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聖闘士達がクトゥルフ始めたようです

ミロ「嫌だ、絶対嫌だぁ!!」

カミュ「今ならまだ間に合う、考え直してくれないかミロ?」

ミロ「いくらカミュの頼みでもそれだけは嫌だ!!」

ムウ「私からもお願いします。おやつにプリン上げますから」

ミロ「……い、いや、嫌だからな!!」

ムウ「……一瞬悩みましたね」

ミロ「な、なやんでなんかない(震え声)」


シュラ「……さっきから何を言っているんだ?」

アイオリア「ミロの探索者の性別を変更するよう交渉しているそうだ……」

サガ「まぁ…少女の風呂の世話を男がやっても良いのか疑問だからな」

シュラ「…だが、ムウなら許せるイメージがある」

サガ「それは同感だ」

ムウ「どういう事ですか」

カノン「ほれほれ始めるぞ~」

アフロディーテ「ムウ、玄武に買ってもらうものは決まったかい?」

ムウ「えぇ。取り敢えず少女の洋服とパジャマを3着程と……サングラスなのですが、自分の視界は普通に見えて周囲からは目が見えないようなサングラスというものはあるのですか?」

カノン「まぁ、ゲームだし気にするな。あるって事で良いぞ」

ムウ「では、そのサングラスを…壊れた時の予備も兼ねて3つ程購入しましょうか」

カノン「やっぱり揃えてきたか…前回相談してたのは、サングラスを装備して話し掛けた時の少女の反応を見たかったんだろ?」

カミュ「あぁ」

カノン「やっぱりな…他にはあるか?」

ムウ「今はそれぐらいしか……」

カノン「まぁ、後で補給は出来るさ。年収1000万だからどうにでもなる」

ムウ「……そんなに凄い事なのですか?」

カノン「2010のルルブによると、探索者は年収の5倍の資産を持っている事になっている。その内10分の1が現金として銀行に預けてあるんだ」

ミロ「って事は……えっと」

カミュ「ムウの探索者の年収は1000万、資産は5000万、500万が現金としてすぐに使えるという事か」

カノン「そういう事だ」

ムウ「……服、5着ぐらい購入しても大丈夫ですね」

カノン「そうなるな。さて、ムウにもう一つ決めて欲しい事があるんだ」

ムウ「何です?」

カノン「お前の事務所の場所、日比谷公園からどれだけ離れているかを決めたいんだ」

ムウ「……つまり、なるべく近い方が良いという事ですね」

カノン「そ、そんな事は言ってないぞ(汗)」

カミュ「病院帰りに日比谷公園に来ていたという事は、左程離れていない事になるのではないか?」

ムウ「そうなりますね……」

アイオリア「じゃあ、事務所はこの日比谷という場所にある設定になるのか?(地図見ながら)」

ムウ「私もアイオリアも運転技能は持っていませんが、初期値でも運転は可能でしたよね?車を持っているという設定は追加可能ですか?」

カノン「そこはサイドカー付きのバイクにして欲しかったな」

アフロディーテ「カノン、それは仮面ラ○ダーでは?」

カノン「良いじゃないか。格好良いだろう?車とバイク持ってても問題なさそうな年収だし。アイオリアが車で運転してムウを病院に連れて行ったって事にして、玄武はバイクで買い出しに行く感じにするか。サイドカーに荷物を詰めれば何とかなるだろう」

ムウ「何故このような設定が追加されるのですか……」

カノン「知らないのか?TRPG内の設定は生えるものだ」

ムウ「本当にどうでも良いですね」

カノン「じゃあ…ムウの事務所は日比谷を拠点に活動する探偵事務所『アリエス』で決まり、と」

ムウ「何故事務所の名前まで勝手に決めるのですか」

シュラ「……東京というより聖域の間違いでは?」

カミュ「成る程、東京という名の聖域か」

サガ「それ以上は言うな……」

カノン「ほれほれ、始めるぞ」

アフロディーテ「事務所に帰った所からにするかい?」

ムウ「そうします……」

カノン「じゃあ、悪いがムウとアイオリア以外は出番終了だ」

ミロ「えー!!」

カミュ「ロールプレイは見てても良いか?」

カノン「良いぞ。じゃあ、早速始めるか」


☆ ☆ ☆


「さぁ、着きましたよ」
「ここが…おうち?」
車から降りると、少女は事務所を見上げる。
便宜上探偵事務所ではあるが、一戸建ての住宅である。
1階が依頼人との面会に使用される居間や、調査を行う際に使われる書斎やパソコンが置かれたスペース、2階が生活を行う居住スペースとなっている。
「取り敢えず、玄武が帰るまでどうするか……」
「アイオリア、夕飯の支度は任せられます?私はこの子をお風呂に入れてきます」
「それは構わない…が……」
車をロックし、アイオリアはムウの方を見やるが……言葉を失った。

