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~そして終結へ…~

「いい加減それを片付けたらどうだパンタソス!!」
「嫌だよ~だ!これお気に入りなんだから!」


ハーデス城の一室で、夢を司る四神であるオネイロスとパンタソスが何やら揉めていた。


「どうしたのだ?」
そこに、この城の主であるハーデスが現れる。
「ハーデス様……!」
「何かあったのかお前達?」
「実は……」
オネイロスはパンタソスを一瞬睨むとハーデスに説明した。



「……と言う訳です」
「ふむ……」
ハーデスは何やら考えると、パンタソスに笑みを向ける。
「その絵、少しの間返してくれないか?後でお前に渡すから」
「いいですよ?だけど、ちゃんと返して下さいね」
「パンタソス、ハーデス様に対してそのような言い方は……!」
「良い、オネイロス」
ハーデスはパンタソスから絵を受け取るといそいそと部屋に戻って行った。



自室に戻り、キャンバスを用意するとハーデスは筆を取り出す。
「ハーデス様、少々お時間をよろしいでしょうか……?」
「構わん、入れ」
部屋の扉越しに声をかけられ、ハーデスは筆を下ろす。
「輝火か、何用だ?」

部屋に入って来たのは、冥闘士である天暴星ベヌウの輝火だ。

「はい…黄金聖闘士達に関して、報告に来ました」

その言葉を聞き、ハーデスは一瞬目を輝かせる。

ハーデスはあれから、あの場にいなかった黄金聖闘士(と言っても二人だけだが…)に関しての調査を密かに輝火に任せていたのだ。

「ほぅ……聞かせろ、輝火」
ハーデスは輝火の報告に熱心に耳を傾ける……そして、その顔に笑みが深まる。
「ふむ…よくやったな、輝火……下がって良いぞ」
「はっ……」
輝火が部屋から出て行くのを見届けると、ハーデスはもう一枚キャンバスを出現させる。

「フフ……どのような反応をするか、楽しみだな」

そして、ハーデスは絵を描き始める。


―――


白羊宮の入り口に、二人の人影が現れる。


「思ったより時間がかかったな……」
一人は山羊座のエルシド……もう一人は獅子座のレグルスだ。
「途中で冥闘士の襲撃にあったからな」
仕方ないよ、とレグルスは苦笑する。
「早く帰ろう…シジフォスが心配しているだろうし」
「そうだな……」


確かに…これ以上帰りが遅くなれば、シジフォスが己の宮で心配しながら自分達を待っている様子が見てとれる。


……想像したエルシドはどこか遠い目をした。

「どうしたんだエルシド?」
レグルスの言葉に我に返り「いや……」と曖昧な返事をすると歩き出す。
「早く帰るんじゃなかったのか?」
「ま、待ってよ!!」
レグルスは慌ててエルシドを追い掛ける。



―そして、悲劇が訪れる―



異変は、獅子宮に差し掛かった時に訪れた。



レグルスの一歩先を歩いていたエルシドは、背後で何かが倒れる音を聞き、慌てて振り返る。

「なっ…!?レグルス!?」

そこには、倒れたレグルスの姿があった。

「レグルス!どうしたん…だ……」
駆け寄ろうとしたエルシドも突然視界が歪み、倒れてしまう。

「…エル…シド……」
レグルスの声が遠くの方から聞こえる。
「レグル…ス………」

エルシドの意識は、そこで途絶えた……


―そして、夜が明け……―



「遅いっ……遅すぎる!!」
シジフォスは人馬宮の入り口で仁王立ちをしていた。

「遅くなっても夜には帰ると言っていたのに……」
実は、昨夜からエルシドとレグルスの帰りを待っていたのだ。


帰りが待ち遠しくなるのも無理は無い……シジフォスにとって、レグルスは目に入れても痛くない可愛い弟子なのだ。


「…獅子宮から二人の小宇宙を感じるが、何かあったのか……?」
シジフォスは呟くやいなや、光の速さで自分の宮を後にした。

―獅子宮―

「なっ……!?これは……!?」
シジフォスが目にしたのは、通路で倒れている『二人の子供』の姿だった。
「い…一体何が……」
束の間言葉を失うシジフォスだが……その子供をまじまじと見てとある事を思い付く。
「……」

