合同合宿編
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急ぎ足で食堂に向かうと、既に中は賑わいを見せており、席も殆どが埋まっていた。
今回もバイキング形式のようで、楽しそうに料理を選ぶ声が飛び交っている。
私が空いている席が無いかキョロキョロしていると、少し遠くの席から「おーい柳坂!決まってないならこっちに来いよ!」とジャッカルが手を振ってくれていた。
「桑原くん…!ありがとう!」
「遅かったな!早くしないとメシ無くなっちまうぞ!」
席に駆け寄ると、既に料理をこれでもかというくらい盛り付けられた食器がテーブル上にひしめき合っていた。
どうやら彼のほかにも同席者がいるようだ。
「お!お前は立海マネの~、名前なんだっけ?」
「!!がっk…向日くんに、宍戸くん!どうも柳坂です…!」
「おう!今日も色々ありがとな!」
そう言うと宍戸はニッコリ笑って、ここの席座れよ!と自分の右隣りの空席を促してくる。
岳人は「このからあげめっちゃうまいからお前も食えよ!」と大皿にたんまり取ったそれを勧めてきた。
見るからに良識人メンツで集まっていた席に呼ばれ、私は心底ほっとした。
…というのも、昨夜は真田の説教の後。
結局そのまま夕食まで彼と一緒に食べ、しかもたまたま同席だった赤也とバイキングの焼肉ファイトが始まってしまい、めちゃくちゃ騒がしかったのであった…。(楽しかったけど)
結局その日の焼肉は二人が殆ど食べつくし、何故か私まで巻き添えに他のメンバーから疎まれるという始末だった。解せない。
そんな事を考えながらバイキングで好みの料理を取り、皆との団欒も楽しみながら食事をする。
会話も弾んできた頃、食事もひと段落したので、「あ。そういえば」と私は手持ちのビニール袋から昼に買ったお菓子を取り出す。
「売店で売ってたから皆で食べよ!たけ○この里~!」
……。
「……あれ?オーディエンス?付いてきてないよ?」
「お、おい…。まさか連続でこの流れを見る事になるとはな…」
俺はどっちも好きだけどよ、とジャッカルが付け足す。
「え?連続?何の事?」
「ま!俺は嬉しく食べるだけだぜ!な?宍戸?」
そう言うとさっきまでの沈黙はなんだったのか、岳人は嬉しそうに「サンキュー、早速いただくぜ~!」と言ってたけの○の里を頬張る。
が、声をかけられた宍戸は、それとは裏腹に不機嫌そうな顔を見せている。
「いやマジでこれだけは譲れねえよ!柳坂、ホントに○けのこの里しか売ってなかったのか!?」
「え!?…ハッ…」
もしかして、宍戸は…
「コイツはきのこの山派なんだよ!でもここの売店、何故かたけのこの里しか置いてねえの!昨夜の夕食でもこのメンバーで盛り上がってさ~!」
「盛り上がってねえよ!今日こそ跡部に直訴してやる!」
「諦めろって!分かるだろ?それしか置いてねえって事はさ、跡部もきのこの山なんか食わねえって思ってんだよ!」
「なんだと!?」
「あ~あ、また始まったぜ…」
そう言って三人が立ち上がり、ガヤガヤと声を上げだす。
買う時は何にも考えてなかったけど、そういえばこの二人ってどちらも派閥が違うんだったか…!!
迂闊だった…。
ジャッカルが間に入って止めようとしてくれているが、「大体お前はどっち派なんだよ!?はっきりしろ!!」と二人からヘイトを向けられてしまっており、このままでは完全に第三派閥になってしまいそうで、どうしようもない。
何とかして止めなければ…!
「ほ、ほら、まあまあ!食の好みは人それぞれだよ!
宍戸くんはチーズサンドにミントガム!
向日くんは納豆にからあげ!
