着火
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
普段は静かな携帯が珍しく鳴った。
画面を見ると見覚えのあるクラスメイトの名前。
急いで電話を取ると相手から、
「今から花火やるから外に出てきてー!」
なんて、一方的に言われてそのまま切られてしまった。
最初は間違い電話かと思ったが、まさかと思い窓の外を覗いたら今さっき俺の携帯に電話をかけてきた咲が、俺の部屋に向かって手を振っているのが見えた。
「は……!?」
「花火とかその他もろもろ用意した!だからお水ちょーだい!」
もうすでに準備を終えてる彼女は俺が出てくるのを今か今かと待ちかまえていた。
これはもう付き合ってやるしかない、そう察した俺は慌てて身支度をして家を飛び出したのだった。
──────
「急にごめんねー、親戚から花火いっぱい貰っちゃってさー」
家から出た俺にそう悪びれもなく告げる彼女は、既に二人でやるにはちょっと多すぎる花火を開封しロウソクに火をつけて待っていたのだった。
「俺達だけなの?」
「うん。誰とも予定合わなくて」
どうやら他の子には予め連絡していたらしい。
だったら俺にも事前に言って欲しかったんだけど、なんて今更それを言っても無駄なんだろう。
「マジかぁ、珍しいな」
「でしょ?だから諦めて二人で花火やろー」
「わかったわかった、水持ってくるから待ってて」
「おねがいしまーす!」
俺は咲があらかじめ用意していたバケツを受け取ると庭にある水道まで運んでいった。
水を入れてる途中、シュッと花火に火がつく音が聞こえてきた。
彼女の事だ。待ちきれなくて一人で勝手に始めたんだろう。
「……一緒に始めないのかよ」
断りもなく花火を始めた彼女につい呟いてしまったがあの花火の量を考えると寧ろその方がいいのかもしれない。
そう自分に言い聞かせる事にし、バケツを咲の所へと持っていくことにした。
──────
「もうはじめてまーす!」
「知ってまーす。見て分かりまーす」
バケツを持ってきた頃には既に数本使われていた。
……正確には、数本まとめて手に持って遊んでいたのだった。
「危なっかしいなぁ」
「別にいいじゃん!てか退も遊ぼうよ!」
「……じゃあお言葉に甘えて遊ばせて貰おうかな」
「どうぞー!」
俺は大量に置いてある花火から適当に1つ取り火をつけた。
パチッ、パチッ、と音が鳴り始めると瞬く間に流れるような火花があたりを照らしはじめた。
独特な煙の匂いと花火の音も合わさって普段見慣れている風景が少し幻想的に見えた気がした。
「そういや、なんで俺の家に?」
花火を見ながら俺は思った事を口にする。
というのも、俺たちは確かに男女間で考えれば比較的仲が良い。
けどそれは学校内の話であって休みの日にはまず会わなかったし連絡も頻繁にしている訳でもなかった。
「ほら、前にプリント渡しに行ったじゃん?それで場所覚えてて」
「あー、そういう事じゃなくてさ」
「え?」
「なんで俺と花火をしようと思ったのかなって」
「……」
さっきまではしゃいでいた彼女が突然黙り込む。
そしてそれに合わせたように花火も消えてしまい一気にあたりが静かになってしまった。
「ごめん、変な事聞いちゃった?」
「ち、ちがう!全然違うんだけどさ……!」
慌てて否定をしてくれたはものの、どことなく様子がぎこちないように感じた。
「…あの、引かないでくれる?」
しばらく黙っていた彼女が口を開く。
「もちろん」
「ほんとに?」
「絶対に」
「……あのね」
彼女はふぅ、と一呼吸置くと俺の方を真っ直ぐ真剣に見つめてきた。
普段と違う彼女の様子に俺も少しばかり緊張してしまった。
「さっ……退と二人でゆっくりお話したいなーって」
「……へっ?」
「学校では一応話せるけど込み入った話はしないじゃん?だから……」
「それでわざわざ家まで?」
「う、うん……って、やっぱ引いたよね?」
「いやいや!?そんな事ないって!!」
確かに家にいきなり来たのには驚いたけどもそういう理由なら悪い気はしない。
いや、寧ろそれ以上に嬉しい。
「俺も色々話したいことあったし……咲にそう言ってもらえて嬉しいよ」
「……本当?」
「うん。夏休みの間は会えないだろうなって思ってたし、声かけてもらえて良かった」
「そっかぁ…えへへ、家に来て良かったぁ」
彼女の笑顔につられて俺も思わず笑ってしまう。
そして、それと同時に少し気恥ずかしくなってしまった。
どうやらそれは彼女も同じように感じているようで。
それをごまかすためなのか彼女は急いで花火に火をつけはじめた。
俺も気恥ずかしさをかき消すように花火に火をつける。
