奥村 光舟
いい夢見てね
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「はぁ…なんで光舟はあんなに可愛いの。」
たまたま窓の外を見ると、外で体育の授業を受けている彼を見つける。
「瀬戸君以外に友達出来たかなぁ、心配だぁ」
「白石!お前は本当のあいつをわかっていない!
あいつは、人間の皮を被った狼だ!
気をつけてないとお前も俺みたいに噛みつかれるぞ!」
「あはは、沢村は光舟とバトったんだっけ?
大丈夫大丈夫、私はもう手名付けてるから」
と笑って言うと
「狼って人に懐くのか!?」
沢村は心底驚いた顔をしていた。
チャイムが鳴り、授業が終わる。
グラウンドから校舎に戻ってくる光舟と目が合う。
すかさず私がウインクすると、じっと睨まれる。
「はぁぁぁ。睨んだ顔もたまらんっ!!!」
「お…俺には白石の気持ちがよくわからん」
と沢村は少しだけ困った顔をした。
「みゆさん」
昼放課、2年の教室に堂々と入ってくる光舟に、
最初はみんな驚いていたが、見慣れたのか今は誰も気にしない。
むしろ私の友達に餌付けをされている。
(嫌そうな顔をするけど、ちゃんと受け取るところは律儀だなぁ)
私の席まで来て、空いている前の席に座る。
「あぁぁぁ。光舟は今日も可愛いねぇ」
と、頭をわしゃわしゃすると
いつもは嫌がるのに、今日は無表情のまま黙って受け入れる。
…あれ?なんか、嫌なことでもあったかな。
「…光舟、ジュース飲みに行かない?」
わしゃわしゃしながらにこっと話しかけると、
しばらく悩んでそのまま黙って頷いた。
光舟は、口数も少ないし表情にあまり出ないから
付き合った当初は、わかりづらいと思うこともあったけど、
今では、なんとなく雰囲気から読み取れるようにもなった。
意外とわかりやすいというか、子供っぽいというか。
そんなところも、可愛いと思ってしまう。
「今日はみゆさんが特別に奢っちゃうよ!」
何がいい?と聞くと、
「じゃあ、お茶で」と答える光舟に購入したペットボトルを渡す。
「…ありがとう、ございます。」
そう言い難しい顔をやめない光舟も、可愛い。
結局、光舟の存在自体が私にとっては可愛い以外のなにものでもない。
「みゆさんは…」
しばらく黙ったままだった光舟が口を開く。
「ん?」と飲んでいたジュースから視線を移す。
「…俺のこと、ちゃんと男として見てますか」
髪の隙間から見える横顔が、少しだけ寂しそうに見えた。
「…いつも余裕そうで、俺ばっかり必死になってます」
膝の上に置いた拳を、きゅっと軽く握った。
その手は、震えているように見えた。
「…俺、男なのに、可愛いっていっぱい言ってくるし」
ジロっと私を横目で睨む。
「…沢村先輩と、なんであんなに仲良しなんですか」
視線を、私から私の持っているジュースへ移す。
「沢村先輩の方が…かっこいい、ですか」
再び自分の膝へと視線を戻した。
そこでまた、しばらく黙り込む。
「ちゃんと、みゆさんの彼氏に、なれてますか」
そう弱々しく呟いた光舟は、下を向いたまま動かない。
「待って…光舟、可愛すぎん?」
俯いたままの光舟を見る。
すると、顔をこちらへ向け、ギロっと睨む。。
「ふざけないでください。
俺の話、聞いてましたか…」
「だって、可愛いもんは可愛いんだもん」
私は笑って、光舟の頭を再び撫でた。
「…今だって、子ども扱い…してますよね」
「えー、違うよー」
私は立ち上がり、光舟の前に立つ。
「私は、いつも光舟にドキドキしてるよ。
余裕あるように見えるのだって、そうやって見せてるだけだもん。
内心ドキドキバクバクだよ。
それに、野球してる光舟がかっこいいのは、みんな知ってるけどさ、
こうやって、些細なことで拗ねちゃう可愛い光舟を知ってるのは、
彼女の私だけだと思いますけどね!」
ふふん、とドヤ顔をする。
「…俺よりも、みゆさんの方が可愛いんですよ」
え?と聞き返そうと顔を近づけると、目の前が光舟でいっぱいになる。
ちゅっというリップ音がするとすぐに顔が離れていった。
「みゆさん、可愛い。」
まじめな顔でそう伝えてくる光舟に
「こっ…ここ!学校なんです、けど…」
と、みるみる自分の顔が火照っていくのが分かる。
光舟は、満足そうに笑って
「みゆさんの可愛い顔知ってるのは、彼氏の俺だけですね」
なんて言うから、更に顔が火照った気がした。
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