――エルシドとレグルスに似ている……?――

(そ…そんな馬鹿な…しかし、二人にソックリだ……)

……シジフォスは冷や汗ダラダラだ。


そして……シジフォスの目の前でその二人の子供は起き上がる。


「うーん…あれ…シジフォス?」
「…随分デカくなったな……」
「いや、それは違うから」
エルシドの言葉にシジフォスは素早く突っ込みを入れる。
「ん……?」
「え……?」
互いに違和感を感じたのか、二人は同時に向き合う。



「「うわぁあーー!!?」」



二人の叫び声が明け方の聖域に轟いた。


「どうした!?」
二人の叫び声を聞きつけ、シオンが駆けつける。

しかし、シオンはそこで奇妙な光景を目の当たりにした。


「…子供……?」


そう――シジフォスの目の前で、二人の子供が放心状態で立ち尽くしていたのだ。

「し、シジフォス…その子供は……?」
「そ…それは……」
シオンの言葉にシジフォスが困惑した表情で子供を見る。
「シオン!俺だ!!わからないのか!?」
「シジフォス~!」
黒髪の少年は必死の表情でシオンに詰め寄り、茶髪の子供は涙目でシジフォスに駆け寄る。
「お、落ち着くんだ、レグルス……」
「レグルス…だと…!?」
驚くシオンをしり目に、シジフォスがよしよしとレグルスの頭を撫でる。
「…まさか…エルシド…なのか……?」
「…あぁ……」
恐る恐るシオンが少年に訊ねると、顔をしかめて返事を返してきた。


年齢はテンマと同じだろうか……


シオンは声に出さずにそう思った。

普段のエルシドよりも小柄な体で顔立ちも幼い。



……それでも若干目つきが悪いが、それは黙っておこう。



「しかし…何故二人がこのような姿に……」
困惑したシジフォスの声に、シオンが唸るように呟く。
「…このような芸当が出来るのは…奴しかいないだろう……」
「…ま…まさか……」
そのシオンの言葉に、三人が同時に一つの名を言った。



「「「ハーデスの仕業(だな!?/か!?/なのか!?)」」」


「…それ以外に考えられないが……」
シオンが遠い目をしながらそう呟く。


現に、ハーデスの呪いによって被害を受けているのだから仕方無いだろうが……


「…これで、黄金聖闘士のおよそ半数がハーデスの魔の手に……」
「だがあの時、レグルスはいなかっただろう?」


あの時とは、ハーデスがテンマを攫うべく三巨頭と四神、そして双子神と共に聖域に乗り込ん来た時だ。


「そういえばそうだな……」
エルシドの言葉にシオンが頭を抱える。
「…ハーデスが何らかの方法でレグルスの事を知ったのか……?」
「…………あ!!」
レグルスは何か思い出したのか、パッとエルシドの方を見る。
「エルシド!あの時の冥闘士!!」
「…!!まさか…奴がハーデスに……!?」
レグルスの言葉にエルシドは納得した様子だ。
「……何があったんだ?」
「実は……」

……エルシドの話によれば、任務の帰りに一人の冥闘士と戦ったとの事だ。

黒炎を操るその冥闘士に、二人は苦戦を強いられたそうだ。

しかし……戦っているうちに、何処かへ飛んで行ったそうだ。



……その冥闘士とは、言うまでもなく輝火の事だ。



「……怪しいな」
「あぁ……充分怪しい」
シオンとシジフォスは同時に頷く。
「……その冥闘士がレグルスの事をハーデスに知らせたと見て間違い無いだろう」
「そんな……」
シジフォスの言葉にレグルスはがくりと肩を落とす。
「俺達…ずっとこのままなのか……?」
レグルスは涙で潤んだ瞳でシジフォスを見上げる。

……どうやら、子供になった事で涙腺が緩くなっているようだ。

「だ…大丈夫だレグルス…俺達が必ず元に戻してやるから……」
シジフォスはとっさに鼻を押さえる。

(か…可愛すぎる……!!)

