合同合宿編
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ジローちゃんを送り届けてブン太と解散した後、千鴇くんと持ち込んだ道具の整理をしていたら昼食の招集がかかった。
食堂に行くと人数分綺麗に並べられたカレーライスが出迎えてくれたけど、席についていただきますをするや否や、殆どみんなが一瞬でペロリと完食し、おかわりをしていた。流石育ち盛り…。
昼食が終わった後は早速練習。
この日はそれぞれの学校で調整&基本練習をメインに行った。
全部で8面もあるコートを4面ずつ分け合う。
私はいつもどおりタオルや飲み物の用意を行うが…。
「うーん、なんか、すっごく息が苦しいような…」
「それ、もしかして恋じゃん?」
「違うわ!」
私の独り言にすかさず千鴇くんが茶化しに入る。
彼らには常に恋してるからそれは違う!!!(断言)
「あはは、ごめんごめん。今は山の上にいるからね、その分空気が薄いんだよ」
「あ、そっか…少し動いただけなのに…」
「そう、いつもより疲れやすいけど、テニスでの持久力強化にも繋がって、良いトレーニングになるんだ」
千鴇くんはそう言いながら、用意したジャグを両手に持ってコート内に入っていく。
私もそれに続いて荷物を持って中に入った。
「なるほど〜。千鴇くん、詳しいんだね」
「え?あー、うん、まあね~、」
彼はそう言って微笑むとベンチにジャグを置いて、奥で「おい!ちょっと来てくれ!」と叫ぶジャッカルの元へと行ってしまった。
…?
今、なんとなく、辛そうに見えたけど気のせいかな…?
「柳坂、すまないが消毒液と、大判の絆創膏を1つくれるだろうか」
「あ、はい!…って、柳くん!?どうしたのその傷!」
呼ばれて振り返ると、そこには右頬に出来立ての痛々しい傷を負った柳の姿があった。
私は急いで荷物を置き、彼にベンチを譲る。
「とりあえず、これ…!ここ座って!」
「ああ、すまない。なに、大したことじゃない。赤也を高所に慣れさせる為に少しいじめてやったら、返り討ちにあっただけだ」
「ええ…」
チラリと奥を見ると、先ほど千鴇くんが向かった先で、ジャッカルに抑えられている赤也とそれを取り囲むR陣の姿が見えた。
普段の練習ではあまり見れなかったけど、改めて考えるとデビル化、とても恐ろしい…。
「ちょっと痛むけど我慢してね」
「ああ。…ッ」
そう言うと柳は少し眉間に皺を寄せるが、身体は微動だにさせない。
私はそんな姿に感心しながらも素早く消毒をして、絆創膏を貼り終わる。
「よしよし、えらいえらい」
「フ…、なんだかあやされているようだな」
「え!あっ、ゴメン、そんなつもりじゃ…」
無意識のうちに柳の頭をポンポンしていたようで、私はその手を掴み急いでひっこめる。
「いや、謝る必要はない。むしろ続けてくれても良いんだが」
「エ、遠慮しておきます!」
私がしてしまった事のせいとは言え、心臓に悪い…。
私はなんだかソワソワしてしまうのを誤魔化すため、念のため応急セットを持って他のみんなの元へと向かった。
☆
幸い赤也や他の部員にケガはなく、(否、真田の一喝が赤也の頬を赤く染めたくらい)その後の練習は順調に終わった。
あんなに私が息を切らせていたのに、皆平然とした顔で練習をしていて、純粋にすごいと思った。
そして何より…。
「(こうやって半日まじまじと練習を見る機会、なかなか無いかも…)」
普段の早朝と放課後の練習だけでは忙しくてあまりじっくりと彼らの練習姿を見る事が無かったので、改めて見ていると、そのフォームの美しさ、強さ、気高さをひしひしと感じた。
…なんて、ちょっと良い事言った風にしたけど、
純粋に、全員カッコ良い…!!!!!
「見とれているところ悪いが、もう練習終わったぜよ」
「ハッ!!仁王くん!!本物!?」
「残念じゃが。本物じゃ」
さっきまでコートの中にいたはずなのに、いつの間にか私の近くに来ていた仁王はそう言うと、ケラケラ笑って宿舎の中にフラッと行ってしまった。
つかみどころがないなぁ…。
っていうか、私のヘアピンいい加減返して!?
