早く終わらせて
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「ねぇ刃ちゃん」
「なんだ」
「今度、女性の口説き方について教えてあげるわね」
「…………"オトモダチ"からはじめろ、と言ってたはずだが」
「うーん、そう、そうなんだけどね?」
「フン……」
カフカの困った笑いと車のエンジン音を聞き流しながら後部座席で眠る彼女を覗く。
散々俺に殺されたはずの彼女は最初に見かけた時と同じ姿で静かに横たわっている。
元々彼女は星核ハンターに引き入れる予定だった、というよりそれが決められてしまった。
"不死の終焉は同じ不死が"
ある日エリオがそう予言した。ただの予言ならそれで終わったのだが俺とエリオの間には"約束"がある。
彼も、俺も、互いの約束を破るつもりはない。そしてその約束を守るために彼女が必要不可欠をなってしまった。
こうして名前があがった彼女は否応なしにこうなる運命が確定した。
「はぁ……咲ちゃんにどう説明しようかしら。元々は保護を兼ねての勧誘だったのにどこかの誰かさんが乱暴するから予定が変わっちゃいそうね」
「遅かれ早かれこうなっていたさ」
「……ねぇ刃ちゃん。仮に彼女が貴方に死をもたらさなかったらどうするの?」
「エリオが脚本を書き直すとでも?」
「仮の話よ。私たちは"不死鳥"なんて生き物について何も知らないのだから、もしかしたら想像とは違う死に方を提供されるかもしれないじゃない」
「"死"に種類があるわけないだろう」
「生命としての死は確かにそうかもしれないわね。でも貴方は生きているのに"刃"より前の存在は死んだことにしてるでしょう?」
「……何が言いたい」
「咲ちゃんのせいで刃ちゃんが刃ちゃんじゃなくなるかもしれない、ってことよ」
「意味が分からん」
「ふふっ、今は分からなくて良いわ」
「……」
からかうように笑う彼女をよそに俺はまだヒリヒリと火傷をしている手の甲を見ると、赤く色づいた手がつい先ほどまでの情景を思い出させた。
何もかもを溶かした炎。
火の粉の様に舞い散る灰。
苦しそうな彼女の声。
何度殺しても死なない身体。
光を失えない二つの目。
全てが今まで見たどの景色よりも鮮やかで――――
"刃ちゃんが刃ちゃんじゃなくなるかもしれない"
ついさっき聞いたカフカの声がこだまする。
それに合わせるかのように火傷がジクジク痛み始める。
なるほど、どうやら思ったより早く死が近づいてきたらしい。
「カフカ、1つ聞きたい」
「あら?何かしら」
「オトモダチの先は何と呼ぶんだ」
END
「なんだ」
「今度、女性の口説き方について教えてあげるわね」
「…………"オトモダチ"からはじめろ、と言ってたはずだが」
「うーん、そう、そうなんだけどね?」
「フン……」
カフカの困った笑いと車のエンジン音を聞き流しながら後部座席で眠る彼女を覗く。
散々俺に殺されたはずの彼女は最初に見かけた時と同じ姿で静かに横たわっている。
元々彼女は星核ハンターに引き入れる予定だった、というよりそれが決められてしまった。
"不死の終焉は同じ不死が"
ある日エリオがそう予言した。ただの予言ならそれで終わったのだが俺とエリオの間には"約束"がある。
彼も、俺も、互いの約束を破るつもりはない。そしてその約束を守るために彼女が必要不可欠をなってしまった。
こうして名前があがった彼女は否応なしにこうなる運命が確定した。
「はぁ……咲ちゃんにどう説明しようかしら。元々は保護を兼ねての勧誘だったのにどこかの誰かさんが乱暴するから予定が変わっちゃいそうね」
「遅かれ早かれこうなっていたさ」
「……ねぇ刃ちゃん。仮に彼女が貴方に死をもたらさなかったらどうするの?」
「エリオが脚本を書き直すとでも?」
「仮の話よ。私たちは"不死鳥"なんて生き物について何も知らないのだから、もしかしたら想像とは違う死に方を提供されるかもしれないじゃない」
「"死"に種類があるわけないだろう」
「生命としての死は確かにそうかもしれないわね。でも貴方は生きているのに"刃"より前の存在は死んだことにしてるでしょう?」
「……何が言いたい」
「咲ちゃんのせいで刃ちゃんが刃ちゃんじゃなくなるかもしれない、ってことよ」
「意味が分からん」
「ふふっ、今は分からなくて良いわ」
「……」
からかうように笑う彼女をよそに俺はまだヒリヒリと火傷をしている手の甲を見ると、赤く色づいた手がつい先ほどまでの情景を思い出させた。
何もかもを溶かした炎。
火の粉の様に舞い散る灰。
苦しそうな彼女の声。
何度殺しても死なない身体。
光を失えない二つの目。
全てが今まで見たどの景色よりも鮮やかで――――
"刃ちゃんが刃ちゃんじゃなくなるかもしれない"
ついさっき聞いたカフカの声がこだまする。
それに合わせるかのように火傷がジクジク痛み始める。
なるほど、どうやら思ったより早く死が近づいてきたらしい。
「カフカ、1つ聞きたい」
「あら?何かしら」
「オトモダチの先は何と呼ぶんだ」
END
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