神谷 カルロス 利樹
いい夢見てね
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「…また、浮気された」
何度目かの彼氏の浮気。
夕方までバイトだと言っていたので昼過ぎに彼氏の家に訪れると、玄関には女物の靴。
寝室からは、ベットの軋む音。
扉を開き現場を捉えるが、実際に彼氏が自分以外の
女の子を抱いているところを見るのは相当辛かった。
その場で怒ることも出来ず、足早に家を出た。
その途中で、コンビニ帰りであろうカルロスに偶然出会い現在に至る。
「そんな男別れればいいだろ」
鋭い目で私を見て、低い声で言い放つ。
ごもっともな意見だ。
本当に、その通り。その通り、なんだけど…
「それでも、私のこといちばん好きなんだって。
だったら浮気なんてしないでほしい」
笑っちゃうよね、と呟き俯く。
「好きなの?あいつのこと」
コンビニで買ったおにぎりの袋を開けながら私に問いかける。
「2人の時は優しいんだよね。
…それに。5年も付き合って今さら別れられないし」
中学1年のころに告白されて、付き合い始めて、
気づけばもう、5年が経っていた。
今さら彼と別れるなんて選択、私には出来ない。
「…いや、優しいとか知らねぇ。
白石が、そいつを好きかどうか、聞いてんだよ」
おにぎりを頬に頬張りながら、私を見る。
「また許すのかよ。
そしたら、また白石が傷つくだけじゃねぇの」
冷たく言い放つが、どこか優しさがあるカルロスの言葉に私はいつも安心する。
「私さ、何回も浮気されても別れられないのって
きっと別れたら、浮気してた他の女の子たちに負けたって
認めちゃう気がするからなんだと思うんだよね」
カルロスの前では、つい本音を言わされてしまう。
私が思っていたことが、さもわかっていたかのような顔をする。
「つまり白石も、好きで付き合ってるわけじゃねぇってことだろ」
食べ終えたゴミをゴミ箱に捨て、私の手をひき歩き出す。
「え!ちょ、カルロス?
なになになに、どこ行くわけ???」
「どこって決まってんだろ」
カルロスは、にやりと笑って
「別れんだよ、お前を傷つけるくそ野郎と」
自信満々な表情でそう言い放ち、私の前を歩いている。
「そんで、白石は違う男と幸せになればいいだろ。
…………例えば、俺、とかな」
こちらをちらりとも見ずにそう言いながら、どんどん歩くスピードをあげる。
「…………へっ?」
突然の爆弾発言に驚きを隠せないまま、私はカルロスのされるがままについていく。
新たな恋の予感がした。
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