Secret poem
授業中に書いた詩。
みんなにバレないように机の奥にしまいこんだ。
その日の放課後、私は気付いた。
「あれ……ない?」
詩が書かれたルーズリーフがないことに。
―――――――――――――
「うそ……なんで?」
教科書に挟まったのかな?と思い、一冊ずつ確認したけど見当たらず。
鞄の中を確認してもそれらしいものは見つからなかった。
ちょっと気が引けたけど教室のゴミ箱も軽く覗いてみたがやっぱり入ってなかった。
「やっぱり無くしちゃったんだ…どうしよう」
あんなもの、誰かに見られてたらと思うと恥ずかしくて。
二度と学校に来れないかもしれない。
「うぅ……早く見つけないと……」
とは言ったものの。
どこにあるかなんてまるで見当もついてない。
ましてやここは学校。
下手に探し回ってたら絶対誰かに怪しまれてしまう。
「名前が書いてあるわけじゃないし、そのままでも大丈夫……かなぁ?」
正直、こんな広い学校で探すのは考えただけで疲れてしまう。
というかもう疲れているかもしれない。
「誰かに見つかっても……うん、ごまかせる。はず」
うんうん、と一人勝手に納得した後、
私は鞄を持って教室を出た。
―――――――――――――
玄関と屋上に続く階段から歌が聞こえてきた。
「人がいるなんて珍しいなぁ」
きっと合唱の練習で誰かが使っているんだろうな。
そう思い、階段を降りようとしたその時。
「この歌詞……もしかしてっ!!」
急いで階段を駆け上り屋上に入るドアを勢いよく開けた。
ドアを開けて目に入ったのは。
「…サユリ?」
ギターを持って座ってるナカジ君だった。
「ナカジ君!」
「そんな大きな声出さなくても、聞こえてるよ」
「ご、ごめん……じゃなくて!今歌ってるの何!?」
彼はしばらく不思議そうにこっちを見ていたが、
質問の意図に気づいたのか一枚の紙をヒラヒラと振った。
私はすぐに彼の傍に駆け寄りその紙を見た。
……どこからどう見てもその紙は私の詩が書かれたルーズリーフだった。
「……これ、どうしたの」
「さっき教室で見つけた」
「か、返して!!!」
私はとっさに彼の手から紙を取り上げようとした。
が、簡単によけられてしまった。
「返して?じゃあこれ、お前の?」
「あっ…!」
彼にそう言われて気づいた。
あのまま黙っておけばバレなかったのに。
恥ずかしくなって徐々にうつむいていく私を見た彼は。
「ふーん」と一言興味なさそうに呟き、
ルーズリーフをポケットにしまいこんでしまった。
どうやら紙を返す気はないらしい。
「か、返してってばナカジ君!」
「嫌だ」
「なんで!」
「歌、まだ完成してないから」
「でも!!」
「サユリの詩、結構好き」
「……え?」
「だから、返せない」
「え、いや、でも……」
「お前が嫌なら、誰にも聞かせない」
「……ほ、本当?」
「うん」
「じゃあ……わかった。ナカジ君が持ってて」
「そう」
私に了承を得たのとほぼ同時に、ポケットにしまいこんだルーズリーフを取りだした彼は、
そのままギターとルーズリーフの方へと顔を向けてしまった。
「……私、今日はもう帰るから」
このままここに居ても恥ずかしい。
そう思い私は帰ることにした。
彼からは何も返事はなかったが代わりに手をひらひらと私の方に向けて振っていた。
「じゃあねナカジ君、また明日!」
私は屋上から聞こえる音を背に階段を下りた。
みんなにバレないように机の奥にしまいこんだ。
その日の放課後、私は気付いた。
「あれ……ない?」
詩が書かれたルーズリーフがないことに。
―――――――――――――
「うそ……なんで?」
教科書に挟まったのかな?と思い、一冊ずつ確認したけど見当たらず。
鞄の中を確認してもそれらしいものは見つからなかった。
ちょっと気が引けたけど教室のゴミ箱も軽く覗いてみたがやっぱり入ってなかった。
「やっぱり無くしちゃったんだ…どうしよう」
あんなもの、誰かに見られてたらと思うと恥ずかしくて。
二度と学校に来れないかもしれない。
「うぅ……早く見つけないと……」
とは言ったものの。
どこにあるかなんてまるで見当もついてない。
ましてやここは学校。
下手に探し回ってたら絶対誰かに怪しまれてしまう。
「名前が書いてあるわけじゃないし、そのままでも大丈夫……かなぁ?」
正直、こんな広い学校で探すのは考えただけで疲れてしまう。
というかもう疲れているかもしれない。
「誰かに見つかっても……うん、ごまかせる。はず」
うんうん、と一人勝手に納得した後、
私は鞄を持って教室を出た。
―――――――――――――
玄関と屋上に続く階段から歌が聞こえてきた。
「人がいるなんて珍しいなぁ」
きっと合唱の練習で誰かが使っているんだろうな。
そう思い、階段を降りようとしたその時。
「この歌詞……もしかしてっ!!」
急いで階段を駆け上り屋上に入るドアを勢いよく開けた。
ドアを開けて目に入ったのは。
「…サユリ?」
ギターを持って座ってるナカジ君だった。
「ナカジ君!」
「そんな大きな声出さなくても、聞こえてるよ」
「ご、ごめん……じゃなくて!今歌ってるの何!?」
彼はしばらく不思議そうにこっちを見ていたが、
質問の意図に気づいたのか一枚の紙をヒラヒラと振った。
私はすぐに彼の傍に駆け寄りその紙を見た。
……どこからどう見てもその紙は私の詩が書かれたルーズリーフだった。
「……これ、どうしたの」
「さっき教室で見つけた」
「か、返して!!!」
私はとっさに彼の手から紙を取り上げようとした。
が、簡単によけられてしまった。
「返して?じゃあこれ、お前の?」
「あっ…!」
彼にそう言われて気づいた。
あのまま黙っておけばバレなかったのに。
恥ずかしくなって徐々にうつむいていく私を見た彼は。
「ふーん」と一言興味なさそうに呟き、
ルーズリーフをポケットにしまいこんでしまった。
どうやら紙を返す気はないらしい。
「か、返してってばナカジ君!」
「嫌だ」
「なんで!」
「歌、まだ完成してないから」
「でも!!」
「サユリの詩、結構好き」
「……え?」
「だから、返せない」
「え、いや、でも……」
「お前が嫌なら、誰にも聞かせない」
「……ほ、本当?」
「うん」
「じゃあ……わかった。ナカジ君が持ってて」
「そう」
私に了承を得たのとほぼ同時に、ポケットにしまいこんだルーズリーフを取りだした彼は、
そのままギターとルーズリーフの方へと顔を向けてしまった。
「……私、今日はもう帰るから」
このままここに居ても恥ずかしい。
そう思い私は帰ることにした。
彼からは何も返事はなかったが代わりに手をひらひらと私の方に向けて振っていた。
「じゃあねナカジ君、また明日!」
私は屋上から聞こえる音を背に階段を下りた。
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