海と、君と、
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海が見たい、なんて君が言ったからてっきり次のデートの話かと思ったのに。
まさか今から行くとはいったい誰が予想出来たでしょうか。
「夕日が見たくなっちゃって」
驚く私を気にもせず悪びれる様子もなく言う君に。
文句の1つでも言ってやろうかと思ったけれど。
「咲と一緒に行きたいんだ」
その一言で何も言えなくなってしまった。
「…我ながら、周助には甘いなぁ」
私は文句の代わりに出た情けない言葉を呟くと、急いで出かける支度をしたのだった。
——————————
家から二時間ほどかけて着いた海はキラキラとオレンジに輝いていて、
さっきまでの慌ただしさを全部忘れさせてくれるような、
穏やかで優しい海だった。
「あぁ良かった。間に合った」
横で嬉しそうに話す彼。
そんな彼を見て私も嬉しくなる。
海が見たいって言われた時は何で急に、なんて思ってしまったけど。
綺麗な海と周助の喜んでる顔を見れたからこれで良かったのかもしれない
。
「ありがとう咲。僕のワガママに付き合ってもらって」
「いいよ別に。私も良いものが見れたし」
「海の事?」
「それもだけど……周助のその顔かな」
「僕の顔?」
「うん。そんな風にはしゃいでるの久々に見たもん」
「……え?」
私に言われて初めて自覚したのか彼は恥ずかしそうに口元を隠す。
「やっぱり気づいてなかったんだ」
私の一言に余計恥ずかしくなったのかとうとう目も逸らされてしまった。
珍しい、彼がここまで恥ずかしがるなんて。
「周助ー?どうしたのー?」
「咲……分かって言ってるでしょ」
「うん!」
満面の笑みで返事をしてあげると、
彼は困ったように笑い返した。
もし今ここで「その顔も大好き」なんて言ってしまえば、
きっと君はさらに照れて、そして困るんだろうな。
流石にこれ以上からかいたくは無かったからそれは心の中にしまっておくけどね。
——————————
「……ところで周助」
「何かな」
「どうして海が見たかったの?」
確かに彼は突拍子もない事を平気で言うタイプだ。
でもそれには絶対何かしらの理由があった。
だから今回のこれもきっと理由があるのだろう。
「どうして、かぁ」
「……もしかして、聞かない方が良かった?」
「ううん。平気」
「えっと、じゃあ何でかな……?」
暫く彼は黙っていたが、やがて口を開く。
それに合わせて私も彼の顔を見る。
視界に入った彼の表情はいつにも増して真剣に見えた。
普段の様子とは明らかに違うのはすぐに分かった。
「咲」
「な、なに?」
「これを受け取ってほしいんだ」
彼から手渡されたのは小さな箱だった。
しかもただの箱じゃない。
誰が見てもすぐにわかる、だってこれは
「これ……リングケース、だよね」
「うん」
「中、見てもいい?」
「もちろん」
ゆっくりと箱を開ける。
箱の中を見るとそこにはダイヤがついた銀の指輪が輝いていた。
「しゅう、すけ……?これって」
「咲、僕と」
—————結婚してください
波の音を遮るかのように伝えられたそれは、
ずっと、
ずっと待ち望んでいた言葉だった。
「返事、聞かせてもらえるかな」
「そんなの……良いに決まってるじゃん…!!」
「……本当?」
「本当っ!」
思わず飛びつくように抱きしめる。
「ありがと……そう言ってもらえて良かった」
彼の震えたような声が聞こえる。
そっと顔を覗くと、
彼もまた、私と同じように泣いていた。
"泣いてるの?"
