奥村 光舟
いい夢見てね
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「みゆさん、好きです」
「いや、奥村。毎回言ってるけど私は・・・」
これは、今や日常と化している状態で、
2学年後輩の奥村は、何故か知らんが私に好意があるらしく
毎日毎日好きだのなんだの、言われ続けている。
「こら!奥村少年!!!みゆさんを困らせるな!」
「沢村先輩は黙っていてください」
「なっ、・・・ぐぬぬ」
相変わらず沢村には強気だなぁ。
ここ最近で、いい感じになったと思っていたのに。
「で。みゆさんはいつになったら俺と付き合ってくれるんですか?」
「あのねぇ、いつも言ってるけど。
私!彼氏!いるの!」
「知ってます」
私の目を見ずに、奥村は素っ気なく答えた。
な、なんだこの態度は!
一周回って、笑えてくるんだけど。
「知ってるなら話は早いよね?
彼と別れる予定なんてないよ」
「それはどうですかね」
真剣な瞳で見つめてくるから、全てを見透かされた気がした。
奥村は、一歩一歩ゆっくりと近づいてきて私の横を通り過ぎた。
「みゆさんだって、もうなんとも思ってないくせに」
「なっ!そ、そんなこと・・・ない、」
「俺はいつでも待ってますから」
なんでこの子は、さも当たり前のように、
私が自分のことを好きだと思っているのだろうか。
そんな素ぶりはしたことないし、そんな気も持ち合わせていない。
『これで何度目?なんで同じことするの!?
私のことがいちばん好きだって言うなら、浮気なんてしないでよ!』
『魔が差しただけだよ。
俺はみゆが本当にいちばん好きなんだよ
それだけはわかってくれよ』
『何回私を傷つければ気が済むの?
もういい加減耐えられないよ。』
『・・・はっ、傷つければって、
お前だって部活の後輩と関係持ってんだろ。
先に浮気したのはどっちだろうな』
『な!!!持ってるわけないでしょ!
あんたと一緒にしないでよ!』
『うるせーな、もういーわ。
めんどくせぇし、別れる』
どうして私があんなこと言われなきゃいけないの。
ただ、私だけを好きでいて欲しかっただけなのに。
しかも、後輩と関係持ってるって。
誰だよそんなデマ流したやつ!腹立つ!!
彼と別れて、2週間。
中学から付き合っていたから、あんな感じだったとはいえ
別れたら相当ショックを受けると思っていた。
受けると思っていたが、意外とダメージを受けていない自分に驚いた。
「好きだったはずなのになー」
まだ誰もきていないグラウンドを見つめながら呟いた。
「いつ俺のところに来るんすか?」
1人だと思っていた私は、突然聞こえた声に驚いた。
「うわぁあ!おおお、奥村。いつからそこに・・・」
心臓がバクバクしている。
「俺の言った通りでしょ?みゆさん」
私から少し離れたところに奥村は立っていた。
そしてこちらに近づいてくる。
「ちゃんと好きだったもん」
「俺と浮気してるって、言われました?」
「な、なんでそれ・・・」
奥村はふっと、鼻で笑った。
「もしかして、あんたが?」
私と付き合いたいからって、そんなことまでするか?
「奥村、それはゲスすぎる」
「だってみゆさん気づいてないじゃないですか」
そう言って、奥村は私を抱きしめた。
「ちょっと、やめてよ」
体を離そうと胸を押すが、全然動かない。
小柄だけど、やっぱりこの子も立派な野球部員だ。
「もう随分前からしてますよ、浮気」
「・・・意味不明なこと言わないでよ。
奥村と関係持った記憶はない」
私は奥村から告白はされるが関係を持ったことはない。
だから、浮気だと言われる意味がわからない。
「いや、だから、こっちですよこっち」
体が離れたかと思ったら、私の心臓あたりを指で差した。
「心、の方です。
・・・もう、とっくに好きですよね。
俺のこと」
思い返せば、いつも視線の先には奥村がいた。
普段無愛想な奥村が笑うと、もっと見たいなんて思った。
寝る前に浮かんでくる顔は、いつも奥村。
付き合っていた彼と別れたって、ダメージもない。
噂を流したのが奥村だったって知っても、そんなにムカつかなかった。
抱きしめられた時、少しだけ嬉しいと思ってしまった。
「思い当たる節、ありますよね」
ニヤリと笑った奥村は、再び私を抱きしめ、
私に同意を得ることもなく、唇を合わせてきた。
体の浮気よりも、心の浮気の方が重罪
だなんて、誰かが言っていた気がする。