……今のレグルスに弟子馬鹿シジフォスは鼻血放出寸前だ。


だが、怒りを燃やす人が一人――


「…おのれハーデス……」

あまりの怒りの小宇宙にシオンの髪がザワリと波打つ。
「これ以上奴の勝手な行為を見過ごすわけにはいかん!!」
「し…シオン……?」

レグルスが後退りするが、シオンはお構いなしだ。



「『聖域被害者の会』会長として、これ以上奴の好き勝手にはさせるか!!」



「「「……はい?」」」



テレポートの応用なのか、シオンは何処からかたすきを召喚して装着する。



そのたすきには、『聖域被害者の会』と書かれていた。



「「「」……」」



突然のシオンの行動に、三人は思わず黙り込む。


――聖域被害者の会――


ハーデスの勝手な(ここ強調)呪いによって突然日常が変わってしまった者達が互いを支え合い、対ハーデスの戦いに備えて鋭気を高める一方で、呪いを解く方法を模索する、というものだ。

言うまでもなく……メンバーはテンマ、シオン、デジェル、アルバフィカの四人だ。
ちなみに、会長がシオンで副会長がデジェルだそうだ。

「い…いつの間にそのようなものが……」
「私やデジェル達が呪いを掛けられて間もない時だ」


何でも、元はハーデスの魔の手からテンマを守ろうとした事が始まりらしい。


しかし……黄金聖闘士にも被害者が現れ、更にはテンマだけで無く、魚座のアルバフィカまで敵(三巨頭の天貴星)から狙われる事となった今、被害者達は結束して呪いを解く方法を探す事にした。



これが、『聖域被害者の会』の始まりである。



「……という事だ。わかったか?」
「は…はぁ……」
シオンの説明にとりあえず頷くシジフォス。

「でも…まだ呪いを解く方法はわからないんだろ……?」
おずおずとレグルスがシオンに訊ねる。
「……確かに、現在アテナと教皇がハーデスの呪いを解く方法を探してくれている」
だが、とシオンは懐から何やらお札を取り出す。
「このアテナの護符を体の何処かに貼れば、一時的に小宇宙と技の威力が戻る事がわかった」
「本当か……!?」
シオンはエルシドに向かって頷いてみせる。


「あぁ…だが、体は元に戻らないままだ……ハーデスを捕まえて呪いを解かせるしか方法は……」
「…そうか……」
申し訳なさそうにシオンが目を伏せる。
「……シオン、俺もその『聖域被害者の会』に入れてくれないか?」
「え、エルシド!?」
「お、俺も入る!!」
「レグルス!?」
シジフォスは思わず声を上げた。
「協力してくれるか、二人共……!!」
「あぁ…こうなった以上、何としてもハーデスを捕まえなければ……!!」
「そうだよ、俺も早く元に戻りたい!!」
レグルスが拳を振り上げて訴える。

「よし……!!では、今日から二人共『聖域被害者の会』の一員だ!!」
三人はガッチリと熱い握手を交わす。

「え…ちょっと……」
「では白羊宮に行こう。これから話し合いがあるからな」
シオンは二人を連れてシジフォスの脇を通る。

「……」

その場に残されたシジフォスは、あまりの展開にただ呆然としていた……。



場所は変わって白羊宮――



テーブルを中心に円を描くように被害者達が椅子に腰を掛けていた。


「そうか…お前達もハーデスの呪いを……」
アルバフィカが唸るような口調で呟く。
「…アローンの奴…絶対に許さねー……!!」
「そう感情的になるな、テンマ」
テンマが拳を震わせる横で、デジェルがテンマをたしなめる。

「だ…だけど……」
「デジェルの言うとおりだ…今は落ち着け、テンマ……」
エルシドは静かにテンマに視線を向ける。
「…わかった……」
渋々頷くテンマを見て、シオンが切り出した。

「…問題は…どうやってハーデスを誘き出すか、だ……」
「そうだな…そう簡単に出て来るような奴では無いからな……」
デジェルは溜め息を漏らした。
「誘き出すにしろ、方法が無ければどうしようも無いが……」
「…アローンを誘き出す……」
テンマは唸るように呟くと、意を決して顔を上げる。
「あのさ皆…アローンの狙いは俺なんだろ?だったら……」


テンマは自分の提案をシオン達に説明した。

「本気なのかテンマ……!?」
「確かに一番効率が良い方法だが……危険すぎる」
アルバフィカが目をみはる横で、デジェルが苦渋の表情を浮かべる。
「けど、アローンはこうでもしないと出て来ない……と思う」
自分で言って虚しくなったのか、テンマは肩を落としながら言った。
「私は反対だ。そのような方法は危険すぎる……!!」
「だが、そうでもしなければハーデスが出て来ないのも事実だ……」
シオンが声を荒げるが、デジェルがそれを遮るように言った。
「……本当に良いのかテンマ?」
エルシドの問い掛けに、テンマは「あぁ…」と頷く。