そう聞く間もくれないまま、
彼は「見ないで」と言うように私の目を手で隠した。
それがほんのちょっと悔しかった私はその手に抵抗しようとした瞬間、
唇に暖かいものが触れた気がした。
慌てて彼から離れると涙目になりながらも微笑んでる彼が目に入った。
私の慌てる様子なんて気にもせず彼は悪びれる事もなく、
「誓いのキス」
なんて、可愛らしい事を言うのだった。
まさか今から行くとはいったい誰が予想出来たでしょうか。
「夕日が見たくなっちゃって」
驚く私を気にもせず悪びれる様子もなく言う君に。
文句の1つでも言ってやろうかと思ったけれど。
「咲と一緒に行きたいんだ」
その一言で何も言えなくなってしまった。
「…我ながら、周助には甘いなぁ」
私は文句の代わりに出た情けない言葉を呟くと、急いで出かける支度をしたのだった。
——————————
家から二時間ほどかけて着いた海はキラキラとオレンジに輝いていて、
さっきまでの慌ただしさを全部忘れさせてくれるような、
穏やかで優しい海だった。
「あぁ良かった。間に合った」
横で嬉しそうに話す彼。
そんな彼を見て私も嬉しくなる。
海が見たいって言われた時は何で急に、なんて思ってしまったけど。
綺麗な海と周助の喜んでる顔を見れたからこれで良かったのかもしれない
。
「ありがとう咲。僕のワガママに付き合ってもらって」
「いいよ別に。私も良いものが見れたし」
「海の事?」
「それもだけど……周助のその顔かな」
「僕の顔?」
「うん。そんな風にはしゃいでるの久々に見たもん」
「……え?」
私に言われて初めて自覚したのか彼は恥ずかしそうに口元を隠す。
「やっぱり気づいてなかったんだ」
私の一言に余計恥ずかしくなったのかとうとう目も逸らされてしまった。
珍しい、彼がここまで恥ずかしがるなんて。
「周助ー?どうしたのー?」
「咲……分かって言ってるでしょ」
「うん!」
満面の笑みで返事をしてあげると、
彼は困ったように笑い返した。
もし今ここで「その顔も大好き」なんて言ってしまえば、
きっと君はさらに照れて、そして困るんだろうな。
流石にこれ以上からかいたくは無かったからそれは心の中にしまっておくけどね。
——————————
「……ところで周助」
「何かな」
「どうして海が見たかったの?」
確かに彼は突拍子もない事を平気で言うタイプだ。
でもそれには絶対何かしらの理由があった。
だから今回のこれもきっと理由があるのだろう。
「どうして、かぁ」
「……もしかして、聞かない方が良かった?」
「ううん。平気」
「えっと、じゃあ何でかな……?」
暫く彼は黙っていたが、やがて口を開く。
それに合わせて私も彼の顔を見る。
視界に入った彼の表情はいつにも増して真剣に見えた。
普段の様子とは明らかに違うのはすぐに分かった。
「咲」
「な、なに?」
「これを受け取ってほしいんだ」
彼から手渡されたのは小さな箱だった。
しかもただの箱じゃない。
誰が見てもすぐにわかる、だってこれは
「これ……リングケース、だよね」
「うん」
「中、見てもいい?」
「もちろん」
ゆっくりと箱を開ける。
箱の中を見るとそこにはダイヤがついた銀の指輪が輝いていた。
「しゅう、すけ……?これって」
「咲、僕と」
—————結婚してください
波の音を遮るかのように伝えられたそれは、
ずっと、
ずっと待ち望んでいた言葉だった。
「返事、聞かせてもらえるかな」
「そんなの……良いに決まってるじゃん…!!」
「……本当?」
「本当っ!」
思わず飛びつくように抱きしめる。
「ありがと……そう言ってもらえて良かった」
彼の震えたような声が聞こえる。
そっと顔を覗くと、
彼もまた、私と同じように泣いていた。
"泣いてるの?"
そう聞く間もくれないまま、
彼は「見ないで」と言うように私の目を手で隠した。
それがほんのちょっと悔しかった私はその手に抵抗しようとした瞬間、
唇に暖かいものが触れた気がした。
慌てて彼から離れると涙目になりながらも微笑んでる彼が目に入った。
私の慌てる様子なんて気にもせず彼は悪びれる事もなく、
「誓いのキス」
なんて、可愛らしい事を言うのだった。