出会い編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
~♪
「んー………まーけーてーはーならーぬー…」
例の魔界交信曲で目覚めた私は歌を呟きながら手探りで携帯を探す。
某テニス漫画を好きになって以降、この神聖なるレクイエム(響きがカッコいいと思っただけで意味はよく分かってない)で毎朝目覚めるようアラーム音に設定している。
なぜか、 飛び起きなければ二度と起き上がれなくなるんじゃないか…!!という暗示が無意識のうちに自分にかかり、一瞬で起き上がれるようになったからである。
…って、ん?あれ?なんだか枕ジャリジャリしてる…?
確か私の枕は低反発だったはず…
ぶわっ
「うわっ寒っ!ちょっと布団返してお母さ…」
突然布団をはがされ、
ブルブルと震えながらも起き上がって数秒
目の前にいるみたこともない人間から目が放せなくなる
「あ…あんた誰ですか!?」
「ん?この家の住人」
「この家…って、えっちょっココ何処ォ!?」
すぐに辺りを見回すと
馴染みのないベッド、見たことのない家具に囲まれていて
それに目の前には…
「俺はハタミセントキ。よろしく」
……えっ。誰?
「つまり……ってわけ」
ひとまずベッドから起き上がった私は、髪はバサバサ顔は酷い有様の状態でありながらも、同居人と名乗る男の子の話を聞くことにした。
見た感じ、学校の制服を着ていて同い年くらいに思えるが、少し落ち着いた雰囲気のある男の子だ。
普通に出会えば何も不思議がる事はないが、先ほどから受けた説明がとても信じられないもので、膠着する。
「えっ…なっなんで、ちょっとまって、ホント何…わけわかんない」
「話聞いてたか?まあ…とりあえず、お前は今日からこの世界の学校に通わなきゃなんねえ。これ制服ね、あーあと洗面台はこの部屋出て左から…」
「は?この世界?ま、まって、どういう意味…?」
反論しつつも反射的に手渡された制服を受け取るが、目の前の男は聞く耳も持たず私につらつらと説明を重ねていく。
が、まず全く知らない部屋で、全く知らない人間から話される言葉ほど信用ならないものはなく…
「(そんな事言って、誘拐犯とかに決まってる…きっと臓器売買をするつもりなんだわ…)」
「今めっちゃ失礼な事考えただろ」
男をずっと睨みつけていると、少し億劫そうな顔をして男はガサゴソとポケットからあるものを取り出した。
「あー…じゃあ単刀直入に言う!その方がお前には良いだろ。…お前はな、テニスの王子様っつー漫画の世界に飛ばされたんだよ」
……………は。
いやいや~まさかそんな!
地球がひっくり返ったってそんな事起こるわけ…え???????
エ!!!!!!!?!??????!??
「えっと、言ってる意味が良く分からないんですが~~~~…え~?っと???」
完全に頭が爆発している私は何が何だかわからないがとりあえず彼が先ほど取り出したものを見つめると、ケータイの写真に見た事のあるイケメン達が、目の前にいる男と一緒に写っていた。
えっ…???コスプレ???
いや…それにしては出来すぎてる…
というより、何故か分からないけど私の頭の中では彼等が本物であるという気がしてならない。
エッ・・・・・・・・・・・
エ!!!!!!!?!??????!??
(思考完全フリーズ)
「お、お~い、大丈夫?…まぁ無理もねぇけど…。」
「なななな、なんだかもう貴方の仰っている事のすべてが怪しすぎるし、この目で確かめるまで信じられませんわ!」
「キャラ変わってんぞ…まぁ分かった、とりあえず準備しろな、」
と言って男は先ほど私に手渡した制服をトントンとつつくと、今いる部屋からとっとと出て行ってしまった。
「ンッ…?これは…立海の…」
見覚えのある深緑のジャンバースカート。
訝しみながらも袖を通すと、何故か私の身体にぴったりだった。
「(怪しんでいても、どうせこの部屋から出ないとならないなら、行動するしかない…)」
怪しいが、今はあの男の子を頼るしかない。
彼を追いかけるべく、私はベッドから立ち上がってドアを開けた。
☆
私はとりあえず寝起きにする行動をそのまま行なった。学校行くのなら、別に変わった事をする必要は無い。
先ほどの男の話によると、ここでは基本彼と二人暮らしとなるらしいが、このマンションの大家さんが近くにいて、面倒を見てくれているらしい。
とはいえ、異性と同じ屋根の下で突然共同生活なんて…とごちゃごちゃした頭を整理しながら洗面台で顔を洗ってたら、男…セントキくんの声が聞こえた。
(おーいそこのキミ~~って呼んでたらもう一回名前を教えてくれた。名前覚えられない。)
「そこに置いてあるコップとか歯ブラシだけど、ピンク色のはお前のだから自由に使えなー」
「あ、はーい」
女はピンクって定義なのかな。あんまりそういうの好きじゃないけど、模様もなかなかセンス良い。
ちなみに千鴇くんのは黒っぽい色で統一されてるみたい。シックでいいカンジ。
∑!!
…新婚かっ!
…動揺から一人で乗りツッコミをしてしまったが、気を取り直して髪の毛を整える事にした。
その後、セントキくんの名前の漢字がどーうしても気になったので、
セントキくんが私のスクバになにかイタズラをしている間に(何してるんだアイツ)私も生徒手帳をみるというイタズラしてみた。
結構みんな嫌がるんだぞ!証明写真の写りがきもいって!
…こいつ証明写真めっちゃハンサム……(・ω・`)
うん、気を取り直して私。(2回目
ハタミセントキ…畠見…千に鴇かあ…ホント凄い名前。なんかセントキってせんとくんみたい…ブフッ!!
「?いきなりだからまだ生活必需品位しか揃って無いけど、今日の帰りに買い物してこーぜ」
「ん!ふふー?うんうん!そうだねw」
「なんかきしょい」
「うっせえ」
「あ、そういやこれお前の携帯?廊下に転がってた」
「うわあマイ携帯!会いたかったよ!えっなんで廊下に放置プレイ?」
昨日私の家で寝た時は確か枕元に置いといた筈なんだけど…
傷や不具合は無さそうなので良かったけども!
「よしっOKだ」
「ねえキミさっきから人のスクバでなにしてたの?……………え"」
「いや千鴇な??んでこれどう???良くない???」
なんかこの世界にいる某お金持ち校の俺様部長並なセンスを思わせるドドドドド派手なデコレーションが施されたスクバと生徒手帳その他もろもろがあるんですけど。
前言撤回、コイツ全くセンスない!!
「今すぐ取って」
「ええっ!?なんで」
「いいからごちゃごちゃ言わないでさっさととって!!」
「ちぇっ」
「つかこういうのは自分のにやってよ」
「やだよ俺これでもずっと優等生で通ってきたもん」
「なにそれひでえ!だからって人のにやらないでよ!」
「ごめんごめん」
ははっと笑って千鴇くんはスクバを写メってた。
…もしかして意外と自信作だったりするの?それ。
私は彼のセンスを本気で疑いつつ、朝の準備の続きを行った。
★
1/9ページ