何せ、少女が物凄く嫌そうな表情をしていたのだ。

「…おふろいや……」
「服も汚れていますし…こんな事を言うのは忍びないですが…ほっとくと臭いますよ?」
そのムウの言葉を聞いた瞬間、少女ははっとムウを見上げる。
「おかあさん…わたしのこと…きらいになっちゃう……?」
「臭う程度で嫌いにはなりませんよ…そうですね……」
ムウは考え込むと、思い出したように少女に対して言った。
「頑張ってお風呂で汚れを落としたら、夕ご飯のデザートにプリンをあげましょうか」
「プリン……?」
少女の目が輝いているように見える。
「……おかあさんも、いっしょにはいってくれる?」
「…えぇ、私も一緒ですから。本当に嫌になったらすぐに言ってくださいね?」
少女は見たところ小学生……異性を意識し始める年頃の子供と、一緒に風呂に入るのは少々気が引けるが…無下に断る事も出来ない。
「うん」
ムウが頷くのを確認した少女は、笑顔に戻るとムウの手を握った。


☆ ☆ ☆


ムウ「カノン、冷蔵庫にプリンがある事にしても良いですか?」

カノン「ww別にそれぐらい良いぞwww何ならアイスも付けてやるwww」

ムウ「ではピ○でも追加しましょうか」

アイオリア「パ○コの方が良いんじゃないか?」

ミロ「俺はパ○ムが良い」

カノン「む、なら俺は雪○だいふくを選ぶぞ」

ムウ「…ミロ、カノン、アイスの好みを聞いてるのでは無いのですよ?」

サガ「…何というか……子供の扱いに手馴れてる感じがするな」

シュラ「こういうのを『おかん』というのか」

カミュ「安心しろ、ムウがおかん属性なのは知っている」

ムウ「何処からそんな言葉を知ったのですか」

アフロディーテ「…続けるけど構わないかい?」

全員『あっはい』

☆ ☆ ☆


アイオリアが台所で料理の準備をしている間に、ムウは少女を風呂場に案内する。
「軽くシャワーだけにしましょうか…洋服は自分で脱げます?」
「うん、できるよ」
ムウはその言葉に安心しながら、サングラスを掛けたままシャワーを浴びても平気なのかと密かに思案した。


☆ ☆ ☆


カノン「ムウ、ここで前回の幸運の結果が出るぞ」

ムウ「そういえば、最後に幸運振りましたけど……一体何です?」

カノン「これから分かるさ」


☆ ☆ ☆


「脱いだ服はそこの籠に入れてください」
「うん」
少女は素直に、脱いだ服を洗濯籠の中に放り込んでゆく。

「……?」
ムウはふと、一番上に放り込まれた少女の靴下に目がいく。
靴下の踵の部分に、何やら文字が書かれている。

こすれてしまっているが、見てみると平仮名で「かえで」と小さく書かれていた。

(何か書かれていますね…?かえ…で……?)
「おかあさん?どうしたの?」
少女は首を傾げながら、じっとムウを見上げている。
「…何でもありませんよ?さぁ、早くシャワーを浴びましょうか」
「…?うん」
未だに嫌そうな顔をする少女―楓を宥めながら、ムウは浴室に向かった。