「覚悟は出来てる、…少し怖いけど…皆を元に戻す為だったら……!」
「…テンマ……」
シオンは改めてテンマを見る。


テンマの瞳に、揺るぎない決意の光が宿っている。


「……良いだろう。ただし、我々『聖域被害者の会』がいる事を忘れるな」
シオンはテンマと向き合う。
「お前一人を危険な目に遭わせはしない。万が一の時は、必ずお前をハーデスから守ってやる」

シオンの言葉に、その場にいた全員が頷いた。

「シオン…皆……!!」
「だったら決まりだな!!」
レグルスがテンマに笑顔を見せる。
「一緒にハーデスをぶっ飛ばそうぜ、テンマ!」
拳を握ってみせるレグルスに、テンマは頷いた。
「…あぁ……何が何でもぶっ飛ばしてやる!!」

そして――エルシドとレグルスが『聖域被害者の会』の一員に加わってから数日後――



「……遂に作戦決行の日が来た」


場所は白羊宮、そこには『聖域被害者の会』のメンバーが集っていた。


「……最後にもう一度確認しておくが、本当に構わないんだなテンマ」
「あぁ、ここまでやって引き返せないしな」
気合い十分、といった様子でテンマは拳を己の手の平に打ち付ける。
「よし……では、各自手筈通りに配置に付け!!」
『あぁ!!』

シオンの掛け声と共に一斉に白羊宮を抜ける。



場所を聖域の外れに移したのだ。

「……」
テンマは辺りを見回す。

(良いな、皆)
(勿論!!)
(此方もだ……)
(何時でもいけるぞ……)
上から順にデジェル、レグルス、アルバフィカ、エルシドが小宇宙通信で連絡を入れる。
(……よし、テンマ!!)
シオンの合図と共にテンマは息をたっぷり吸うと声を張り上げる。


「俺はここだー!!逃げも隠れもしないぞハーデスーー!!」


数秒後


「漸く観念してくれたんだねテン……ぐはっ!?」
ハーデスはテンマの服装を見て大ダメージを受けた。







何せ、テンマはあのサーシャの服を着ていたのだ。

「て…テンマ…その服……」
「サーシャから借りた。こんな事言うのもアレだけど……サーシャって胸が大きいからさ、サイズが合わないんだよな」

確かに、服が少しブカブカな感じがする。

「だ…だったらどうしてそんな服……」
「だって、今日暑いからさ」
テンマはわざとらしく胸元を手で扇ぐ。

テンマの胸が際どい所で見え隠れしている様子に、ハーデスは少なからず興奮している。

「それにさ……」
テンマはくるりとハーデスに背を向ける。



そして―――死角でアテナの護符を取り出し、左腕に貼り付ける。




「こうすれば、お前は必ず来るだろ!!」
「っ……!!」
振り向きざま、テンマは拳を握り締めて小宇宙を高める。


「ペガサス流星拳!!」
テンマの拳が、ハーデス目掛けて放たれる。



しかし、



「成る程……アテナの力か」



ハーデスは易々と避けてみせる。



「けど……残念だったね、テンマ」
ハーデスは瞬時にテンマの前に降り立つ。
「さぁ、大人しく来るんだ」



ハーデスがテンマの腕を掴んだ、その時!!



「今だ皆!!」
「おぅ!!」
「テンマを放せハーデス!!」



テンマの声に応じ、シオン達が一斉に動き出す。


「何っ!?」
流石のハーデスも、驚きを隠せないようだ。


その隙に、シオンがテレポートを駆使してハーデスの手からテンマを取り戻した。


「しまっ……!!」
「余所見をする暇があるとはな」
エルシドの手刀が閃く。

「エクスカリバー!!」
「ぐぁっ!?」
エルシドが繰り出した斬撃に怯んだハーデス。


「ライトニングプラズマー!!」
そこにレグルスが光速の拳で追い討ちを掛ける。



「あ、ありがとうシオン」
「礼なら後だ。私達も行くぞ」
「あぁ!!」
シオンとテンマはすぐさま加勢する。


「ロイヤルデモンローズ!!」
アルバフィカの真紅の薔薇が宙を舞う。


「フッ……そんなものが効くとでも?」
だが、ハーデスは笑みを浮かべて打ち消す。
「思っていないさ……だが」
「お前の気を逸らすには十分だろう?」
デジェルがカリツォーでハーデスを捕らえる。

