緋色ノテフ(長編)
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「盗み聞きなんてよくないぜ…んまぁ、それが特技か」
障子をガバッと開ければ、そこには懐かしい香りがした
綿火、鐵…
「相変わらず好戦的だな」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
隊長の部屋で話すのもなんだと思い、俺達は人気の少ない裏庭に向かった。
「一部始終は聞かせて貰った」
「あー」
「今はここで勘定方をしている。もう倒幕だの改革だの騒いでいる奴等とは違う」
「そー」
「…やっぱりホモ…」
「なっ、違ぇよ」
鐵の顔をジッと見つめていたら、また勘違いをされそうになった。
昔と随分変わったな、と言おうとしたが、その途端にあまり思い出したくない過去も思い出してしまった。
毎日が血のニオイに塗れて
逃避を選んでコイツの暖かさに逃げ込んだなんて
本当に随分昔の話だ
「ねぇ」
「、んだよ」
「平気なの?口止めしないで」
「必要か?」
「仮にも俺は#柊#の敵だけど」
「仲間以前に?」
「そんなの、昔の話」
本当に。
たった数年が、何十年もの時を経たかのような感覚だった。
「じゃ、どーすればその堅いお口を更に堅くして下さいますかね?」
「簡単だ
今すぐ脱隊しろ」
「…てっちゃん悪いけど流石にそれは無理だな」
「じゃあ早速局長に…」
「あー待て待て!」
「…答えは明日の深夜まで待ってやる」
「んな事言ったって…」
この時、俺の中にある昔の記憶の破片がコロリと転がり落ちて、現実のピースにぴたりとハマった。
まるでジグソーパズルのように。
「俺は昔の事は、絶対に忘れん」
「…ああ」
―ストン
礼儀正しく静かに閉められた障子を見つめ
俺は幸運に笑みを浮かべた
「…なに」
「俺…もうこんなの…」
「ならやめてしまえ」
「…それは…」
「早速晋助達に…」
「やっ…やめろ鐵…!晋助には言うな、みんなにも言うな!絶対…」
「…答えは明日の深夜まで待ってやる。…あの岬で。」
「鐵…!」
明日、あの岬で。
7-END