ご都合血鬼術 其ノ壱
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はあ?
仲間〜?
普段俺とすれ違っても素っ気ないのに〜?
「心にもねえ事言ってんじゃねえぞ!こういう時だけ仲間意識高くすんな!」
「煩ェ!!背に腹はかえられねェンだよ!」
ほー!!
心にもねえ事言ってる自覚は有るってことな!
「俺には関係ねえ!!他当たれ!!」
「鬼殺隊の今後に関わる一大事だ!!手ェ貸せ!!!」
「鬼殺隊の…今後ぉ?!」
なんだソレ?
ちょっと、気になるじゃねえか!
「…っあ───ったくも──!何があったんだよ!」
くっそ、鬼殺隊の今後なんて言われちまったら、聞くしかねえじゃねえか
俺って本当に優しー男だよ
でも聞くだけな!
聞いたら帰っから!!
──────……
まあまあそんなこんなで、立ち話もなんだから茶でも飲みながら……
と思ったけど、肩に静流を乗せたまま店に入れる訳がねえ
邪魔にならねえように町の外れに移動してそこで話を聞くことにしたんだけどよ、ずっしゃずっしゃと後ろを着いて来る目つきの悪い不死川と、その肩にドヤ顔した女を乗せているという……冗談みてえな異様な出で立ちの所為で目立って目立ってしょうがねえ
俺は、派手を司る神
ド派手で目立つ事が大好きだ
けどな
「くっそ…ある意味拷問だぞこれ。」
自分がこういう目立ち方すんのは好きじゃねーんだよ!
────……
「…合同任務中に静流が血鬼術にかかったぁ?」
「オォ、御堂が鬼の首を切った瞬間にかけられた。」
「………はぁ……、」
丁度いい太さの木の幹に背を預け、まだ買い物もあるし、眠ぃし、欠伸混じりにとっとと話せと不死川を促して、聞いた内容は……
まあなんとも……地味な話
「静流の奴、油断しやがったな…。」
実のところ、その内そうなるんじゃねえかなとは思ってた
コイツはソコソコ腕は立つのに、いつも詰めが甘い
鬼の首を切り、消滅する迄一瞬足りとも気を抜くんじゃねえといつも……んな事言ってもかかっちまったんだから意味ねえな
問題は、症状が何か?だ
「あー…んでぇ?症状は?」
一見すればただの奇行……だと思うが鬼殺隊の今後に関わるって話だ、見た目以上に厄介な術に………
「なんかァ……猫っぽい。」
「…………。」
改めて肩の上の静流を見ると、丸めた自分の手をぺろっと舐めては懸命に顔を擦っている
よく見りゃ桃色の髪の毛の間に、猫の様な耳も生え……あ?耳四つあるじゃねーか雑な血鬼術だなオイ
「ん?……それだけ?」
「はァ?!それだけだとォ?!」
おいおい血管ビキビキさせんなよ、仲間だろうが
大体猫っぽいってなんだよ?
見た目通りじゃん?
ただの猫じゃん?
「安心しろ問題ない大丈夫死にゃしねえハイ解決。」
───俺の役目は──終わった……
なーにが鬼殺隊の今後だ巫山戯んのも大概にしろ?
踵を返し、颯爽と米屋に向かう俺
ガシッ!!
「なんも解決してねェェッ!!!」
……の、日輪刀の鎖を引っ掴んだ不死川
「テメッ!離せコラ!!どうせその辺の草っ原で一緒に日向ぼっこでもしてりゃ治るんだから!!」
「御堂じゃなくてェェ!!俺の肩が死ぬゥッ!」
「んなのさっさと追い払えばいーだろ!シッシッて!!」
「追い払っても肩乗っかってくんだよォォッ!!」
あ、もう追い払ったのね
それでも戻って来ちまうって、不死川よっぽど懐かれてんじゃん
「あーわかったわかった!とりあえず、コイツ一旦降ろしてやるから。」
これも乗りかかった船、ってヤツか
不死川が俺を頼るなんてこの先ねえだろうし、何より俺は優しー男だ
話を聞いたからには多少の手助けくらいはしてやるか、とやや重心の傾いた不死川に近寄り、静流を抱きあげようと手を伸ばす
『ッシャー!!』
「シャー!!じゃねえよ!ったく面倒起こしやがって!!ホラさっさとこっち来い!」
俺に対し激しく威嚇する静流
なんだコイツ?
呼んでも来る気配なんか一寸もねえ
ならこっちから行くか、と威嚇を無視して脇に手を突っ込んで、不死川の肩から無理矢理静流を引き摺り降ろす
すると
『にゃっ、』
むぎゅう…
「?!ンむ、」
静流のヤツ、俺の顔に手を当てて思い切り腕を突っ張りやがった
「ふが、てぇ…んめえぇ…!!」
「ブハッ!ソレ見たことあるあるゥ。」
何があるあるだ
肩の荷が降りたからって余裕かましてんじゃねぇよ
「おい静流!手ぇ退けろっ!!」
なんつったって猫に人の言葉なんかわかる訳もねえ、相当俺が気に食わねえのか静流は更に身を仰け反ってぐいぐい顔に手を押し付け……
『フシャ─────ッッ!!!』
バリバリバリバリ!!!
「?!?いっ?!っでぇ─────っ!」
しまいには爪立てて顔引っ掻きやがった
痛みに堪らず手を離すと、途端に不死川の肩の上に戻る静流
「?!アァ──────ッ!!」
同時に不死川の叫び声が響いたが
んなもん知ったこっちゃねえよ!!
あー痛え!
顔にマヌケな引っ掻き傷が残ったらどうしてくれんだ!!
「オイ!!戻って来ちまっただろうが!!」
「っっせえ!!こっちは思いっきり顔引っ掻かれたんだぞ?!」
「クソッ、このままじゃ俺の肩がァ…!」
どうもこの猫(静流)は、不死川から片時も離れたくないようだな
うん、もうしょうがねえからさ
そのままでいいんじゃね?
やけっぱちに思うが、確かにこのままだと遠からず不死川の肩が死ぬ
となると、柱が一人機能しなくなる訳で、鬼殺隊の今後に関わると……言えなくもないのか
陽を浴びたっていつ戻るかわかんねえし、なんとか猫を降ろして胡蝶の所に連れて行けりゃぁ良いんだが……
猫を不死川の肩に乗せたまま、早急に蝶屋敷に連れてく方法、か……