「って、いけない、荷物片づけなきゃ…」
「あ~、風呂の後に晩飯とか、考えらんねぇ…」
「わ、ブンt…丸井くん!」
片付けをしていると、明らかに元気のなさそうなブン太がのそのそと歩いてくる。
「おなかすいちゃったの?」
「お~、今日買ったお菓子も食っちまったし…もうぶっ倒れそう…」
なんだか健康な中学生男児って感じだなぁ。
と思いつつも、実は私もめちゃくちゃおなかがすいていた。
それになんだか、建物内からいい匂いがしてきてる気がする…。
「あ、あれ、どこ行くの丸井くん…!?」
気づいたらブン太はその匂いがする方向へと無意識に歩いて行っているようだ。
心配なので急いで荷物を担ぎ、彼について行ってみることにした。
☆
「食堂だ…!それに、うまそうな料理もたくさん~!」
「チョ~~うまそ~~~!」
「わぁ…!」
ブン太の後をついていくと、そこには予想どおり食堂があった。
夕飯はバイキング形式らしく、食べ盛りの学生たちの為の準備が着々と進められている。
あといつの間にかジローちゃんも途中から合流していた。類は友を呼ぶ…。
「こんだけあるんだから少しくらいつまみ食いしたっていいよな…!」
「ええ、でも…」
ぎゅるるる…
「…一個だけなら、いいよね!」
私はあっさりと欲望に負けて、
ブン太に差し出された唐揚げを一つ口に放り込む。
「え!美味しい…!」
「だろい!こっちのミニケーキもうまそ~…」
「おい、お前ら何をしている」
ギクッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
振り返ると、そこには鬼の形相をした真田が立っていた。
「練習後にそそくさと消えていったと思えば…
マネージャーのお前まで…それに、氷帝の芥川…
全員、たるんどるわ!!!!!!!!」
「うぅうあああやべぇ!!逃げろ!!」
「え!?あ、ハイ!!!!!」
今にも襲いかかってきそうな真田を目の前に萎縮していたが、ブン太の叫び声と同時に反射的に走り出す。
背後に「待たんかァア!!」という声を聞きながら、私達は必死に食堂から逃げ出した。
「はあ…!大丈夫だったかな…」
宿舎内を走り回ると怒られるので急いで外に飛び出し、庭園の奥まで逃げてきた。
遠くで真田の雄叫びが聞こえるような気がしなくもないが、恐ろしすぎて絶対に出ていきたくない。
「ヒィ…やっぱりつまみ食いは良くないね…」
「あれは後が怖ぇな…。でもなんか、楽しかったぜ!」
「俺もだC!」
「えぇ~…」
そう言ってブン太は少し困り顔をしながらも、ジローちゃんと顔を合わせ良い笑顔で微笑むものだから、私もつられて笑ってしまった。
…どうかこの後、説教タイムが来ませんように…。
(フラグだ…)
☆
二人と宿舎内で別れ、次は待ちに待ったお風呂の時間!
女は私と華岾さんしかいないので、殆ど貸し切り状態だ。
華岾さんと一緒に女風呂へ向かい、早速中を見回すと、洗い場に内風呂、サウナ、更に露天風呂までついていた。
私は「よーし、全部入るぞ~!」と意気込んで身体を洗う。
華岾さんに声を掛けたら「私はやる事があるから、今日ら先に出るわ」との事だったので、私は一人露天風呂に入ることにした。
「は~…気持ちいい」
しかし今日は疲れたな…。
半分はバスの中だったとはいえ、色々と気疲れもしたし(何より心臓に悪い事がたくさんあったし)、一人でゆっくりする時間がなかったかも。
どうせ誰にも聞こえないし、好きなテニプリ曲でも口ずさんじゃお〜っと。
「…ん?」
何やら男風呂の方が騒がしいような…。
「…か〜!!!!」
「聞こえますか~!!!!」
この声は……赤也だ。
周りにいる人の笑い声も聞こえるので、今は注意する上級生もいないと見える。
返事をするにも私も相当の声量を出さないと聞こえないし、自分に話しかけてるのか?という不安からなかなか声を出せないでいると
「誰もいないんスか~~~~!?!?」
…まずい、このまま返事しないと彼はずっと叫び続けるのか?
何故か何もしていない自分に緊張感が走る。
「居ないんスね~~!!!じゃあー!!
ジャッカル先輩のアソコのサイズは~~「ワ~~~~~~~~~~!!!!!!!!!」
何を言い出してるんだあのワカメ野郎!
