緋色ノテフ(長編)
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江戸の町が一望できる静かな丘。
手をのばせば届きそうな距離に暗黒の空は広がっていた。
「待たせたな」
「ああ、待ったな」
「あ…はい、スミマセン」
ただ一本佇む大木に背中を預け、2人は地面に座った。
俺は光輝く江戸の絶景を、鐵は闇に続く山道をみつめて。
「…どう、したいんだ。江戸を」
始めに口を開いたのは鐵だった。
続いて俺も口を開く。
「…江戸をどうこういうのには、手ェ貸してるだけなんでな、」
「なら何故真選組に、」
「組の事は…俺個人の問題だ。」
土方、十四郎。
アイツ…が…本当に……なら………
………俺は、
「…気を付けた方が良いよ」
「あ?」
「お前が…新入りのお前如きが、一番隊長補佐なんて、ありえない」
「…実力だろ?」
「違う。入って間もない、信頼出来ないやつをなんでそんな位につけるんだ。」
「……あ、」
「お前…気づいてなかったの?」
「……え!?いやいや…んなわけないじゃん」
「………。」
「は、はは………」
居心地が悪くなった俺は立ち上がり煙草に火をつけた。
癖のように。
「………柊」
「な、なんだよ、わーったよ気を付け……」
「柊っ…!」
「!っ……」
急に#鐵#が声を荒げる。
俺は咄嗟に鐵の方を向いた。
「お前っ……
…なにしてんだよ、」
目の前では、鐵が髪の長い男を抑えて息を切らせていた。
「俺は…肉体派じゃないからっ…それよりこの男をはやく!」
「いや………それどうみてもヅr………」
「ヅラじゃないカツラだァアアアア!!!」
「…………!?カツラ!?お前…カツラなのか!?」
「ああ…お前…鐵!鐵じゃないか!」
「本当に、カツラなんだな……髪…のびたな……カツラなのに…」
「ああ、カツラだ…」
「いやいやお前らちょっと待て、なんかイントネーションおかしくね?カツラ本人までそんな……あ、」
「カツラじゃない桂だァアアアアアアア!!!」
「なんでー!?!?」
「なんでこんなとこにお前がいんだよ」
3人が大木を囲んでもたれかかる。
俺は新しい煙草を取り出して火をつけた。
相変わらず江戸は輝き続けている。
「うむ、この丘に向かう怪しい人影をみかけたからな」
「怪しい人影…?で、それはなんだったんだ」
「…いや、だからお前達の事だ」
「……ああ、そういう事」
「「「……………」」」
「……なんか、久々に会うと何話していいかわからねーな」
「…だな」
「…………お前達は真選組なのだな」
「……ああ、そうだ」
「……………。」
「……取引をしないか」
「………?取引だと」
「俺がんまい棒を届けるかわりに、お前達は真選組の情報をなg「お前本気で言ってんのかそれ」
「………本当にもらえるんだな?んまい棒……」
「鐵!?」
「なら、交渉成立だな」
「は!?」
2人は握手をし、満面の笑みを浮かべていた。
……まじで?
「じゃあ、帰るか」
「そうだな」
「え……ちょ、」
「じゃあな柊」
「あ……うん、ばいばーい…」
………2人とも行ってしまった。
仕方ない……帰るか………
10-END