倉持 洋一
いい夢見てね
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一目惚れだった。
目つきが悪くて明らかに怖そうな第一印象だから、普段の私なら絶対にありえない。
でも、私が初めて見た倉持くんは、
泥だらけになりながらボールを追いかけていて、怖いなんて微塵も思えなくて、
ただただカッコいい。それだけだった。
「いや〜、でも倉持くんって中学時代結構なヤンチャ者だったって聞いたよ?
そんな人好きになるって、危なくないかな」
中学からの友人には、反対された。
みんな、わかってないんだよ。
普段の倉持くんは、確かに、少し怖いと思う。
けど、野球してる姿は、普段の倉持くんからは想像できないようなカッコよさなんだよ!
「それでも私は、私が好きになった倉持くんを好きでいたい」
2年生で初めて同じクラスになった。
いつも野球部の御幸くんと2人でつるんでいる。
何の話してるのかな。なんて気になって視線を向けると、パチっと視線が交わった。
ビックリして目を逸らしてしまったが、恐る恐る視線を戻すと再び目が合った。
「!!!!!」
視線の先にいる倉持くんは、御幸くんから離れてこちらへ近づいてきた。
その表情は、確かに、ヤンチャ者のそれだった。
私はビックリして教室を飛び出した。
中庭まで逃げて、腰を落とす。
つ、、、疲れた。
そんなことよりも、ビックリして逃げちゃったよ、私。
「・・・・最悪だ、、、っ!!!?」
顔を空へ向けると、今まさに逃げてきた相手の顔が映り込んだ。
「意外と足速いんだな」
と言って、なぜか私の隣に腰掛ける。
「く、く、倉持くん!!!?なんでここに・・・」
さすがはチーターと呼ばれるだけのことはあるよ。
私のほうがだいぶ早く逃げ出したのに、ほぼ同時到着。
いや、それはさておき、なぜ彼がここにいる?
「ヒャハッ。逃げられたから、追いかけたくなった?」
そう言った倉持くんは一切息が切れていない。
さすがは強豪野球部の一員。
・・・じゃなくて!まず言わなきゃいけないことがあるでしょ、私!
「く、倉持くん。私・・・に、逃げてごめんなさい」
私は顔を上げ、倉持くんの方を見る。
すると何故か彼は驚いていた。
「逃げたり謝ったり、白石って不思議なやつだな」
そう言って、また独特な笑い方で笑っていた。
あ・・・名前。呼んでくれた。
というか、私の名前、知ってくれてたんだ。
「間違ってたら恥ずかしいんだけどさ」
倉持くんは立ち上がり、私の目の前に移動してきた。
そして再び腰を下ろし、
「白石って俺のこと好きなの?」
思ってもいなかった彼からの質問に、私は何も言えず、目を見開くことしかできなかった。
「いや、なんか俺に限ってそんなことねぇだろうって思ってたんだけどよ」
彼は恥ずかしそうに頭を掻きながら続けた。
「いつも練習試合とか見に来てるし、1年の時からすげぇ視線感じるなって思ってて」
・・・最悪だ。
彼に不快な思いを感じさせていたのかもしれない。
そう思うと居てもたってもいられなくて、気づくと体が勝手に土下座をしていた。
「は!?なんで土下座!!?やめろ!!」
倉持くんに体を起こされる。
私は相当ひどい表情をしていたらしく、彼は心底驚いた顔をして
「いや!!!別に嫌だったとか思ってねぇから!
俺、こんな経験ないし、普通に嬉しかったから!
だから土下座とかすんじゃねぇ!」
と、必死に私を励ましてくれていた。
「・・・ごめんなさい。一目惚れ、だったんです。
野球してる倉持くんを見かけて、そこからずっと好きでした。」
今の私は、たぶん正常な思考ではなかったと思う。
この気持ちを彼に伝えることはないと思っていたのに、
不思議と簡単に、口からこぼしていた。
「俺のこと、怖くねぇの?」
少しだけ不思議そうな顔をしていた。
「怖い、とかはよく言われっけど、好きとか、言われたことねぇし。
白石は、怖いとか思わねぇの?」
「・・・あ、あんまり思ったことない、かな。
私は、野球に一生懸命な倉持くんに惚れたから。
必死な姿がキラキラ輝いていて、かっこよかったし、
私の中の倉持くんは、怖いよりも、かっこいい、です」
そう言うと、倉持くんは嬉しそうに、だけど少しだけ照れくさそうな顔をしていた。
「ストレートすぎて、こっちが恥ずいんたけど」
そこで、ふと我に返った私は急に恥ずかしくなった。
「ごごご、ごめんなさい!!!
話したこともないのに、一目惚れとか、気持ち悪すぎる。
今の、忘れてください!」
すると、ギロリと睨まれる。
え、待って。さすがにその顔は怖すぎるよ
「・・・忘れるとか、ぜってぇヤダ」
「え」
「俺は嬉しかったから、ぜってぇ忘れねぇ!!!」
先程とは打って変わって、顔を少し赤らめながら、満面の笑みを向けられる。
あれ?私、このまま昇天するの?
何その顔。倉持くん、、、ギャップが過ぎるよ
2度目の一目惚れ。
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