書く習慣アプリ 2024/7/23~8/31
・夜の海
白い紙に気の済むまで思いの丈をぶちまける。
感情を吐き出された紙は酷く汚れていく。
汚し終え、一息つく。
少し冷静になり、目の前にある汚しきった紙を見直すと、つい先程まで自身が抱えてた感情の気持ち悪さに気づいてしまう。
「こんな物、見せるわけにいかない」
あまりのおぞましさにソレをぐちゃぐちゃに丸めてゴミ箱に捨てる。
しかしその行為に反するように己の内に燻る感情がまた強くなっていく。
見て見ぬふりをしても頭の中がその感情で支配される。
抑えたくて、苦しくて、でも伝えたくて、そうして結局、性懲りもなくペンにインクを補充する。
「……今度こそ」
次こそは見せられるほど綺麗な形にしてみせる、そう意気込んで私は紙に黒い海を作り直した。
・誇らしさ
満員電車に揉まれる朝。
給料増えずに仕事だけが増える会社。
部屋に無造作に転がってる好きだったモノ。
やる気と時間が一向に出てこない趣味。
連絡が一切こないスマホ。
動画を流して惰性で過ごすだけの休日。
なんの意味もない物に囲まれなんの意味もない毎日を繰り返すだけの日々。
こんな人生を変えたくて、なんとなく線路に飛び降りたのが私の人生唯一の誇りだったのかもしれない。
・いつまでも捨てられないもの
昔買ってた雑誌。中身のない香水瓶。壊れた掃除機。もう使わないネイル……。
ああ恐ろしい、挙げだしたらキリが無い。
まぁでも仕方ないよね。
ズボラな自分を捨てられない限りずっとこんな感じなんでしょう。
・鏡
今付き合ってる人は鏡と言っても過言では無いくらい自分自身と似ているらしい。
でも私、彼と違ってスマホなんて弄らないし、先約より趣味優先しないし、他に異性なんて作ってないのにね。
一体誰がそんな適当なこと言ったんだろう。
クズが己を正当化したいがために広めた嘘としか思えないや。
・さよならを言う前に
…………もしもし?今ひま?
あのさ、お前が前に勧めてくれた漫画……アレめっちゃ良かったわ。
正直好みのジャンルじゃ無いから読むのに抵抗あったけど想像以上に面白かった。
てかなんなら最新話まで読んだし、その流れで同じ世界線で描かれてる別作品も読んだ。
……え?いやいや、嘘じゃないって。じゃなきゃわざわざ電子書籍版買わないって。
うん、俺にしては珍しくハマったわ。
…………は?単行本版限定の話あんの??
お前それ先に言えって!もう1回買うしか……あ、てかお前単行本派だったよな。持ってんだろ?俺に貸してくれよ。な、いいだろ?家まで取りに行くからさ。
うん、うん……よっしゃ、ならそのままサイゼ行こうぜ!お礼に奢る。なんならデザートも許可する。
……なんだよ、気にすんなって!俺がそうしたいだけだからさ。
……了解、じゃあとりま今からそっち行くわ!チャリで行くから10分後に着くと思う。
だからその前に死ぬんじゃねぇぞー(笑)
じゃあまた後でな!
・鳥のように
僕って、自分で言うのもなんだけど結構整ってる方だよね?
しかも僕が普段着ている服装も、君好みのファッションと雰囲気が似てるし。
だから僕らが一緒に並んで歩いても違和感はないと思うんだ。
それに歌にも自信があるよ。
僕の歌声は聴いたことあるよね?
僕は歌うことが好きだから、きっと君の趣味のカラオケも2人ならもっと楽しめるはずさ。
喋る事が得意なのはもう言わなくてもわかるよね。
どんな時も君を笑わせたり慰めることが出来ると思ってる。
少なくとも、他の奴等なんかと違って君を不快にさせないよ。
僕は僕たちのことを世界一お似合いの2人だと信じてるんだ。
だからいい加減、僕が運命の人だって認めるべきじゃないかな。
いくら快適に過ごせるとはいえ、同じ場所に居続けるのは流石に飽きるだろう?