今度は俺から連絡してあげよう、そんな事を考えながら。
画面を見ると見覚えのあるクラスメイトの名前。
急いで電話を取ると相手から、
「今から花火やるから外に出てきてー!」
なんて、一方的に言われてそのまま切られてしまった。
最初は間違い電話かと思ったが、まさかと思い窓の外を覗いたら今さっき俺の携帯に電話をかけてきた咲が、俺の部屋に向かって手を振っているのが見えた。
「は……!?」
「花火とかその他もろもろ用意した!だからお水ちょーだい!」
もうすでに準備を終えてる彼女は俺が出てくるのを今か今かと待ちかまえていた。
これはもう付き合ってやるしかない、そう察した俺は慌てて身支度をして家を飛び出したのだった。
──────
「急にごめんねー、親戚から花火いっぱい貰っちゃってさー」
家から出た俺にそう悪びれもなく告げる彼女は、既に二人でやるにはちょっと多すぎる花火を開封しロウソクに火をつけて待っていたのだった。
「俺達だけなの?」
「うん。誰とも予定合わなくて」
どうやら他の子には予め連絡していたらしい。
だったら俺にも事前に言って欲しかったんだけど、なんて今更それを言っても無駄なんだろう。
「マジかぁ、珍しいな」
「でしょ?だから諦めて二人で花火やろー」
「わかったわかった、水持ってくるから待ってて」
「おねがいしまーす!」
俺は咲があらかじめ用意していたバケツを受け取ると庭にある水道まで運んでいった。
水を入れてる途中、シュッと花火に火がつく音が聞こえてきた。
彼女の事だ。待ちきれなくて一人で勝手に始めたんだろう。
「……一緒に始めないのかよ」
断りもなく花火を始めた彼女につい呟いてしまったがあの花火の量を考えると寧ろその方がいいのかもしれない。
そう自分に言い聞かせる事にし、バケツを咲の所へと持っていくことにした。
──────
「もうはじめてまーす!」
「知ってまーす。見て分かりまーす」
バケツを持ってきた頃には既に数本使われていた。
……正確には、数本まとめて手に持って遊んでいたのだった。
「危なっかしいなぁ」
「別にいいじゃん!てか退も遊ぼうよ!」
「……じゃあお言葉に甘えて遊ばせて貰おうかな」
「どうぞー!」
俺は大量に置いてある花火から適当に1つ取り火をつけた。
パチッ、パチッ、と音が鳴り始めると瞬く間に流れるような火花があたりを照らしはじめた。
独特な煙の匂いと花火の音も合わさって普段見慣れている風景が少し幻想的に見えた気がした。
「そういや、なんで俺の家に?」
花火を見ながら俺は思った事を口にする。
というのも、俺たちは確かに男女間で考えれば比較的仲が良い。
けどそれは学校内の話であって休みの日にはまず会わなかったし連絡も頻繁にしている訳でもなかった。
「ほら、前にプリント渡しに行ったじゃん?それで場所覚えてて」
「あー、そういう事じゃなくてさ」
「え?」
「なんで俺と花火をしようと思ったのかなって」
「……」
さっきまではしゃいでいた彼女が突然黙り込む。
そしてそれに合わせたように花火も消えてしまい一気にあたりが静かになってしまった。
「ごめん、変な事聞いちゃった?」
「ち、ちがう!全然違うんだけどさ……!」
慌てて否定をしてくれたはものの、どことなく様子がぎこちないように感じた。
「…あの、引かないでくれる?」
しばらく黙っていた彼女が口を開く。
「もちろん」
「ほんとに?」
「絶対に」
「……あのね」
彼女はふぅ、と一呼吸置くと俺の方を真っ直ぐ真剣に見つめてきた。
普段と違う彼女の様子に俺も少しばかり緊張してしまった。
「さっ……退と二人でゆっくりお話したいなーって」
「……へっ?」
「学校では一応話せるけど込み入った話はしないじゃん?だから……」
「それでわざわざ家まで?」
「う、うん……って、やっぱ引いたよね?」
「いやいや!?そんな事ないって!!」
確かに家にいきなり来たのには驚いたけどもそういう理由なら悪い気はしない。
いや、寧ろそれ以上に嬉しい。
「俺も色々話したいことあったし……咲にそう言ってもらえて嬉しいよ」
「……本当?」
「うん。夏休みの間は会えないだろうなって思ってたし、声かけてもらえて良かった」
「そっかぁ…えへへ、家に来て良かったぁ」
彼女の笑顔につられて俺も思わず笑ってしまう。
そして、それと同時に少し気恥ずかしくなってしまった。
どうやらそれは彼女も同じように感じているようで。
それをごまかすためなのか彼女は急いで花火に火をつけはじめた。
俺も気恥ずかしさをかき消すように花火に火をつける。
今度は俺から連絡してあげよう、そんな事を考えながら。
