お礼画面

♕キャット騎士のお仕事♘ 第3話


「メガネ!メガネがない!どこにあるの?
あるじゃないかお前の頭の上!出来たぞ冴えないメガネの歌~~♪」

殴り書きの音符が頭の上から降り注ぐ 。放課後の夕焼けみたいな毛並みの猫。イズミさん以外の喋る猫初めて見た。あの猫も人間に変身したりするのかな…。いや、でもイズミさんに自分のことは他の奴には絶対秘密だって言われてるし(猫はどうだか分からないけど)ここは気付かない振りをして通り過ぎよう。

コンっ。

いっっ!?頭に何かぶつかっ

「しまったペンを落とした!これじゃあ作曲が出来ない~~!お、いいところに!そこの人間!悪いがそれを拾ってくれ」

忘れていたけど僕はこういった面倒ごとによく巻き込まれるんだった。




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「ふんふん。それでお前の猫は家出したっきり違う奴のところから帰って来ないと。愛想つかされたんだな!まぁ、俺の煮干しやるから元気だせ!」
「あ、いらないです。」

遠慮するなと三日月みたいな瞳で笑う猫が煮干しを僕の手に乗せる。うぅ…苦手な魚みるだけで蕁麻疹がでそうなのに。しかも齧りかけ。僕なんでベンチの上で猫に人生相談みたいなことしてるんだろう。こんなところ誰かに見られでもしたら、たぶん僕のほうが家出する。

「お前はその猫に戻って来て欲しいのか?」
「分かりません。そもそもちゃんと飼ってた訳じゃないし……例え僕が帰って来て欲しいと思っても選ぶのは自由だと思うので。それに、僕には猫の気持ちは分からないから……」
「ふぅ~ん」

葉っぱみたいなくりくりの目が僕のこころを覗き込もうとする。猫相手に変だけどこの光る目はちょっとだけ苦手かもしれない。それじゃあ僕はそろそろ。煮干しを返してベンチから立ち去ろうとしたその時。

「簡単なことだ!猫の気持ちが分からないなら猫になればいい!ペンを拾ってくれたお礼にお前の願いを叶えてやる。俺は王様だからな!」
「えっ?」

王様って、もしかして君はイズミさんの探していた猫なんじゃ。そう聞こうと口を開いた瞬間、僕は目映い光に包まれ……

ボワん。

へっ?あ、あれ…?なんか視界が違うような…

「じゃあ俺はもう行くな!さらば悩めるメガネの人間よ!あ、いや今は猫か。わははははっ!!」

「にゃ!?にゃぁああ!?にゃぁん!!(あっ!?ちょっと待って!?行かないで!!)」


「に…に…」

(ど…どうしよう…)


「にゃああああああああ!!!」

猫にされちゃったよぉ!!!

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