僕だって君と外でもデートしたいからね。
いい返事が聞けること、期待して待ってるよ。
(二次創作 刀剣乱舞)(アプリ内削除済み)
・裏返し
最近の悩み。
"シャツ、反対ですよ"
たったこれだけの言葉が言えなくてモヤモヤしちゃったし、いざ勇気を出して声をかけようと思った時に丁度本人が気づいたみたいだしで、意気地無い自分にもっとモヤモヤした。
第三者のささやかなミスを本人に直接伝えるのってどうしてこうも難しいのだろう。
・海へ
「海に還りたい」
最期にそう言い残してこの世を去った祖父。
当時中学生の俺は"人間は土に還るんだよな?"とお通夜の時に眠っている祖父を見ながらぼんやりと考えていた。
その後、祖父の骨は彼の地元の海に撒くことに決まった。どうやら遺言書にもそう書かれていたそうだ。
親族と海へ行く道中、俺は父にお通夜の時に考えていたことをそのまま話した。
父はしばらく黙っていたが「親父は海で良いんだよ」とだけ喋ってそれきりだった。
機嫌を損ねてしまったのか、と少し不安になっていた時、その会話を横で聞いていた叔母が代わりに答えてくれた。
「おとう……あぁ、おじいちゃんはね、若い頃漁師だったのよ。その家族もね」
「……そういえば聞いた事あるかも」
「だから海に還るって言ったのよ」
「なんで?」
「生涯で1番食べていたのは海の魚だから。お返ししたかったのかもしれないね」
「ふーん」
その後、俺たちは祖父の遺骨が海に撒かれるのを見届けた。
祖父だったものが海へと還っていくのを見届けている最中、父が静かに「俺は土に還るよ」と呟いたのは大人になった今でも覚えている。
あの日から数十年。父は土に還った。
晩年の父はしきりに「俺は陸で生きた。だから土に還る」と話していた。
父の葬儀で久々に出会った叔母も同じことを俺に話していたのを覚えている。
どうやら父方の親族はみなどこで長く生きたか、何で生かされてたのか、それによって還る場所を決めているそうだ。
俺ももういい歳だ。出来ることなら今のうちに祖父や父のように還る場所を決めておきたいが、未だにどこもしっくり来ないままでいる。
「……いっそイタリアの土にするかぁ?」
晩酌に選んだワインを飲みながら、俺は1人何処に還るべきなのか、何にお返しすべきかを、2人の葬儀を思い出しつつじっくり考えていた。
・やるせない気持ち
通販サイトから荷物が届いた。中身は定期購入している猫の餌だった。
「すっかり忘れてたな……」
ダンボールから餌を取り出し、私はそれを彼女の前へと運ぶ。
出会った頃よりすっかり小柄になった彼女は、大好物の餌を前にしても鳴き声の1つさえあげてくれなかった。
「……あと数年はこの餌を買うつもりだったんだよ」
ザラザラした身体を撫でながら文句を言ってみる。それでも彼女は返事なんてしてくれなかった。
「これ……どうしようかな」
49日を過ぎた今、餌をあげる相手が居ない私は未開封の餌と小さな骨壷をボーッと眺めていた。
・向かい合わせ
日記。
外に出るとしばしば散歩中の犬と目が合う。
どの犬も私の目を離さずじっと見つめながら歩いてくる。私も犬に飢えてるので出来る限り見つめてしまう。
しかし飼い主だけはこちらを見ずに歩き続けている。
そしてそのまま互いがやり取りすることも無くすれ違う。
犬と私だけが対等に向き合っていることを、あちらの飼い主さんは気づいているのだろうか。
・私の日記帳
(空白のページが続いている)
・雨に佇む
今日は傘をさせなかった。
服が濡れる気持ち悪さ。
身体が冷えてくる感覚。
通行人からの視線。
そんな事よりも、私はただ泣いていたことがバレてしまうのが何よりの苦痛でどうしようもなかった。
だから今日は傘をさせない。少なくとも、誰もいない家に帰るまでは。
・突然の君の訪問。
玄関の前で君は甘えた声で私を呼ぶ。
いま手が離せないのに、なんて言っても無駄だからすぐにドアを開けると我が物顔で部屋に入ってくる。
餌ほしさにじゃれてくる君に、ご主人じゃないのになぁって伝えても知らんぷり。こういう所ももう慣れちゃったな。
追い出した所で意味が無いから結局今日も餌を与えて甘やかす。
あーあ。
君がただの可愛い野良猫だったら良かったのに。
・言葉はいらない、ただ……
アンタが娘を愛してることはもう十分に分かったから、とりあえず今は仕事に集中してて。
娘の面倒はとうの昔から慣れっこなの。忙しいのもいつもの事。だから私の事は気にしないで。
それとそのぬいぐるみは娘じゃなくてお義母さんにあげて。きっと喜んでくれるでしょう。
遠慮?まさか。娘はもうおままごとなんてしてないのよ。今いくつだと思ってたの?
