第1章:ありふれた日々の裏側で…
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『見知らぬ着信』
~夕暮れの恋歌<9>~
それは、またしても学校からの帰り道だった。
いつもの道を歩く翡翠の鞄の中で、ふいに携帯が着信を知らせた。
だけど、手にとって思わず首を傾げる。
着信は知らない相手からなのだ。それどころか、その文字にすら見覚えがなかった。
見たこともない文字が携帯の画面に並び、おそらく着信を知らせている。
「…………??」
思わず、一人首を傾げた翡翠。
その時…文字を眺めていた瞳の奥深いところが熱いような感覚に襲われる。
目眩にも似たその感覚に瞳を閉じて、何度か頭を振った。
不思議な感覚はすぐにおさまって…もう一度目を開けると、携帯の画面はまだ見慣れない文字と共に着信を告げている。
気味が悪い…きっと、普段ならそう思っただろう。
でも、この時翡翠は電話に出た。
それどころか…期待している、もしかしたらって。
「…もしもし?」
『翡翠?』
とっさに心が跳ねて、言葉が出てこなかった。
…オプティマスだ。
『翡翠?聞こえているか?』
「あっ、は、はい!聞こえてます…オプティマスさん」
戸惑いながらも返事をすると、電話口でオプティマスが笑ったような気がした。
『よかった。出てもらえないかと…』
「ごめんなさい。びっくりして…」
『以前会った時に君の情報端末から連絡先を記憶しておいたのだ。もしもの為とはいえ、無断だった…すまない』
本当に申し訳なさそうに言うオプティマス。
電話口の声だけだというのに、何だか頭を下げている彼が見えるような気がして翡翠は小さく笑った。
「何だかオプティマスさん、謝ってばかり」
『うむ、そうかもしれない…翡翠』
「はい」
『今から…会いに行っても、いいだろうか?』
「えっ…」
『家まで送っていこう』
私だって、オプティマスさんに会いたい。
口には出せなかったが、とっさにそう思った。
だが、自分がいるのは街のど真ん中…どうやって自分がいる場所を彼に伝えようか。
そう思って辺りを見渡している翡翠の耳に、またオプティマスの声が届く。
『あぁ、そこを動かないでくれ。君の居場所はその情報端末を通して、すでにとらえている』
「そ、そんなことまでわかるんですか?」
『ああ。今度は、私が迎えに行こう』
ふと、この前会った時は勝手に起動したナビゲーションシステムを頼りに私が彼のところに行ったんだっけ。
…と、そんなことを考えていると自然と笑みが漏れた。
それからほんの数分後、あの印象的なデザインのトレーラートラックが翡翠の目の前に滑るような動作で止まる。
ホントに携帯を持ってるだけで居場所がわかるんだ…と。
何となく感心しながら、翡翠は小さく微笑んだ。
(加筆・修正)
