが、オプティマスには通じているようで…
静かに頷く姿が見えた。
『発声機能が早く治ればいいのに、とサムも願っているようだからな』
初めて聞く名前に翡翠は2人の顔を交互に見やる。それというのも…
「その人ですか?私に、会わせたい人って」
昨日、オプティマスとの外出を終え、基地に戻ってきた時…すでにバンブルビーは何処かに出掛けていた。
何やら、翡翠に会わせたい人がいる、と話していたらしいことはジャズから聞いた。
オプティマスもその申し出には乗り気だったようで…翡翠としては気になるところだ。
答えを求めるように、オプティマスを見上げる翡翠に彼は小さく頷いた。
『君ならすぐに打ち解けられるだろう』
「その人もオートボット?」
『“NO”“彼は人間だ”』
「え…?」
キョトンとしている翡翠にバンブルビーは続ける。
『“1人で暇そうだったから”“一緒なら楽しいよ、きっと!”』
「あは、ありがとう」
バンブルビーの気遣いが嬉しかった。
その後。
すぐに翡翠はバンブルビーによって2人のところへ案内された。
「僕、サム・ウィトウィッキー」
「ミカエラ・ベインズよ。よろしくね、えっと…」
「翡翠です、はじめまして」
ペコリと小さく頭を下げるとミカエラと名乗った綺麗な女の人がにっこりと微笑んでくれた。
ものすごく大人っぽい印象を受ける。
正直、この人が自分よりも年下で、高校生だとは想像もできなかった。
「日本の方よね?英語上手なのね」
「もうアメリカ暮らしが長いので」
「それにしても驚いたなぁ…僕ら以外で彼らと関わりのある一般人がいたなんて」
ビーから話には聞いていたんだ…と続けるサムにもすごく話しやすそうな印象を受けた。
どちらかと言うと人見知りの翡翠だが、この2人とは仲良くなれそうだ、と嬉しくなった。
それに、全く同じではないにしろ似たような境遇の人間と知り合えるのは心強いものだ。
『“2人はラブラブ”』
バンブルビーのラジオから流れる言葉に、やっぱり、と相槌を打つ。
寄り添うように立っている2人からは仲の良いだろうことが感じられた。
バンブルビーにそう紹介されて、2人で一度顔を見合わせた後、照れくさそうに微笑んでいる。
「まだ付き合い始めたばかりよ」
「素敵!一番楽しい時じゃないですか」
「ふふっ、まぁね」
そう言って笑ったミカエラは本当に幸せそうだった。
翡翠だって年頃の女の子。目の前の2人を見て羨ましくならなかったと言えば嘘になる。
「えっと、翡翠さん、恋人は?」
「いいえ、私にはいないです」
「そうなの?まぁ、後で女同士ゆっくりお話しましょうね」
そう言いながら、ミカエラにウィンクをされて思わず困ったように微笑む翡翠だった。
(加筆・修正)