☆ ☆ ☆


アイオリア「かえで…?これが少女の名前か?」

ムウ「そう考えて良いでしょうね」

カノン「あぁ、少女の名前は楓(かえで)だ」

ムウ「前回の幸運は、名前が発覚するかどうかだったのですか?」

カノン「あぁ。…実は、少女の名前は身元が分かるまで分からない設定なんだが……名前ぐらい分からないとキツいと思ってな」

カミュ「KP権限という奴か」

カノン「そういう事だ。まぁ、シナリオ本準拠でも良いし、こういうイベント作っても良いし、これは進行役次第って事になるがな」

サガ「今回はカノンのいい加減な性格が幸いしたという事か」

カノン「何とでも言え」

アフロディーテ「お風呂はムウも一緒に入るんだよね?」

ムウ「えぇ…シャワーだけですが、私も一緒に……ちゃんとタオルで隠しますよ」

カノン「そんな事気にしなくても大丈夫だが……じゃあ一旦アイオリアの方に場面を移すか」

アイオリア「?俺に何か起きるのか?」

カノン「お前のダイス次第だな」

アイオリア「??」

アフロディーテ「アイオリアは夕飯の支度をしているんだったよね」

アイオリア「そうだな……カレーでも作っていると思う」

カノン「じゃあ…カレーを作っている最中に玄関のインターホンが鳴った所から始まるぞ。2階に居ても気付く設定にしてるとかそういう感じの設定にしてくれ」

カミュ「タブレットか何かで確認出来るシステムがあった筈だぞ?」

カノン「じゃあそれ採用で。タブレットぐらい置いてあっても良いだろ?」

ムウ「私は構わないですよ」

サガ「……こんないい加減な進行役で大丈夫なのか」

ムウ「貴方の弟じゃないですか」

サガ「うっ……」


☆ ☆ ☆


「……?誰だ?」
丁度野菜を切り終えた所で、タブレットから何やら音が聞こえてくる。
画面を見てみると、買い物袋を両手で抱えている玄武の姿があった。
「玄武……!?」
そういえば、ムウが結構な量の買い物を頼んでいた……そう思いながら、アイオリアは慌てて玄関へと向かう。
「だ、大丈夫か?」
「取り敢えず、な……」
扉を開け、アイオリアは玄武が抱えていた買い物袋を受け取る。
「これで頼まれてた物は全部だ…所長は?」
「ご苦労様…ムウなら、保護した少女と一緒に風呂だ」
兎に角中に…と、アイオリアは玄武を促した。


☆ ☆ ☆


カノン「そうだな…アイオリア、聞き耳を振ってくれ」

アイオリア「?分かった」


〈聞き耳〉

アイオリア(85)→(52)成功


アイオリア「成功したが……何だ?」

カノン「……ルルブには、聞き耳が高いという事は拡大解釈すれば全般的に鋭い知覚をもつということかもしれない、とあってな」

アイオリア「?それがどうした?」

カノン「アイオリア、お前は僅かに腐臭を感じた」

アイオリア「っ!?」

カノン「アイデアを振って思い出すまでもないな……その腐臭は、公園で嗅いだものと同じものだ」

ムウ「これは……カノン、玄武もダイスロールは可能ですか?」

カノン「聞き耳は初期値だがな…一応振るか(ころころ)…53だから失敗だな」

アイオリア「……周囲を見る場合は目星だったな?」

カノン「…そうだな…いや、もう一回聞き耳だ。お前は目星が低いから臭いの元を探るという感じで聞き耳をしてもらおうか。お前が声を掛けたって事で、玄武ももう一回ロールするから」

アイオリア「わ、分かった……」

カミュ(…SAN値を下げに来たか?)



〈再び聞き耳〉

アイオリア(85)→(61)成功
玄武(25)→(23)成功


アイオリア「成功…だな」

シュラ「ちゃっかりNPCも成功しているな」

カノン「よしよし……じゃあ、以上を踏まえてロールプレイしようか」


☆ ☆ ☆


「……ん?」
アイオリアは、ふと鼻をついた異臭を感じ動きを止めた。
「…アイオリア?どうした?」
「いや……何か、変な臭いがしてな」
アイオリアの言葉に玄武は首を傾げるも……次の瞬間、僅かに顔を顰めた。
「…確かに、何か臭うな…何だ?」
(…日比谷公園で、あの少女がいた場所でも同じ臭いがしていた…何か関係があるのか?)
二人は異臭の原因を探ろうと、周囲を見回す。

――そして、見つけた。

「あれは……」
恐らく、これから出掛けるのだろう…向かいの家にある解放されたガレージの中、車の横の影に隠れるように『それ』はいた。
「…犬…なのか?」
玄武は茫然と呟いた。

