ほろ苦い甘さ
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屯所内のとある一室。真選組の末端である私が上司たちに頼まれて目撃者の証言を紙にまとめていた時の事だった。
「おつかれ」
「ぴゃっ!?」
いつの間にか私の背後には彼――――山崎退が小さくて華やかな箱を持って立っていた。
「はぁ〜……もう、驚かさないでよ」
「ごめんごめん。それより進捗はどう?」
「進捗ダメです」
「あはは、その量じゃ流石にねぇ」
「……で、それなに?」
彼の持っている箱に指を指すと彼は見せびらかすように蓋を開けた。
「チョコレート。買ってきたんだ」
「買ってきた?なんで?」
「どっかの誰かさんに差し入れする為にね」
私に?と自身に指を指すと彼は大きく頷いた。その箱を受け取ろうと手を伸ばすと、サッと上に持ち上げられてしまった。
意味が分からずしばらく彼の顔を見つめていると、私の目の前でチョコを開封し始めた。
「あれ……差し入れじゃ……?」
「うん。……はい、あーん」
「は、ちょ、んぐっ!?」
半ば無理やりチョコを口に入れられてしまった私は、動揺しつつもそのままゆっくりとチョコを溶かすように食べることにした。口の中でチョコを転がしつつしばらくその甘さに浸っていると、やけにニヤついた彼と目が合った。
「チョコ美味しかった?」
「うん、美味しかった。ありがとね~」
「ふふ。ねぇ、もっと食べたい?」
まぁ、頂けるなら。そのつもりでもう一度頷くと彼は自身の人差し指を見せつけてきた。しばらくその行為の意図が分からなかったが、彼の指に小さくついた溶けたチョコを見て全てを察した私は急いで拒否の意を示すために首を横に振る。しかし彼はそれを笑って流すだけだった。
慌てて距離を取ろうとするとすかさず片方の腕が私の肩を捕まえ、そのままチョコのついた指を私の口に押し当ててきた。
「むぅっ!?」
「開けて」
つい先ほどまでの穏やかな雰囲気とは違った、少し低めの声が響く。
その声色を聞き、ゆっくりと口を開けることにした。
……もしこのまま拒否し続けているともっと酷い目に合うのはわかっていたからだ。
「ん。いい子」
じわじわと彼の指が口内に侵入してくる。ほんのりと甘い指が優しく舌先を撫でさする。
「美味しい?」
彼の質問に対して私はすかさず首を横に振る。いつまでもこんな状態を続けたくないからだ。しかし彼はそんなことなどお構いなしに指を奥へと押し込む。
「んぇ……」
「ほら、ちゃんと舐めて」
「……っ」
人が喋れないのをいいことに今度は舌全体を人差し指で撫で始めてきた。もうすでに彼の指にチョコが残ってない事に気づいてる私は、拒否するように舌を動かして人差指を避けようとしていた。
「……舐めて、って言ったよね?」
私の肩を掴む手の力が先ほどよりも強くなる。これ以上彼の要求を受け入れないように先ほどと同じようにもう一度首を横に振ったその瞬間、私の肩を掴む手が首に移動するとそのまま力が込められはじめる。息苦しさに反応して思わず声を漏らすと、その声を逃さないよう今度は舌を指で押さえつけられる。
「ぁ……っ!?」
「苦しい?」
「あ、がっ……!!」
「うんうん。苦しいよねぇ」
どうにかして両手で彼の手をどかそうとするも恐ろしいほどびくともしない。それどころかますます私の首は絞められていく。徐々に息苦しくなる呼吸。もがく手の力も失われていく。
――――――このままでは殺される。
そんな事が頭をよぎると首を絞めてくる手が少しだけ力を緩めた。
「う……ぁ……?」
喉から漏れた声に反応するかのように彼が目を細める。
「可愛い……」
状況に似つかわしくない言葉をつぶやいた彼は私の呼吸が落ち着くのを確認すると再度私の舌をなぞりはじめる。ゆっくりと、愛でるように、脅すように。
狂気を孕んだ目が私を見つめ直す。その視線を直視してしまった私は抵抗と拒絶をすっかりと諦め、その意思を表すかのようにそっと指を舐め始めた。
「あは、いい子だねぇ。最初からそうしてくれれば良かったのに」
つい先ほどまで首を絞めてきた手が優しく頭を撫でてくる。
「いい子いい子」
その感触に心地よさと恐怖の相反する感情を抱いてしまった私は、ソレを見て見ぬふりをするかのように彼の気のすむまで指を舐め続けてあげることにした。
しばらくして、指が私の口から離れた。きっと満足してくれたのだろう。そう判断して安堵した私は再度仕事にとりかかろうとする。
……はずだった。
「まだおかわりあるから」
彼の指がまた、1粒のチョコを掴む。
「えっ」
「残り4個ね」
「そ、それは山崎が食べなよ……」
「えー?俺の気遣いを無駄にするのー?」
ふたたび彼の鋭い視線が私を捕らえる。ちら、と彼の持つチョコを見てみるとほんのり溶けている事に気づいてしまう。
再度彼の方へと視線を向ける頃には既にチョコが私の口元まで来ており、もう嫌でも口を開けて受け入れるしかなくなってしまった。