父親としての責任を果たしたい?なら適当な言葉や娘へのプレゼントより、払うべきものがあるでしょう。
それが分からないなら私たちのことはもう二度と考えないで。
いっそ無かったことにしてくれた方がまだマシだったから。
・香水
私、恋人の前では1番お気に入りの香水はつけたくないの。
大好きな香りを、いつ嫌な思い出に変わるか分からない人にあわせたくないの。
もちろん死ぬまで貴方の一番でいたいし、貴方の一番が私であって欲しい。
でも私の一番は嫌でも私。貴方だってそうでしょう?
だからこの香水は貴方の前では一生纏ってあげない。
せいぜい五番目くらいで我慢してね。
・不完全な僕
コイツは言葉が上手く喋れない。それどころか私が何を言ってるかも分かってない。
身体の作りも違うせいで歩き方も変だった。
オマケに皆が当たり前に出来ることが何一つできない。
しかしコイツは主である私への忠誠心が誰よりも大きかった。
「ご飯だよー」
毎日律儀に献上品を差し出す僕(しもべ)は今日も変な言葉を言っている。
全く。たまには私と同じ言葉を喋ってほしいものだ。
「今日もうにゃうにゃ言いながら食べてるなぁ。そんなに美味しいのかな、これ」
白い紙に気の済むまで思いの丈をぶちまける。
感情を吐き出された紙は酷く汚れていく。
汚し終え、一息つく。
少し冷静になり、目の前にある汚しきった紙を見直すと、つい先程まで自身が抱えてた感情の気持ち悪さに気づいてしまう。
「こんな物、見せるわけにいかない」
あまりのおぞましさにソレをぐちゃぐちゃに丸めてゴミ箱に捨てる。
しかしその行為に反するように己の内に燻る感情がまた強くなっていく。
見て見ぬふりをしても頭の中がその感情で支配される。
抑えたくて、苦しくて、でも伝えたくて、そうして結局、性懲りもなくペンにインクを補充する。
「……今度こそ」
次こそは見せられるほど綺麗な形にしてみせる、そう意気込んで私は紙に黒い海を作り直した。
・誇らしさ
満員電車に揉まれる朝。
給料増えずに仕事だけが増える会社。
部屋に無造作に転がってる好きだったモノ。
やる気と時間が一向に出てこない趣味。
連絡が一切こないスマホ。
動画を流して惰性で過ごすだけの休日。
なんの意味もない物に囲まれなんの意味もない毎日を繰り返すだけの日々。
こんな人生を変えたくて、なんとなく線路に飛び降りたのが私の人生唯一の誇りだったのかもしれない。
・いつまでも捨てられないもの
昔買ってた雑誌。中身のない香水瓶。壊れた掃除機。もう使わないネイル……。
ああ恐ろしい、挙げだしたらキリが無い。
まぁでも仕方ないよね。
ズボラな自分を捨てられない限りずっとこんな感じなんでしょう。
・鏡
今付き合ってる人は鏡と言っても過言では無いくらい自分自身と似ているらしい。
でも私、彼と違ってスマホなんて弄らないし、先約より趣味優先しないし、他に異性なんて作ってないのにね。
一体誰がそんな適当なこと言ったんだろう。
クズが己を正当化したいがために広めた嘘としか思えないや。
・さよならを言う前に
…………もしもし?今ひま?