「ダイアモンドダスト!!」
「ピラニアンローズ!!」
絶対零度の凍気と黒薔薇がハーデスに襲い掛かる。

「その程度の技など!!」
ハーデスはカリツォーを砕くと小宇宙を一気に爆発させる。

「うぁっ!?」
「くっ…!?」
余波を受け、デジェルとアルバフィカを吹き飛んだ。

「二人共!?」
「おのれハーデス!!」
シオンが小宇宙を高める。

「何をしようが同じだ」
「どうかな……?」


シオンは不敵な笑みを浮かべると、懐からもう一枚アテナの護符を取り出した。



「お前を捕獲する為に生み出した技、堪能するが良い!!」
シオンが護符を掲げる。


瞬間――ハーデスの背後に、光の網で出来た蜘蛛の巣のようなものが出現する。



「な、何っ!?」
驚いたのも束の間、ハーデスはその網にがんじがらめにされてしまう。

「な、何だこれは!?」
「私の小宇宙で生み出した網を、アテナの護符の力で更に強化したものだ」

シオンがゆっくりと説明を始める。

「名付けるとすればクリスタルネット……如何にハーデスといえども、その網から逃れる事は出来んぞ?」



……気付けば、ハーデスは完全に包囲されていた。



「……(汗)」


ハーデスは漸く、罠にはめられた事に気付いた。



「よくもこんな目に遭わせたな、アローン……」


テンマを筆頭に、怒りに小宇宙を燃やす『聖域被害者の会』メンバー。


「さぁ……覚悟は良いな?」
「ぁ…その……」





※これより先は、『聖域被害者の会』のメンバーの台詞のみでお送りします






「ペガサス流星拳!!」
「ライトニングプラズマー!!」
「まだだ、スターダストレボリューション!!行ったぞ二人共!!」
「任せろ……オーロラエクスキューション!!」
「ピラニアンローズ!!…エルシド!!」
「逃さん!!ジャンピングストーン!!」
「よし、行くぜレグルス!!ペガサス、彗星拳ー!!」
「ライトニングプラズマぁー!!」




『これは、オマケだぁあーー!!!』×6






この日――ハーデスの断末魔が聖域に轟いたと、後に乙女座の聖闘士が語った。

ちなみに、一同はハーデスに呪いを解かせた後、マニゴルドを呼び出し積尸気冥界波で冥界に追い返してもらったそうだ。


ただし……冥界では、突然ボロボロの状態で氷漬けにされたハーデスが現れたと酷く混乱したそうだ。



―それから数日後―


「アローンの奴…変な呪い掛けやがって……」
「良いじゃん、こうして元に戻れたんだからさ」
膨れっ面のテンマの横で、レグルスが苦笑している。
「だってさ、アローンの花嫁だぜ?……想像しただけで無理だって」
「そうかな…?テンマなら似合うと思うけど?」
「はぁ!?」
突然のレグルスの発言にテンマは驚く。
「何がどう似合うんだよ!?」
「いや……相手がハーデスなのはともかく、好きな人とそうして並ぶのって良いもんじゃないのか?」
「…レグルス…まさか……」
テンマが恐る恐るレグルスに訊ねると、レグルスはあっさりと言った。



「テンマ、好きな人がいるんじゃないのか?」
「れ、レグルスー!!」




……図星だった。

「い、何時から気付いてたんだ!?」
「え?えっと……」
「テーンーマぁーー!!」

レグルスの言葉を遮るように、どこからともなく童虎が現れる。

「お主、その話は本当か!!」
「げっ!?どっから出て来た童虎!!」

すかさず童虎から距離を取るテンマ。

「そんな事は関係無いわ!!わしに無断でそのような……言え、相手は誰じゃ!!」
「関係あるよ!!絶対に言わないからな!!」

睨み合う童虎とテンマ。

「え…えっと……」

レグルスは冷や汗を流しながら距離を取る。



そんなレグルスの背後に、迫る人影があった。

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