御幸 一也
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「一也ぁ〜〜」
「おっ、みゆ、はよ。どした?」
「おはよ〜。生物の教科書貸して〜〜」
「お前、毎回忘れてね?
………はっ!もしかして、、、俺に会いにくるための口実?
いやん、俺ったら狙われてる〜♡」
と、ふざける幼なじみを相手に
「そーそー、わざとわざと」
と軽くあしらい、机まで取りに行く。
「キャッハー!狙われてるっていうか、狙ってんのお前だろ、御幸!」
と、倉持も悪ノリで言い放つ。
「そーなんだよ。
こんなに愛情表現してるのに、みゆに応えてもらえず、はや10年。
俺って超一途。」
右手で片頬に添え、かわいこぶる一也を横目に教科書を受け取る。
そして、受け取った教科書の角で、一也の頭を軽くこつく。
「ちょっ!ばか!お前。優しくやっても痛いもんは痛いんだからな!気をつけろ!!!」
と、自身の頭部をさすりながら言う。
「だったらそういう冗談を言わないこと〜。私は一也の彼女に勘違いされたくないので。
教科書ありがとね。後でまた返しにくるよ」
そう言い一也の教室を後にする
……………………はぁぁぁぁぁあ
教室に戻り、盛大なため息を吐く。
「よーよー、みゆちゃんよぉ。
大好きな御幸くんにちゃんと愛を伝えてきたかぁ?」
ニヤニヤしながら、親友のマミが話しかけてくる。
「!!!?ちょっ、マミ!!!?
そんな大声で言わないでよ!!!内緒にしてるんだから!!!!」
と、急いでマミの口を手で塞ぐ。
そう。私は、幼なじみである御幸一也に10年以上想いを寄せている。
さっきは、あんな適当にあしらったけど、内心バクバクでにやける顔を隠すのに必死だ。
でも………一也が10年私に思い寄せてるとか、絶対嘘。だってあいつ今も彼女いるし、それに…
私は教室から見えるグラウンドに目をやる。
あいつは、野球がいちばん大好きなんだから。
放課後、日直の日誌を書くために教室に残っていた。
マミは、彼氏とすでに帰宅している。
よっし、こんなもんかな。あとは、職員室に日誌持って行って、帰ろう
グラウンドでは、多くの部活が活動していて、その中に一也のいる野球部も見える。
…あーあ。こんなに大勢いても、一也だけは見つけられちゃうんだよなぁ、昔から。
なんかセンサーでもついてんのかな。
と思いながら、少しだけ練習してるの見てから帰ろうと机に片腕を伸ばし頭を乗せる。
ポカポカと暖かい気温が心地よく、ウトウトし始め、自然と瞼が落ちた。
ーーーガララッ!
と、急に教室のドアが開きそれに驚き、はっと目が覚める。
音がした方へ目をやると、そこには私の想い人が立っていた。
「やっぱここにいたかぁ。何してんだよ。
何回電話しても出ねーし、メールも返事ねーから、心配したんだけど」
えっ!!!?と、慌てて携帯を見る。時刻は午後8時半。お母さんや一也から着信がたくさん来ていた。
「や、や、やばい!8時半!?え、やばいんだけど!!
めっちゃ寝てた、ありえない!!!」
時間を確認し、ようやく事態を飲み込み帰ろうと立ち上がる。
そこでふと、ある疑問が脳裏によぎる。
「なんで、、、一也がここに…??」
一也に目をやると、
「みゆの母ちゃんから電話とメールめっちゃきてた、まだ帰ってこないーって。
んで、練習終わって校舎見たらみゆのクラスの電気まだついてるし、もしかしてと思って来たわけ」
ほら、帰るぞと一也に言われ鞄を取り教室を出た。
職員室にはまだ先生が残っていて(野球部の片岡先生)、事情を説明しクラス担任の机に日誌を置き、職員室を後にした。
「散歩がてら、駅まで送るよ」
「や、でも。自主練、、、」
「帰ってからやるから、みゆは心配すんな。たまには息抜きも必要だしな」
ニヒヒ、と私の大好きな顔で笑う。
「……ん。ありがと、お願いします。」
2人で堤防をゆっくり歩く。
「そいえば、一也……」
「なに?」
「……朝の、彼女に勘違いされなかった?」
一也の口から、彼女の話は聞きたくない。
けど、そこは一応、勘違いされていたら相手に申し訳ないし…ね
「え、あー。うん。大丈夫っしょ、もう別れてるし」
しれっと爆弾を落とす。
「は!?今、なんて…」
「いや、だから、もう別れた。
結局いつもと一緒、野球と私どっちがー、みたいな。比べるもんじゃねぇのにな。
でもまぁ俺も告られたから付き合ったけど、本当に好きかどうかって言われたら、わかんねーし。
これでよかったんじゃね?」
と言いながら平然と歩く。
「でもさ…、みゆが彼女だったらいいのに、って俺はずっと思ってっけど。」
「…え、、?」
「だって、野球のことも理解してくれるし、昔からの付き合いだからお互いのこと分かりきってるし。」
「…でも一也。私のこと、好きじゃないよね?」
チラリと横目で一也を見る。
すると、目をまんまると広げて、心底驚いた顔をしていた。
「……くっ、、、くく。ふはっ、ははは。まじかよ。」
目に涙を浮かべながら笑っている。
私は訳がわからず、頭上にはてなを浮かべていると、
「ほんっっっと鈍感だな。気づいてねーの、みゆだけだから。」
「気づいてないって、一体なにが…」
「俺、今朝もしてたと思うんだけど。
……アプローチ」
今朝?アプローチ?今朝ってなんかあったっ……あったわぁぁぁぁ。
倉持が悪ノリしてきたやつ。え、でもあれって冗談じゃ…しかも、一也は、、、
「彼女…いっぱいいたじゃん。」
そう。私を好きだったのが仮に事実だったとして、一也は今までにたくさんの彼女がいた。
……全て振られているけど。
「………」
珍しく沈黙になる。
私から目を逸らしながら、そして少し照れくさそうにポツリとつぶやいた。
「……それ、は。みゆが俺の方全然振り向いてくんねぇ、から…気ィ引きたくて。」
………………………。
え。そんな理由?そんな理由なの!?
私のこれまでの悩みはいったいなんだったと、、、
「っんなこと、どうでもいいよ!!
で?みゆの返事は?どうなんだよ。」
キッと睨みつけられる。
外は暗くなっているのに、一也の顔が少しあからんでいるのがわかる。
なにこのロマンチックのかけらもない告白。
てゆうか、いったいいつから私のこと好きだったの?
気づいてないの私だけって他は誰が気づいてたの?
なんでそんな小学生みたいな理由で彼女なんて作るのよ。
もっとわかりやすいアプローチしてよ。
とか、言いたいことは山ほどあるのに、一也が私を好きだという事実が心底嬉しくて、照れくさそうにする一也の胸に思いっきり飛びついた。
「私の方が、大昔から大好きだっつーの!」
飛び切りの笑顔をむけて。
君との恋が、今始まる。
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