あのさ、お前が前に勧めてくれた漫画……アレめっちゃ良かったわ。
正直好みのジャンルじゃ無いから読むのに抵抗あったけど想像以上に面白かった。
てかなんなら最新話まで読んだし、その流れで同じ世界線で描かれてる別作品も読んだ。
……え?いやいや、嘘じゃないって。じゃなきゃわざわざ電子書籍版買わないって。
うん、俺にしては珍しくハマったわ。
…………は?単行本版限定の話あんの??
お前それ先に言えって!もう1回買うしか……あ、てかお前単行本派だったよな。持ってんだろ?俺に貸してくれよ。な、いいだろ?家まで取りに行くからさ。
うん、うん……よっしゃ、ならそのままサイゼ行こうぜ!お礼に奢る。なんならデザートも許可する。
……なんだよ、気にすんなって!俺がそうしたいだけだからさ。
……了解、じゃあとりま今からそっち行くわ!チャリで行くから10分後に着くと思う。
だからその前に死ぬんじゃねぇぞー(笑)
じゃあまた後でな!
・鳥のように
僕って、自分で言うのもなんだけど結構整ってる方だよね?
しかも僕が普段着ている服装も、君好みのファッションと雰囲気が似てるし。
だから僕らが一緒に並んで歩いても違和感はないと思うんだ。
それに歌にも自信があるよ。
僕の歌声は聴いたことあるよね?
僕は歌うことが好きだから、きっと君の趣味のカラオケも2人ならもっと楽しめるはずさ。
喋る事が得意なのはもう言わなくてもわかるよね。
どんな時も君を笑わせたり慰めることが出来ると思ってる。
少なくとも、他の奴等なんかと違って君を不快にさせないよ。
僕は僕たちのことを世界一お似合いの2人だと信じてるんだ。
だからいい加減、僕が運命の人だって認めるべきじゃないかな。
いくら快適に過ごせるとはいえ、同じ場所に居続けるのは流石に飽きるだろう?
僕だって君と外でもデートしたいからね。
いい返事が聞けること、期待して待ってるよ。
(二次創作 刀剣乱舞)(アプリ内削除済み)
・裏返し
最近の悩み。
"シャツ、反対ですよ"
たったこれだけの言葉が言えなくてモヤモヤしちゃったし、いざ勇気を出して声をかけようと思った時に丁度本人が気づいたみたいだしで、意気地無い自分にもっとモヤモヤした。
第三者のささやかなミスを本人に直接伝えるのってどうしてこうも難しいのだろう。
・海へ
「海に還りたい」
最期にそう言い残してこの世を去った祖父。
当時中学生の俺は"人間は土に還るんだよな?"とお通夜の時に眠っている祖父を見ながらぼんやりと考えていた。
その後、祖父の骨は彼の地元の海に撒くことに決まった。どうやら遺言書にもそう書かれていたそうだ。
親族と海へ行く道中、俺は父にお通夜の時に考えていたことをそのまま話した。
父はしばらく黙っていたが「親父は海で良いんだよ」とだけ喋ってそれきりだった。
機嫌を損ねてしまったのか、と少し不安になっていた時、その会話を横で聞いていた叔母が代わりに答えてくれた。
「おとう……あぁ、おじいちゃんはね、若い頃漁師だったのよ。その家族もね」
「……そういえば聞いた事あるかも」
「だから海に還るって言ったのよ」
「なんで?」
「生涯で1番食べていたのは海の魚だから。お返ししたかったのかもしれないね」
「ふーん」
その後、俺たちは祖父の遺骨が海に撒かれるのを見届けた。
祖父だったものが海へと還っていくのを見届けている最中、父が静かに「俺は土に還るよ」と呟いたのは大人になった今でも覚えている。
あの日から数十年。父は土に還った。
晩年の父はしきりに「俺は陸で生きた。だから土に還る」と話していた。
父の葬儀で久々に出会った叔母も同じことを俺に話していたのを覚えている。
どうやら父方の親族はみなどこで長く生きたか、何で生かされてたのか、それによって還る場所を決めているそうだ。
