緋色ノテフ(長編)
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「お前…沖田隊長になにしてんだ!」
普段の温厚な性格からは有り得ないほどの顔をして怒鳴りつけてくる隊士
「スミマセン、つまずいてしまって」
「言い訳はいいからはやくそこをどきやがれ!」
無理矢理身体を起こされたと思ったらまた床に叩きつけられた
随分必死だな…
俺が沖田を殴ろうとでもしたっていうのか…?
いや…それだけじゃ警戒しすぎだろ、
「だから気をつけて下さいって言ったじゃないっすか」
「やっぱりな」
「怪しいと思ってたんだ」
ムクッと起き上がった沖田が少しニヤッとしたとか
そんなことには全然気付かなかった
「怪しいって、俺何か疑われるような事…」
「この後に及んで何しらばっくれてんだ」
「いや別に…沖田隊長になにかするつもりは…」
「じゃあ誰だ?もしかして…土方さんか!?」
「いや、局長って事もあるぞ…」
「まじかよ…」
いや、他の奴にも何か危害を加えようなんて思っちゃいない。それに行動を起こすにはまだ早すぎる。
アイツらの準備が整ってからが俺の出番だ。
「なんの事っすか」
「いつまでも誤魔化せると思うなよ?お前の噂は組内に広まってんだ」
「…噂?」
そう聞き、ハッとする。
俺が攘夷だって事、バレたとか…?
いやそんなことはない、攘夷浪士との接触は最近していないし、この前見回りであったのは昔の仲間…
あ、
もしや土方がアイツらに接触して調べあげたか?いやそれならもうとっくのとうに俺は…
そう考えているうちに隊士の一人が俺の前に歩み寄り、胸倉を掴んだ。
もしもの場合…
俺は刀に手を掛けた。
「お前が…
ホモだって噂がな!」
「……は?」
…なんだそれ………
全身の力が抜けた。
テメェら俺の思考時間返せ…!
「まさか本当だったとはねェ…信じられねぇや」
「はっ、まさか…信じられないってのはこっちの台詞ですよ、誰がホモだって?」
「お前いつも隊士の、しかもお偉い方々ばっかジロジロみてるじゃねーか」
「あー…」
それは行動を偵察してただけなんだけど…なんて言えねぇし
「認めた!認めましたよコイツ!」
「は、認めてねぇy「気をつけろおめーら!手前のケツは手前で守れよ!」
「ざけんな」
ったく…
俺は深いため息をつき、チラリと沖田をみた。
沖田は明らかに嘲笑う目でこちらをむいた。と思ったら、数秒後には何か疑うような目をしていた。
嵐は去り、
室内はまた二人
「……」
隊士の奴等には説得してなんとか理解してもらったが、一枚戸を挟んで外側にはまだ人はいるようで
とんだお遊び集団だ、と思ったが、少しホッとした
それも束の間
ふと沖田が立ち上がり、外にいる奴等を追い払った
またなにかしでかすつもりかと思い、自然と身構える
ススッ
と戸を閉め、彼のキッとしまった口が開いた
「良かったねィ」
「…なにがです?」
「しらばっくれたって無駄っさァ」
「…本当に分からないんですよ」
…俺の焦った表情をしっかりとみていたみたいだな。
あの噂は俺が耳にする事が出来ない、極数人の隊士の間に回されていたんだろう。もしくはアイツらもグルか。
そんなんでもし俺が焦ったとしたら、それは別に隠し事をしているということになる。
完全に試されたわけか。
「分かってるくせにいつまでも防御体制かよ。…で、お前が狙ってるのは土方さんかィ?」
「まさか、狙うだなんt…「アイツを殺すのは俺の仕事だ」
全てを言い終える前に沖田が俺をギッと睨んで言う
殺気に満ち溢れた目。
「それともし近藤さんを狙うっつーんなら、真っ先に手前を殺す」
覚えとけ、
そう言って沖田は部屋を後にした
また部屋は白い音になる。
「ありゃ、かなりの曲者だな…」
好奇心旺盛な若僧っつーんは上に構える大将より行動力があるからな
俺の情報の一つや二つ、簡単に拾っちまうかもなァー…
「本当困ったなー、ねぇてっちゃん」
「!」
俺は後ろの襖になんとなく話しかけてみた。
なんだか背中にもの凄く懐かしい気配を感じたから。
6-END