有無を言わさぬ笑顔を浮かべた彼はそのまま何も言わずに、己の気の済むまで私の口内を指で撫で続けていた。
「おつかれ」
「ぴゃっ!?」
いつの間にか私の背後には彼――――山崎退が小さくて華やかな箱を持って立っていた。
「はぁ〜……もう、驚かさないでよ」
「ごめんごめん。それより進捗はどう?」
「進捗ダメです」
「あはは、その量じゃ流石にねぇ」
「……で、それなに?」
彼の持っている箱に指を指すと彼は見せびらかすように蓋を開けた。
「チョコレート。買ってきたんだ」
「買ってきた?なんで?」
「どっかの誰かさんに差し入れする為にね」
私に?と自身に指を指すと彼は大きく頷いた。その箱を受け取ろうと手を伸ばすと、サッと上に持ち上げられてしまった。
意味が分からずしばらく彼の顔を見つめていると、私の目の前でチョコを開封し始めた。
「あれ……差し入れじゃ……?」
「うん。……はい、あーん」
「は、ちょ、んぐっ!?」
半ば無理やりチョコを口に入れられてしまった私は、動揺しつつもそのままゆっくりとチョコを溶かすように食べることにした。口の中でチョコを転がしつつしばらくその甘さに浸っていると、やけにニヤついた彼と目が合った。
「チョコ美味しかった?」
「うん、美味しかった。ありがとね~」
「ふふ。ねぇ、もっと食べたい?」
まぁ、頂けるなら。そのつもりでもう一度頷くと彼は自身の人差し指を見せつけてきた。しばらくその行為の意図が分からなかったが、彼の指に小さくついた溶けたチョコを見て全てを察した私は急いで拒否の意を示すために首を横に振る。しかし彼はそれを笑って流すだけだった。
慌てて距離を取ろうとするとすかさず片方の腕が私の肩を捕まえ、そのままチョコのついた指を私の口に押し当ててきた。
「むぅっ!?」
「開けて」
つい先ほどまでの穏やかな雰囲気とは違った、少し低めの声が響く。
その声色を聞き、ゆっくりと口を開けることにした。
……もしこのまま拒否し続けているともっと酷い目に合うのはわかっていたからだ。
「ん。いい子」
じわじわと彼の指が口内に侵入してくる。ほんのりと甘い指が優しく舌先を撫でさする。
「美味しい?」
彼の質問に対して私はすかさず首を横に振る。いつまでもこんな状態を続けたくないからだ。しかし彼はそんなことなどお構いなしに指を奥へと押し込む。
「んぇ……」
「ほら、ちゃんと舐めて」
「……っ」
人が喋れないのをいいことに今度は舌全体を人差し指で撫で始めてきた。もうすでに彼の指にチョコが残ってない事に気づいてる私は、拒否するように舌を動かして人差指を避けようとしていた。
「……舐めて、って言ったよね?」
私の肩を掴む手の力が先ほどよりも強くなる。これ以上彼の要求を受け入れないように先ほどと同じようにもう一度首を横に振ったその瞬間、私の肩を掴む手が首に移動するとそのまま力が込められはじめる。息苦しさに反応して思わず声を漏らすと、その声を逃さないよう今度は舌を指で押さえつけられる。
「ぁ……っ!?」
「苦しい?」
「あ、がっ……!!」
「うんうん。苦しいよねぇ」
どうにかして両手で彼の手をどかそうとするも恐ろしいほどびくともしない。それどころかますます私の首は絞められていく。徐々に息苦しくなる呼吸。もがく手の力も失われていく。
――――――このままでは殺される。
そんな事が頭をよぎると首を絞めてくる手が少しだけ力を緩めた。
「う……ぁ……?」
喉から漏れた声に反応するかのように彼が目を細める。
「可愛い……」
状況に似つかわしくない言葉をつぶやいた彼は私の呼吸が落ち着くのを確認すると再度私の舌をなぞりはじめる。ゆっくりと、愛でるように、脅すように。
狂気を孕んだ目が私を見つめ直す。その視線を直視してしまった私は抵抗と拒絶をすっかりと諦め、その意思を表すかのようにそっと指を舐め始めた。
「あは、いい子だねぇ。最初からそうしてくれれば良かったのに」
つい先ほどまで首を絞めてきた手が優しく頭を撫でてくる。
「いい子いい子」
その感触に心地よさと恐怖の相反する感情を抱いてしまった私は、ソレを見て見ぬふりをするかのように彼の気のすむまで指を舐め続けてあげることにした。
しばらくして、指が私の口から離れた。きっと満足してくれたのだろう。そう判断して安堵した私は再度仕事にとりかかろうとする。
……はずだった。
「まだおかわりあるから」
彼の指がまた、1粒のチョコを掴む。
「えっ」
「残り4個ね」
「そ、それは山崎が食べなよ……」
「えー?俺の気遣いを無駄にするのー?」
ふたたび彼の鋭い視線が私を捕らえる。ちら、と彼の持つチョコを見てみるとほんのり溶けている事に気づいてしまう。
再度彼の方へと視線を向ける頃には既にチョコが私の口元まで来ており、もう嫌でも口を開けて受け入れるしかなくなってしまった。
有無を言わさぬ笑顔を浮かべた彼はそのまま何も言わずに、己の気の済むまで私の口内を指で撫で続けていた。