俺ももういい歳だ。出来ることなら今のうちに祖父や父のように還る場所を決めておきたいが、未だにどこもしっくり来ないままでいる。
「……いっそイタリアの土にするかぁ?」
晩酌に選んだワインを飲みながら、俺は1人何処に還るべきなのか、何にお返しすべきかを、2人の葬儀を思い出しつつじっくり考えていた。
・やるせない気持ち
通販サイトから荷物が届いた。中身は定期購入している猫の餌だった。
「すっかり忘れてたな……」
ダンボールから餌を取り出し、私はそれを彼女の前へと運ぶ。
出会った頃よりすっかり小柄になった彼女は、大好物の餌を前にしても鳴き声の1つさえあげてくれなかった。
「……あと数年はこの餌を買うつもりだったんだよ」
ザラザラした身体を撫でながら文句を言ってみる。それでも彼女は返事なんてしてくれなかった。
「これ……どうしようかな」
49日を過ぎた今、餌をあげる相手が居ない私は未開封の餌と小さな骨壷をボーッと眺めていた。
・向かい合わせ
日記。
外に出るとしばしば散歩中の犬と目が合う。
どの犬も私の目を離さずじっと見つめながら歩いてくる。私も犬に飢えてるので出来る限り見つめてしまう。
しかし飼い主だけはこちらを見ずに歩き続けている。
そしてそのまま互いがやり取りすることも無くすれ違う。
犬と私だけが対等に向き合っていることを、あちらの飼い主さんは気づいているのだろうか。
・私の日記帳
(空白のページが続いている)
・雨に佇む
今日は傘をさせなかった。
服が濡れる気持ち悪さ。
身体が冷えてくる感覚。
通行人からの視線。
そんな事よりも、私はただ泣いていたことがバレてしまうのが何よりの苦痛でどうしようもなかった。
だから今日は傘をさせない。少なくとも、誰もいない家に帰るまでは。
・突然の君の訪問。
玄関の前で君は甘えた声で私を呼ぶ。
いま手が離せないのに、なんて言っても無駄だからすぐにドアを開けると我が物顔で部屋に入ってくる。
餌ほしさにじゃれてくる君に、ご主人じゃないのになぁって伝えても知らんぷり。こういう所ももう慣れちゃったな。
追い出した所で意味が無いから結局今日も餌を与えて甘やかす。
あーあ。
君がただの可愛い野良猫だったら良かったのに。
・言葉はいらない、ただ……
アンタが娘を愛してることはもう十分に分かったから、とりあえず今は仕事に集中してて。
娘の面倒はとうの昔から慣れっこなの。忙しいのもいつもの事。だから私の事は気にしないで。
それとそのぬいぐるみは娘じゃなくてお義母さんにあげて。きっと喜んでくれるでしょう。
遠慮?まさか。娘はもうおままごとなんてしてないのよ。今いくつだと思ってたの?
父親としての責任を果たしたい?なら適当な言葉や娘へのプレゼントより、払うべきものがあるでしょう。
それが分からないなら私たちのことはもう二度と考えないで。
いっそ無かったことにしてくれた方がまだマシだったから。
・香水
私、恋人の前では1番お気に入りの香水はつけたくないの。
大好きな香りを、いつ嫌な思い出に変わるか分からない人にあわせたくないの。
もちろん死ぬまで貴方の一番でいたいし、貴方の一番が私であって欲しい。
でも私の一番は嫌でも私。貴方だってそうでしょう?
だからこの香水は貴方の前では一生纏ってあげない。
せいぜい五番目くらいで我慢してね。
・不完全な僕
コイツは言葉が上手く喋れない。それどころか私が何を言ってるかも分かってない。
身体の作りも違うせいで歩き方も変だった。
オマケに皆が当たり前に出来ることが何一つできない。
しかしコイツは主である私への忠誠心が誰よりも大きかった。
「ご飯だよー」
毎日律儀に献上品を差し出す僕(しもべ)は今日も変な言葉を言っている。
全く。たまには私と同じ言葉を喋ってほしいものだ。
「今日もうにゃうにゃ言いながら食べてるなぁ。そんなに美味しいのかな、これ」