出会い編
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数日後。
「柳坂~そこのボトル取って」
「はいどーぞー」
「美紀!悪ィこれ持ってって」
「おいしょっ」
「重くないか?」
「平気!」
「お疲れ様ー。水とタオルどうぞ」
「サンキュー柳坂」
「うわぁ汗かいた仁王君エロっ」
「え?」
「いやあなんでも!?」
「嘘、聞こえちょるよ?」
「あ、あはは…そ、そこが仁王君の魅力だよね~…」
「…ピヨッ」
「重くないですか?」
「あは、ありがと柳生君。さっき千鴇君にも同じ事言われたけど全然大丈夫だよ」
「大変でしたらすぐに言って下さいね」
「うん、ありがとう」
「あ、それ俺専用ボトル!」
「千鴇君から聞いてるよ、これね」
「サンキュ!糖分多めはやっぱ美味いぜー」
「まだそれを作って貰っているのかお前は…」
「流石丸井君…あ、はい柳君」
「ああ、ありがとう」
「ぜー…はー…先輩…水っ…」
「切原君どした!?はいどうぞ!」
「あざっす…!!ぶはーっ!!生き返った…」
「あ、真田君と桑原君もお疲れ」
「うむ」
「お…おお、サンキュー…」
「(…これは絶対真田に扱かれてたな)」
「ただいまー」
「お帰り。じゃ次はこのタオル干してくれない?」
「は~い」
「はあ…」
あ"~~疲れたっ!
数日経ったけどやっぱり慣れないな…
「うっし、こんなもんかねー」
洗濯もなんとか終わって、近くにあった花壇のレンガに腰掛ける。
春の暖かさはあったけど風が強かったから半袖半ズボンの上にジャージを着てたけど、上は脱いで腰に巻き、下も捲りあげていた。
千鴇君は毎日これを一人でやってきたんだよな……
恐るべし体力バカ。
……設定しただけあって!!
「こんなとこでサボり?よくないわそれ」
「ぎゃっ!すみません!!」
わっ!?誰!?
ビックリしたー!!!!!
いきなり話しかけるの?よくないわそれ!
へへ、マネだけに真似ってね!
…………………………………………………スミマセン(;ω;`)
振り返ると、いかにもお嬢様~!!といった感じの、うちの学校とは違う制服を着た女の子が腕を組んで立っていた。
「な、なにかしら…貴女の周りだけ凄く寒いわ。まあそれは良いとして、貴女がテニス部のマネージャー?」
「え、ええまあ…」
「あらそう…ふぅん」
お嬢はそう言うと、私の身体を上から下までじっくりと見回して、眉間に皺を寄せた。
なんか凄く品定めされてるような気がする……
そして……とっても見下されているような気がする………
「う、うちのテニス部になにか用でも…?」
「自分のテニス部だなんてよく言えるわね」
「えっ!?いや、うちの学校のっていう意味で…スンマセン…」
「あらそう…まぁ、あまり調子に乗らないことね」
「は、はぁ…?」
な、なんだこの人!どっちがだよ!
とつっこんでしまいそうなのをなんとか抑える。偉い。
「副部長の真田くんと貴女に、部活が終わってからお話があるの」
「え?…あの、失礼ですがどちらさまで?」
「あら、ご存じありませんの?」
ええー…
この娘そんなに有名人なのかな…有名人だから偉そうなのかも。つかそもそも口調おかし…
「…コホン!!すみません、実は今日マネージャーになったばかりで」
「あら…そう、まあいいわ、わたくし氷帝のマネージャーの華岾桜子。テニス部に案内してくださる?」
「ヒョ!?って、…ん?え?カヤマって、もしかしてよく聞く化粧品の…?」
「ええ。カヤマ化粧品のCMに何本か出ているわ」
ちょっと、まさかの氷帝じゃ~~~~ん!!
しかも超が付く有名人だった~!!やべ~!!!
確かに肌めっちゃくちゃ綺麗だなこの人…
でもこんな人がなんでマネージャーなんか…って、
アッ、
「ごめんなさい今ご案内します!!」
私は慌てて洗濯物をいれていたカゴをとり、テニス部のコートに戻った。
☆
華岾さんを連れて来るとコートの周りには人だかりが出来ていた。
ぎゃっ
凄い人数の女子生徒!
普段も凄いけど今日はもっとすごいなあ…
何してんだろ?練習試合とかかな?