…あ、桑原くんにはコーヒーあげるね」
私は食堂や売店から彼らの好みである食事をありったけかき集め、彼らに半ば押し付ける形でそれらを渡した。
「俺の好きなチーズサンド!どこにあったんだ!?」
「なんか声張ってたらまた腹減ってきたな!サンキュー!」
「な、なんで俺の好みがわかるんだ…?」
彼等はそれらを受け取ると、席についてそれぞれがまた新たな食事を楽しみ始める。
私は全ての元凶となったた○のこの里をビニール袋に戻しササっと隠し、後で一人で食べようと決意した。
ふう、なんとかおさまったみたいで良かった…。
「なぁ、俺納豆嫌いやねんけど…」
「突然沸いて出てこないで!?流石に忍足くんの好きなかす汁もサゴシキズシもえいひれも無いわ!」
「流石としか言いようが無いわ」
☆
夕食後。
立海のミーティングでは、今日の試合で勝てなかった赤也、仁王に真田の喝が入った。
「たとえ練習試合とて負けは許さん。各自明日は早めに起きて外周20周しておけ」
「「…イエッサー!」」
続いて全体ミーティングでは、今日のシングルスの試合結果報告と、反省・課題点に加え、明日はダブルスのシャッフルマッチを行うという連絡を受ける。
明日も試合か…。ダブルスだと、更に皆の動きに新しい発見が見られそうで、楽しみだな…。
そう思うと同時に、浮かれず自分の仕事を全うせねば、という責任感にも追われ、心の中で喝を入れた。
その帰り際、千鴇くんに呼び止められる。
「美紀、今日もお疲れ様」
「千鴇くん…」
「?なんだか元気ない?」
「え、あ…うん、ちょっとね。」
「そう…。あ、そうだ。」
「?」
「合宿ももう残り半分となりましたが。俺達はまだ出来ていない重大イベントが御座います!」
「ん!?なんでしょう!?」
「どうせならみんなの部屋に遊びに行きたくないですか?」
「天才か?」
☆
まず訪れたのは、真田、柳、赤也の部屋。
ノックをすると柳の「どうぞ」という端的で凛とした返事が聞こえ、
「失礼しま~す」と部屋に入ると、3人とも部屋にいた。
真田と柳は窓際で将棋をさしており(中学生…?)
赤也は一人でインクのゲームをしているようだ。
「わ!柳坂先輩!遊びに来てくれたんスか!」
「はしゃぐな赤也、うるさい」
「ずっとこの調子なんスよ~、外に出ようとすると止められるし、何とか言ってやって下さい!」
「ええ…まるで小学生を見守る保護者だね…」
「日頃の行いが悪いのだ」
そう言ってジト目で赤也を睨む真田だったが、向かいに座る柳に「弦一郎、この勝負、俺が貰った」と言われると、「何ィ!?」と慌てふためいた声を出す。
「あ、じゃあさ、せっかくだから皆でゲームしようぜ!」
「え?千鴇くん、でもこのメンツでゲームって…」
「まあまあ、絶対面白いからやろうぜ!スマッ○ュブラザーズ!」
そう言って彼は何処から取り出したのか、
赤也の持っているゲーム機と同じもののコントローラーを手際よく全員に手渡す。
「ほう、久方ぶりだな。今は5人でも出来るのか」
柳はそう言って少し微笑むと、手慣れた手つきでサム○を選んだ。
「え~!柳先輩ガチっぽい!俺はコイツにしよーっと!」
赤也は見た目がカッコいいからという理由でシュ○クを選ぶ。
「これはどういうゲームなのだ?選択肢が多すぎて分からん…」
「真田のフィーリングで選ぶといいよ!」
そう言うと、「む…、ならば、こやつにしよう」と言って、真田はリュ○を選んだ。
なんだかどれも3人らしい選択肢でにんまりしつつ、
私はク○パを、そして千鴇君はヨ○シー選んだ。
………
「まあ、こんなところだろうか」
「柳強すぎでは…」
5戦して、結果は柳の4勝、千鴇の1勝に終わった。
圧勝した彼は「昔よく、友人とやっていたものでな」と嬉しそうに微笑む。
赤也は悔しそうに「もう1戦!もう1戦だけやりましょ!?」と騒いでおり、真田も少し慣れてきたのか、次がやりたそうにウズウズしていた。
「じゃああともう1戦だけ!そんで俺達、他の部屋も覗きに行きたいからさ。今日は飽きるまでそれ貸しとくよ!続きはまた今度という事で!」
「良いんですか!っしゃ、柳先輩、今からこの切原赤也がコテンパンにしてやりますよ!千鴇さん、柳坂先輩、また皆でやりましょうね!」
赤也がそう言って満面の笑みを向けてくる。
数日前からは想像もつかなかったこの親密感に、私の全身が嬉しい!と叫んでいるのが分かる。
1戦終わった後(結果は勿論、柳の圧勝)、
少し名残惜しい気持ちもありつつ、まだまだ物足りなそうな3人に「じゃあ私たちはこれで」と告げて部屋を後にした。
★