私は思わず湯舟から立ち上がり、声のする壁の方へと向かって叫んでしまう。
「お!柳坂先輩!いるじゃないっスか~!!!!」
「お!じゃないんだわ!!何!?何の用!?」
「特に何もないで~~~す!!!」
「何もないんか~い!!!!」
思わず盛大なツッコミをすると、
壁の向こう側から更に笑い声が聞こえてくる。
もう…折角一人でまったりしてたのに、何なんだ…。
でも、こんな普通な?コミュニケーションを彼らととれている事に少し、嬉しさも感じた。
☆
のぼせてきたのでそのままお風呂から上がり、
更衣室で華岾さんがくれた化粧品の試供を使う。
流石大手の商品、まだ私には質の良さとかがよく分からないけど、すっごい大人な良い匂いがする…!
ルンルンで女風呂から出ると、ちょうど男風呂から長太郎が出てくる。
「柳坂さん!さっきはなんだか騒がしくてすみませんでした…」
「鳳くん!いや、君が謝る事じゃないよ…!」
いえ、俺も一緒にいたのに止められなくて…と、律儀にお辞儀をしてくる鳳くんから、シャンプーの良い匂いがふわっと香る。
うわ~~~~~…!
ちょっと刺激的すぎる…!
なんて悶えていたら、突然目の前の大男が顔をブンッ!!と上げてこちらをキラキラした目で見つめてくる。
「この匂い…!!柳坂さんもカヤマの使ってるんですか!?実は俺もなんです!」
そう言って彼は手持ちのバッグから私が貰ったのとは色違いのボトルを取り出す。
「うん。さっき華岾さんから貰ったんだ」と答えると、長太郎は嬉しそうに頷いて、さらに続ける。
「そうなんですね!実は俺もメンズタイプを勧められて使ってるんですが、匂いが凄く好きで…!」
「楽しそうなところ悪いが、通らせてもらうぜ」
「あっ!ごめんなさ…!!!!」
風呂の出入り口付近で話し込んでしまっていたので、邪魔になってしまったと思い急いで道を譲る。
すると、
そこには湯上りの蒸気を身に纏った跡部様がいた。
バスローブを寸分の狂いもなく美しく着込み、さながらハリウッドスターのようなそのお姿は、見る者全てがかしづくレベルでキングであった。(語彙力)
「ええ湯やったなぁ」
「はい。牛乳が飲みたくなりますね」
「ブッ」
その後ろから忍足と柳生も出てくる。
あのね。二人揃って眼鏡曇らせてくるのはズルい。思わず吹き出してしまった。
「あ~面白い…じゃなくて、なんだか賑やかで良いね」
「そうですね、立海の方々もいると良い刺激になります!」
「うんうん、楽しいね~……アッ」
鳳くんとそんな話をしながらそれぞれの部屋に戻ろうと歩みを進めると、その先にある長椅子にとてつもないオーラを放った一人の人物がドッシリ座っているのが見える。
そうだ。
私は肝心な事を忘れていた…。
「ようやく姿を現したか柳坂…」
「ア、ア……」
「おっと…柳坂さん、じゃあ俺はここで…」
「ま、待って鳳くん…!」
「今度こそは逃がさんぞ!!!!!」
「うううわあああごめんなさいいいい!!!!」
この後、真田の説教は夕食の時間まで続いた…。
☆
時は過ぎ夕食後、立海でのミーティングを終え、全体ミーティングに向かう。
全体ミーティングでは、各校のマネージャーと榊先生に加え、氷帝部長の跡部、立海副部長の真田も交え、合宿全体で今日あった出来事や問題点を話し合った。
さっきの事もあり私は終始真田に怯えていたが、彼は特に私たちの事は話題に出さず、テニスをする上で気づいた点を真剣に述べていた。
今日は初日という事もあってか、他には設備の使用や備品の不足についての話題のみに留まった。
「本日はこれで解散だ。明日も宜しく頼む。それでは、行ってよし!」
「よ、良かった…」
「?何が良かったんだ美紀」
「え!?あ、何でもないよ千鴇クン!!!」
「お、おう…明日も朝早いし、頑張ろうな。いつもみたいに起こせないから頑張れよ!」
「ああ、そうだった…」
自室へ向かっていると千鴇くんが話しかけてきた。
毎日一緒に過ごしていたはずの彼と話すのもなんだか久々な気がする。
「まぁ今日は初日だし、あと3日もあるんだから、体力温存して行こうぜ」
「ふあ~あ…そうだね…」
「おい、廊下で寝るなよ?じゃあ俺こっちだから、おやすみー」
「うん、おやすみ~」
確かに今日は凄く疲れたし、明日も自力で起きなければならないので、
彼の言うとおり今日はとっとと寝る事にした。
さて、明日はどんな一日になるかな…。
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