「相変わらず立海は応援が少ないわね」
…流石氷帝。
コートの周りは絶えず香水の匂いが漂ってそうな雰囲気だ…いやだなそれ←
「おっ美紀お帰…あれ?隣の人は?」
後ろを振り向くと、千鴇君が半袖半ズボンでシャツの汚れも気にせずにタオルと水をせっせか運んでいた。
「あっごめんね千鴇君、この人は氷帝テニス部マネの…」
「大丈夫!もしかして華岾さん?」
「ええ」
「わざわざ神奈川まで来てくれたんだ!?お疲れ様ー、今これ運んできちゃうから、ちょっと待っててくれる?」
「あら、そう、貴方が…分かったわ」
おいしょっ!と気合いを入れると、千鴇君はコートの方に歩いていった。
「あれ?千鴇君と華岾さんは知り合いなんですか?」
「会うのは初めてよ。今までメールで連絡をとっていたわ。文からは男か女か分からなかったから、わたくしと連絡を取っていたマネージャーは貴女かと思ってのだけど…そう、あの男が…」
なるほど。
だから華岾さんの事を知らない私がマネージャーだと聞いて、華岾さんは疑問に思ってたんだ。
「さっきは色々と言ってごめんなさいね」
「へ?」
「…なんでもないわ」
「あ…いえ、」
華岾さん、意外とイイ人かもな…
見た目は派手だし、氷帝通いのお嬢様っていうと何処と無くキツいイメージがあったけど…
これは、ますますマネージャーやってる理由を知りたい…。
☆
部活が終わって制服に着替えた真田と千鴇君が来た。
「2人ともお疲れ!練習試合?」
「うむ、トーナメント形式でな」
「華岾さん!待ったでしょ?ごめんね~」
「この娘で遊んでたから平気よ」
「ええっ私遊ばれてたの!?」
みんなが練習している間、私はマネージャーの仕事をやろうとしたけど、既に千鴇君が終わらせていたので(ゴメン)、華岾さんと部員の話やマネージャーの仕事の話をしていた。
華岾さんは幼少期からお稽古でテニスを嗜んでいたけど、プレイするよりもサポートをする方が楽しいって気づいて今はマネージャーをやってるらしい。なんか、出来るオンナって感じがする~~!
でも、からかわれるような話あったっけな……
「貴女意外と面白いのね、地味でつまらない娘だと思ってたわ」
「ゔっ…!!ズバズバくるんだけど…!!」
「まあまあ、褒められてるみたいだし、いいんじゃない?」
「そ、そうかなぁ…」
千鴇君がヘラヘラと笑って肩をポンポンしてくる。
それなら良いんだけど…
「久しぶりだな華岾」
「真田くん、冬の練習試合ぶりね」
千鴇君に慰められていると、横で真田と華岾さんが親しげに話し出す。
ん?冬も一緒に練習試合したんだ…って事は、千鴇君はその時は立海にいなかったのかな?
「俺は今までずっと青学にいたんだよ」
「なんだって!?」
色々とハチャメチャすぎるよ千鴇君!!
そして、そんな短期間でこれだけの仕事を覚えてこなして仲良くなってるの…!?
目を見開いて千鴇君を見ると、真田と華岾さんの「で、本題はまだか」といった視線に気付いたのか、「ま、そこはおいおい話すよ!」といった風に流されてしまった。
「じゃあ早速だけど、例の件について…」
☆
「がっ…ごっ…アッ…!!!」
「日本語喋って美紀」
「だ、だttttって…こんな早くにこんなビッグイベント…聞いてないよォ…!!」
「まぁ言ってないからな」
「ヒン…どうしよ…生きなきゃ…うっうっ」
「あ、華岾さんじゃーねー!え?コイツ?ああ、いつもこんなんだから大丈夫!
じゃーねー!」
それは数分前…
「では早速、一か月後の氷帝・立海合同合宿について、大まかなスケジュールですが…」
「えっ」
「そうね、ここについてなんだけど・・・」
「ああ、構わん。後は・・・」
「えっ…えっ??」
というわけで、最初の「合同合宿」という言葉を聞いたのち、頭の中が真っ白になり何も聞いてなかったわけだが、(隣にいた千鴇君にレジュメで頭を叩かれて戻ってきた)
一か月後に控えた、氷帝との合同合宿に向けた準備を、部活の合間を縫ってマネージャーズで行う事になったのであった!
「ま、そういうわけだから、これからいろいろ手伝ってもらう事になるけど、よろしくな」
「あ、うん…」
渡されたレジュメに再度目を通すと、合宿は来月の5月に行うみたいだ。
それまでに買い出しや部員への周知、持ち出す道具のメンテナンスや在庫確認など、割とやる事がある。
「まぁ俺達ふたりいるなら大丈夫!ちゃっちゃとやっちゃおうぜ」
「そうだね…!なんかワクワクしてきたぞ!」
不安と期待が混ざりながらも手をグッと握りしめて、部室へ向かう千鴇君の後を追った。
★