刃牙その他
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激辛タンメンを食べる烈海王と愚地克巳
「克巳さん、これを見てほしい」
ある日、烈は神心会本部会館に来るなり館長室で事務仕事をさばく克巳に1枚のチラシを突きつけた。タンメンが看板メニューのラーメンチェーン店のチラシである。
パソコンに向かい眉間に皺を寄せて神心会の広報誌に載せる挨拶文を捻り出していた克巳は相好を崩す。
「ここ、結構うまいんですよねー。あ、新メニュー出たんだ。『最強ラーメン完成!』……?」
「われわれをさしおいてラーメンを完成させたとはどういうことだ」
並ならぬ剣幕に手を止めて「え、どうって言われても……」とお茶を濁すが、
「中華四千年を愚弄する言葉だ。直ちに訂正させたい」
目が本気だ。
(何かこの流れ、前にもあったような……)
デジャブに襲われながらも恐る恐る尋ねる。
「どう訂正しろ、と……?」
「中国から不完全なまま伝わった料理を不完全なまま手を加え、そうとは知らず功がなったと勘違いしている愚かで不完全な料理だと……!」
要するに日本流にアレンジされた中華料理もどきが気に入らない、ということだろうか。
確かに克巳も諸外国で現地風にアレンジされた謎の日本料理もどきを見ると複雑な気持ちにはなる。が、現地の人たちの口に合うように改良されているのだから、そこで「正しい日本料理とはッ!」と口角泡を飛ばしても無意味なことだと思うのだが……。
(と言っても聞く耳持たないんだろうなァ)
「できると思います? それ……」
「克巳さんの意見を考慮するつもりはない!」
キレられてしまった。
別にタンメンに肩入れするつもりはないが、結構気に入っている店だけに、ここまで頭ごなしに否定されては面白くない。
「どうすりゃいいのかなァ―――――」
挑発的に烈をねめつけた。
1時間後。
烈と克巳は例の『最強のラーメン』を供するラーメン店のカウンターに陣取っていた。
目の前には凶暴なまでに赤い汁を湛えた例のタンメン。麺の上には野菜やチャーシューが山のように盛られている。かなり食べごたえがありそうだ。
(しかし、肝心なのは味ッ……!)
(いざッ……!)
烈は両手を合わせると箸を手に取り、麺を掴むと勢いよく食らいついた。
(………………辛いッッッッ!)
見た目通りの辛さであるが、食を進めるにつれ、辛さだけではない味わいが口内に広がる。
(複数の香辛料を組み合わせているのだろう。単調にならず飽きさせない、絶妙な配合だ)
(そして時折感じるこの甘さ……。これがうまさと辛さを引き立てている……)
(これは一体……)
頭の中で知る限りの甘味料を列挙するが、どれも違うような気がする。
ふと、天啓が降りたように、範馬勇次郎が『上等な料理にハチミツをブチまけるがごとき云々』と言っていたことを思い出した。
(そうだッ……!)
(蜂蜜だッ……!)
その途端、全身からぶわっと汗が噴き出た。
(何という発想ッ……!)
(この国の『中華料理』は不完全な料理だとたかを括っていたが……)
(このような逸品があったとは……)
最大トーナメントで克巳がマッハ突きを放った際の驚愕を思い出す。
空手が不完全な格闘技だという考えを改める気は毛頭ないが、愚地克巳自身は紛れもない、天賦の才を持つ逸材だった……。
その逸材はというと、烈の横で汗だくになりながら
「辛っ!」
「甘っ!」
「うまっ!」
を三秒おきに繰り返しながらタンメンをばくばく食らっていた。
(克巳さん……)
(騒がしい……)
烈は心の中で嘆息し、スープまでも一滴残らず飲み干すと、敬意をこめて手を合わせた。
「克巳さん、これを見てほしい」
ある日、烈は神心会本部会館に来るなり館長室で事務仕事をさばく克巳に1枚のチラシを突きつけた。タンメンが看板メニューのラーメンチェーン店のチラシである。
パソコンに向かい眉間に皺を寄せて神心会の広報誌に載せる挨拶文を捻り出していた克巳は相好を崩す。
「ここ、結構うまいんですよねー。あ、新メニュー出たんだ。『最強ラーメン完成!』……?」
「われわれをさしおいてラーメンを完成させたとはどういうことだ」
並ならぬ剣幕に手を止めて「え、どうって言われても……」とお茶を濁すが、
「中華四千年を愚弄する言葉だ。直ちに訂正させたい」
目が本気だ。
(何かこの流れ、前にもあったような……)
デジャブに襲われながらも恐る恐る尋ねる。
「どう訂正しろ、と……?」
「中国から不完全なまま伝わった料理を不完全なまま手を加え、そうとは知らず功がなったと勘違いしている愚かで不完全な料理だと……!」
要するに日本流にアレンジされた中華料理もどきが気に入らない、ということだろうか。
確かに克巳も諸外国で現地風にアレンジされた謎の日本料理もどきを見ると複雑な気持ちにはなる。が、現地の人たちの口に合うように改良されているのだから、そこで「正しい日本料理とはッ!」と口角泡を飛ばしても無意味なことだと思うのだが……。
(と言っても聞く耳持たないんだろうなァ)
「できると思います? それ……」
「克巳さんの意見を考慮するつもりはない!」
キレられてしまった。
別にタンメンに肩入れするつもりはないが、結構気に入っている店だけに、ここまで頭ごなしに否定されては面白くない。
「どうすりゃいいのかなァ―――――」
挑発的に烈をねめつけた。
1時間後。
烈と克巳は例の『最強のラーメン』を供するラーメン店のカウンターに陣取っていた。
目の前には凶暴なまでに赤い汁を湛えた例のタンメン。麺の上には野菜やチャーシューが山のように盛られている。かなり食べごたえがありそうだ。
(しかし、肝心なのは味ッ……!)
(いざッ……!)
烈は両手を合わせると箸を手に取り、麺を掴むと勢いよく食らいついた。
(………………辛いッッッッ!)
見た目通りの辛さであるが、食を進めるにつれ、辛さだけではない味わいが口内に広がる。
(複数の香辛料を組み合わせているのだろう。単調にならず飽きさせない、絶妙な配合だ)
(そして時折感じるこの甘さ……。これがうまさと辛さを引き立てている……)
(これは一体……)
頭の中で知る限りの甘味料を列挙するが、どれも違うような気がする。
ふと、天啓が降りたように、範馬勇次郎が『上等な料理にハチミツをブチまけるがごとき云々』と言っていたことを思い出した。
(そうだッ……!)
(蜂蜜だッ……!)
その途端、全身からぶわっと汗が噴き出た。
(何という発想ッ……!)
(この国の『中華料理』は不完全な料理だとたかを括っていたが……)
(このような逸品があったとは……)
最大トーナメントで克巳がマッハ突きを放った際の驚愕を思い出す。
空手が不完全な格闘技だという考えを改める気は毛頭ないが、愚地克巳自身は紛れもない、天賦の才を持つ逸材だった……。
その逸材はというと、烈の横で汗だくになりながら
「辛っ!」
「甘っ!」
「うまっ!」
を三秒おきに繰り返しながらタンメンをばくばく食らっていた。
(克巳さん……)
(騒がしい……)
烈は心の中で嘆息し、スープまでも一滴残らず飲み干すと、敬意をこめて手を合わせた。