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いいにくのひ

いいにくのひ

「もしもし?」

『あれ。どうしたんだい?』

「お前に頼まれた物を買いに来たんだが」

『うん』

「今、肉が超安売りしているぞ」

『えっ、マジで!gいくら!?』

「いや、gではなくkgだな」

『はぁ!?』

「20kgで1両、牛、豚、鶏、全部。ただし、一本丸につき一種類20kgまでだそうだ」

『え!3種類で60kgも買えるって事だよね!?』

「ああ、そうだな。」

『買う!買うよ!!全部!!』

「分かった。そう思って既に並んでいる」

『ありがとう!!長谷部君っ!!』


後でお礼するからね!と物凄い喜び様で通話が切れた。

皆が食べる物だと言うのに、まったく無欲な奴だ。

暗くなった通信機を見つめ、ふっと笑いながら胸ポケットにしまった。


今日は短時間の遠征だけで何もやる事がなく、万屋にでも行って新しい筆記具でも見て来ようとしていた時、光忠からついでに卵を買って来て欲しいと頼まれた。

光忠は今日、本丸お料理教室(主含む)で動けないからだ。


先に卵を買おうと生鮮市場に行った所

『本日 11月29日はいい肉の日!』

と大々的にポスターが貼られており、肉が山積みになっていた。

そして、店のレジには燭台切光忠がわんさと並んでいた。
真っ黒の中にぽつぽつと違う色が混じっているが、あれは俺と同じく燭台切光忠が来れない本丸だろう。
ちなみに俺の前も後ろも燭台切光忠だ。

レジは長蛇の列の為、結構時間が掛かりそうだと思いふと思考に嵌る。

11月29日でいいにくの日な…。
現世の人間と言うのは安直な者が割合多いようだ。

確かこの間は11月11日でポッキーの日だったか。

あの日は結局仕事にならなかったし、夜は散々鳴かされたし、翌日は股関節と腰の痛みで 布団に寝ながら仕事を熟した事を良く覚えている。

ふと、前に並んだ何処かの燭台切光忠の尻に目が行った。
此奴はジャケットではなくベスト姿で、あの形と手触りのとても良い尻がスラックス越しに良く見える。

……これだな。

今夜は存分に楽しんでやろう。






「長谷部君おかえり!!」

万屋から帰り玄関を開けたら、光忠がデカい犬よろしく飛び付いてきた。
ぶんぶんと振られる尻尾が見える様だ。

「君のおかげで当分お肉には困らないよ!本当にありがとう!!」

「いや、あれは俺達だけではなく皆の食事の問題だからな」


そう言いながら光忠を引き剥がした。

肉は俺が帰って来る前に既に本丸に届けられたらしい。

さすが、生鮮市場。仕事が早い。
皆で小分けにして冷凍庫にまで入れたと聞くと、そんなに時間が経っていたかと驚く。

「あ、長谷部君。お肉のお礼なにがいい?」

ふんわりと笑って俺の顔を覗き込む。
俺はにやりと笑って叶えて貰うべくそれを言葉にした。



◆◆◆◆◆


「……ねぇ、長谷部君。なんでこれがいいの?」

光忠がとても困り顔で言う。

その顔結構好きだ。


「言っただろう。今日はいいにくの日だと」

「いや、だからってなんで…っ…」


俺は今、光忠の尻を揉んでいる。
後で乳も揉ませて貰うつもりだ。

光忠の乳と尻は筋肉とその上に乗る薄い脂肪でむっちりとしていて、ただ硬いだけではなくほんのりと柔らかく、しかも肌が肌理細かい為しっとりと指に吸い付く。

いつまででも揉んだり舐めたり齧ったりしたい。

「ねぇ、こんな事しといて今日は本当にこれだけなの?」

「うるさい。明日は出陣だから駄目だ」

「長谷部君の意地悪!」


今日は本当に良い日だな。

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