無理も無いだろう…その犬は頭から尻尾の先まで真っ黒で、影に居るにもかかわらず、ぬらぬらとした光沢の毛並をしているように見えたのだ。


☆ ☆ ☆


カノノ「アイオリア、目星を振ってくれ」

アイオリア「今度は目星か……?」

カノン「玄武も振るぞ~」


〈目星〉

アイオリア(45)→(33)成功
玄武(85)→(69)成功


カノン「2人共成功か、そうかそうか」

アイオリア「…悪い顔をしているな……」

カノン「いや、この目星で成功したお前達はその犬は全身が粘り気のある泥に覆い尽くされている事が分かるぞ。遠目で見てるだけだから、もっと詳しく知りたい場合は近くに寄らないと分からんが」

ミロ(これあかん奴だ)

シュラ(SAN値チェック誘発…か?)

カミュ(…ミロとアイオリアが見た泥が犬に姿を変えたのか?それとも……)

アイオリア「…カノン、その犬は俺と玄武の方を見ているのか?」

カノン「(む…そこに気付いたか)そうだな……此処はアイデアを振ってくれ」


〈アイデア〉
アイオリア(70)→38(成功)


アイオリア「成功したな」

カノン「じゃあ、アイオリアはその犬の視線が自分達ではなく事務所の2階の方をじっと見ている事に気付くな」

アイオリア「2階?今2階に居るのは楓とムウだけだが…という事は、楓関係か?」

ムウ「楓を監視しているのか…それとも見守っているのか……襲い掛かる気配が無いのであれば、今は関わらない方が良いでしょうけれど……」

アイオリア「カノン、その犬のような生物を捕まえる事は出来るのか?」

カノン「いや…近寄れば逃げるが、ガレージの中に居るから追い詰める事は簡単に出来るぞ(そしてSAN値チェックだ)」

アイオリア「むぅう……やはり、今は深追いしない方が良いか?」

ムウ「少女に関わるものであれば、この先も現れる可能性が十分にあります…ですが、襲い掛かって来る場合を考えて、今後は単独行動を控えた方が良いでしょうね」

アイオリア「NPCで玄武がいて良かったかもな……」

ムウ「極力、玄武も私達と一緒に行動させた方が良いでしょうね」

カノン「(ちっ…ムウがいるとアイオリアが脳筋を発揮しない…)…じゃあ、犬は無視して事務所に入るのか?」

アイオリア「あぁ。玄武を先に入れてから犬?の様子を確認して俺も中に入るぞ」

カノン「了解、じゃあロールプレイを始めるぞ」



☆ ☆ ☆


アイオリアは犬が見つめている方向に、違和感を覚える。
自分達ではなく、その上……事務所の2階をじっと見つめているのだ。
(あの犬…2階を見ている?)
「……アイオリア、どうする?」
「…玄武、先に中へ入れ」
そう言うと、アイオリアは玄関から出て玄武を背に庇うようにして立つ。
「だ、だが」
「見る限り、敵意は無いように思える…だが、此処で下手に刺激すれば、何をするか分からない」
犬のようなものから目を離さないように、アイオリアは玄武に静かに告げる。
「後でムウにも知らせる…今は手を出す時じゃない」
「…分かった」
玄武は渋々頷くと、犬のようなものを一瞥して事務所の中へと入ってゆく。
犬のようなものは、相変わらず2階をじっと見つめていた。
(…動きに変化は無い、か……)
アイオリアは警戒しながら、静かに玄関の扉を閉めた。


☆ ☆ ☆


ムウ「アイオリアが脳筋じゃなとこうも違和感があるのですね」

アイオリア「酷くないかその言葉?」

カノン「安心しろ、脳筋ポジションならミロもいるじゃないか」

ミロ「どういう意味だカノン」

アフロディーテ「ムウ、少女とのロールプレイをやるから隣の部屋に移動だ」

カノン「アイオリアのロールプレイも、一応継続だ。こっちで俺が進行するぞ」

アイオリア「む…分かった」

ムウ「分かりました」

ミロ「…此処、俺の宮……」

カノン「後でパ○ムを箱で買ってやるから我慢しろ」

ミロ「むぅう……早くしろよ」

カノン(ちょろいな)

シュラ(甘いぞミロ……)

カミュ(ソフトクリーム食べたい)

シュラ&サガ&カノン(((カミュ、直接脳内に……!?)))
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