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産んじゃいました!?


うっすらと朝日が障子にかかる頃。
へし切長谷部はいつも通りに目を覚ました。

ゆっくりと二三回瞬きをし起き上がる。
寝乱れてがっつり浴衣の肩が落ちている、その肌についた薄紅の名残をみれば昨夜はお盛んでしたねと言いたい位だ。

ぐいと両腕を上げ伸ばし大きく息を吐いて腕を下ろす。
と、コツリと、何か固い物に左指が当たった。

布団の中、腰の辺り。
手探りで探すとすぐ手にぶつかり、とりあえず目で確かめてから触るべく布団をはいでみた。

なんだこの白いモノ?

普通にみれば卵だが、鶏の卵にしては少し…いや、一回り位大きい。
そして、もっと丸い。

丸くて可愛らしいと言えば言えなくもないが、鶏の卵からしてみれば不格好と言える。

で、それが何故ここにある?

長谷部はそっとその卵らしきモノを持ってみた。
大きさからしてもやはり普通の卵の二つ分程の重さ。そして一番訳が分からないのは、その卵に自分の紋が入っている事だ。

卵をそっと布団の上に置き、目を擦る。
目を開ける。ある。

…夢ではないらしい。

これはなんなのだろうか?
卵か?なんの?鳥?いやでも、俺の紋が…


…………え?まさか、俺が産んだのか…?


まてまてまて。
えっ?!俺って卵産めるの?
いや、そもそも刀剣男士って卵産めるのか!?

いや、違うそうじゃない!!

男士は「雄」であって卵子を持っている筈は無い!
では、これはなんだと?

長谷部の頭は大混乱だ。
元々寝起きでしかも昨晩はたっぷり可愛いがられて身体全てがまともに動かないと言うのに、この状況を冷静に考える余裕など今は欠片も無いのだ。

もし、卵だとするならば、何故作られたのか……身に覚えがあり過ぎて否定がまったく出来ない。

種は確実にアイツだろう。
俺は不貞はしていないからな。

で、どうやって俺は産んだんだ?
…まさか通常の様に下から…?

想像しただけで恥ずか死ぬわ!!

とにかく今は、この後朝食を持って来るであろう恋刀の燭台切にコレをみせるか見せないかだ。

多分、彼奴の事だから喜んでくれるとは思うのだが、雄である俺が卵を産んだとなれば気味悪がられはしないだろう か。

『えっ、ホントに産んだんだ…』
とか言われたら、かなりへこむ。
と言うか生きてられない。

どうしよう…

先に主に聞いてみようか。
そうすれば、一体コレが何なのか解るかもしれない。

よし、そうしよう。

寝着をちゃんと着直し羽織りを肩にかけ、卵を腹に入れて部屋を出ようと障子に手を掛けるその瞬間、すらりと戸が開いた。

何故、いつも、まるで見計らったかの様なタイミングでコイツは俺の前に現れるのか…!

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